ミルクワンタンという不思議な食べ物〜コロナ禍で閉店

朝日新聞に<永さんも愛したミルクワンタン 有楽町の「鳥藤」閉店へ>という記事が掲載されていた。“永さん”とは永六輔のことだ。閉店のニュースは、毎日新聞にも掲載された。

最初の感想は、「あぁ、あの店まだあったんだ」。私が、最後に行ったのは、多分30年近く前だと思う。

初めて入店した時は、“ミルクワンタン”なる不思議な食べ物を試したくて行った。有楽町のガード下、入るには二の足を踏む感じの店だった。ミルクワンタンは、その名の通り、牛乳をベースにしたスープに、ワンタンが浮かんでいる。思ったよりもあっさりした味だったと記憶するが、期待したほどインパクトの強い食べ物ではなかった。

むしろ、その店のスタイルが印象的だった。 一人で行ったのだが、作法が分からず取り敢えずビールを注文して、次の動作を考えていた。程なく、お通しと思われる一品が出される。その後も、頼んでもいない皿が、タイミングよく供された。

詳しくは覚えていないが、どれも素朴で、一人で食べる量として適当で、味も悪くなかった。日本酒に移行すると、所々凹んだ小さなアルミ製のヤカンで出された。これも味があった。そして〆に前述のミルクワンタンが出されるのだが、同時だったか前後だったかに出されるチャーハンが、やけに美味しかったことが記憶にある。

その後、同僚なども連れて何度か行ったが、海外転勤などもあり、疎遠となった。

朝日新聞によると、後継者不在とコロナ禍で、<ここらが潮時>と72年続いた4月23日店を閉める。この手のニュースをいくつも見た。このブログにも書いたこともある。

新たな緊急事態宣言で、ついに背中を押される店もあるのだろう。コロナが殺すのは人間だけではない


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