「オワコン」はただの幻想かもしれない

2020年3月に行われたR-1グランプリ。優勝したのはマヂカルラブリー野田クリスタルでした。

僕はそもそも家にテレビが無いので、芸人には疎いのが正直なところです。ただ、M-1やR-1というような大会はわりと毎年気になるので、放送が終わった後でYouTubeでネタを観るのが通例でした。

ですが今年が例年と違うのは、優勝したマヂカルラブリー野田クリスタル(以下、野田くん)が、僕の高校時代の同級生だった。ということです。

そして野田くんの活躍が僕に教えてくれたことがありました。
それは、「オワコン」は幻想かもしれない。ということです。

・「オワコン」は幻想かもしれない
僕が周囲の人にブログを書いているとか、プログラミングでRubyを勉強しているとか話すと、だいたいこのように返ってきます。

「ブログなんかオワコンだよ。今はYouTubeの方が儲かるから。」とか、「Rubyってもう需要なく無い?昔は多かったけどもうオワコンでしょ?」といったものです。

このように返ってくるもんですから、真剣に日々取り組んでいる身としては中々しんどい所もあるのが正直なところです。

あらためて整理すると、「オワコン」という言葉の意味は一時代が過ぎた鮮度が落ちた旬じゃ無いもの。今から取り上げても享受できるものがたかが知れてるもの。というような捉え方で大体合っていると言えそうです。

つまり、流行が過ぎ去った。ようなイメージでしょうか。

ただ、僕は野田くんのR-1優勝を見て、「オワコン」ってただの幻想かもしれないな。と、わりと強く感じたのです。

・なぜなら野田くんは長い
僕と高校時代同級生だった野田くんは、誕生月にもよりますが2020年現在で33歳くらいです。

僕が高校に入学した時から、彼はすでにテレビに出た実績はあったそうで、入学当初は学年で周りが騒いでました。

正直僕は高校生活の3年間を通して野田くんと話したのは1回か2回程度。クラスの顔見知り程度です。

※なので野田くんのパーソナルな話ではなく、テレビ越しに見た野田くんの活躍で感じたことを僕が勝手に語っているだけです。

ただ、その1回話した中で印象的だったのが、野田くんがお笑いに夢があるというよりも、「お笑い芸人として売れれば儲かる」という理由でお笑い芸人を目指している、と聞いたことがあるからです。

彼がその時本気だったのか、冗談だったのか、夢を語る照れ隠しだったのかは分かりませんが、僕はそのある意味実直な回答が好きで今でも覚えています。

だって、誰だって儲けたいですもんね。

少しそれましたが、つまり野田くんは高校1年生の時から、秘めてる時間も入れれば中学生の時からお笑い芸人になって売れることを目指していたというわけです。

だから、野田くんは長いんです。

・オワコンは幻想、現実はストーリー
若者のテレビ離れというように、テレビ自体はすでにオワコンと言われています。例えばテレビはYouTubeというプラットフォームに、お笑い芸人やタレントは、YouTuberに人気が置き換わってきているのが現実です。

つまり、昔と同じようにお笑い芸人になって一発当てれば大儲けしやすいかと言われると難しい時代にすでに突入していると言えます。

野田くんが諦めずに笑いの腕を磨き続けたんだ。と言われればそれまでなのですが、僕が今回感じたのは、「野田くんのストーリー」です。

高校を卒業するときに、僕も野田くんも漏れなく進路を決めるわけですが、そのときに野田くんがゲーム制作の専門学校に進学する。という話を聞いたのをよく覚えています。

「え?お笑いの道を目指すんじゃないの?」とその時は周囲の誰もが思いました。そしてなんじゃそりゃと何人かは呆れたり、笑ったりしたでしょう。

しかし、結果的に卒業約15年後にして、彼は自作したゲームをネタにしてR-1で優勝したのです。

・「オワコン」は幻想である
このようなことから、僕は「オワコン」というのは言葉としての流行なだけの幻想なんじゃないかと考えるわけです。

もちろんかつてと同じ輝きがそこにあるかというと、それは違うでしょう。ただ、「オワコン」であることがチャレンジをやめる程の価値のある理由にはなり得ないということです。

一般に「オワコン」と言われていることにチャレンジしたとしても、野田くんの場合はR-1優勝に行き着くまでに得た芸人としての実力に加えて、ゲームプログラミングを芸にするという独自性を手に入れました。

これは仮にテレビの人気が今後ますます下がったとしても、マヂカルラブリー野田クリスタルの価値は下がらないことを意味しています。

というわけで、僕は野田くんがR-1で優勝したときに、「オワコン」って幻想だわ。と感じたのです。

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