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手の中の音楽11〜様々な"Will You Love Me, Tomorrow?"(その2)

最初(1960年)に世に出たシュレルズのバージョンは、女の子同士が、「この間こんなことがあったの」と体験談を話している感じである。テンポが速く軽やかである。

一方で、キャロル・キングのセルフカバー・バージョンは、もっとしっとりしていて、少しシリアス感が出ている。バックアップ・ボーカルに、ジェームス・テイラーとジョニ・ミッチェルが入り、雰囲気を作っている。アルバム「Tapestry」の世界観にもピッタリの楽曲となっている。後発ではあるが、作者自身が唄っていることもあり、こちらもオリジナル・バージョンと言えよう。

それでは、40以上ある他のバージョンはどうだろうか。こういう時にはサブスクリプションというのは便利である。Apple Musicで検索し、私が所有するものも含め、気になる27のバージョンを聴いてみた。

面白いのは、1971年のキャロル・キング版が出るまでのカバーは、シュレルズのものを踏襲している作品がほとんどである。また、 1962年には、“スタンド・バイ・ミー”で知られる、ベン・E・キングがカバーしており、男声バージョンが登場している。

1970年、リンダ・ロンシュタットはセカンドアルバムに収録しており、シングルカットもされた。リンダのキャラクターと、そのパワフルな歌唱によると、むしろ男性が女性に対して問いかけているようにも聞こえる。

そんな中、キング/ゴフィン作、“ロコモーション”の大ヒットを飛ばした、リトル・エヴァがア62年のアルバム「 Llllloco-Motion」に"Will you love〜"を収録している。これが意外にも、落ち着いた感じの仕上がりで、60年代の他カバーとは一線を画している。ワーナーのサイトによると、キング/ゴフィンの作品が多く収録され、2人の手で制作されている。ということは、作者の意図が反映された、後のキング版につながるバージョンかもしれない。

さて、それでは71年のキング版が出た後、変化は起こるのか。次回、探索してみよう



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