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旅の記憶30〜“女王“の訃報で思い出した、チューリッヒのフォンデュ

先日、“ロックン・ロールの女王“、ティナ・ターナーが亡くなった。中高生の頃、ザ・フーのアルバム「トミー」を映像化した、ロック・オペラ「トミー」(1975年)が公開された。監督はケン・ラッセル。ザ・フーはもちろんのこと、エリック・クラプトン、“ピンボールの魔術師“ エルトン・ジョンなど、そうそうたるアーチストが出演したが、アシッド・クィーン役のティナ・ターナーの迫力が印象的だった。

彼女の訃報を受けて、“ティナ・ターナーのベスト10“的な企画が、様々なメディアで掲載されているが、私が好きだったのは、アイク&ティナ時代の"River Deep-Mountain High“。フィル・スペクターらが作った楽曲、スペクターのプロデュースのもとで、素晴らしい作品になっている。BBCでは、この曲が彼女の最初の代表曲として挙げられている。(ビヨンセは、コンサートでティナを追悼し、この曲を歌ったそうだ)

彼女の訃報の中に、スイスの自宅で亡くなっていたとされ、場所はチューリッヒ湖畔の町Küsnacht(キュスナハト)と書かれていた。これを見て、チューリッヒ近郊のこの街を何度か訪れたことを思い出した。

かつての仕事では、顧客の海外出張、特に欧州出張に随行することが多々あった。しばしば訪問する都市の一つがチューリッヒ。欧州の出張同行となると、夜は会食をセットすることが多い。当然、フレンチやイタリアンがメインだが、毎日これもキツい。お客様も同様である。そんな時に、評判が良かったのが、チューリッヒ、それもこのKüsnachtにあるフォンデュ・レストランだった。

最初はチューリッヒ駐在の先輩がアレンジしてくれたのだが、まずフォンデュなので、食べる量を自分で調節できる。目の前に置かれた一皿を平らげなくてすむ。「それでも、フォンデュは重いでしょ」と思われると思うのだが、この店はちょっと違う。

お店は、Küsnachtにある「Cave Valaisanne」。店名にあるスイスのヴァレー地方はアルプスの山岳地帯。店もおしゃれな山小屋風でした。私の注文パターンは決まっていて、最初に薪がくべられた大きな暖炉というのかオーブンと言うべきか、そこで軽く焼かれたラクレットを前菜に。続いてサラダをシェアします。

そしてフォンデュ。2種類頼むのですが、一つはいわゆるチーズ・フォンデュ。長いフォークにパンを刺し、フォンデュ鍋に浸していただきます。

そして、もう一つがこの店のスペシャル、トマト・フォンデュ。トマト・ソースを入れてチーズを伸ばした赤いフォンデュは、さっぱりした味で、日本人の口に合います。こちらは、パンではなくベビーポテトで食べていました。

合わせるのはスイスの赤ワイン。生産量がさほど多くないのであまり国外では出回らないのですが、とても美味しく、アルコールも進み仕事ながら店の雰囲気も相まって、いつもリラックスしていました。

店のFacebookを見ると、昨年他界したペレの来店写真がアップされていました。FIFA(国際サッカー連盟)の本部はチューリッヒにありますので、FIFAを訪れたペレがこの店で食事したのでしょうか。

あのトマト・フォンデュ、もう一度食べたい。ティナ・ターナーの訃報で思い出しました


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