見出し画像

1975年の映画「コンドル」〜30年ぶり、クリスマスの季節に遭遇

30年以上前だが、アメリカ人の友人が「『コンドル(原題:Three Days of the Condor)』という映画がめちゃ面白いから見ろ」と言っていた。すぐに見ることはしなかったのだが、その言葉がずっと気にかかっていた。

その映画がWOWOWで放送されていたので録画、ところがまたしばらく放置していた。数日前、何か映画を見ようと録画リストに「コンドル」を発見し、何の気なしに見始めた。これが非常に面白かった。あんな強いレコメンデーションがあったのに、なぜ30年以上も未見だったのだろう。

舞台はニューヨーク、内容はホリデーシーズン映画からはほど遠いが、ドラマの中の季節はクリスマスである。期せずして、今にピッタリである。主演はロバート・レッドフォード、彼はコードネーム“コンドル”というCIAの職員。彼の役割は様々な言語で出版されている書籍を読みとき、その裏に込められた秘密のメッセージがないかを分析する、地味な役回りである。

そんな彼が、事件に巻き込まれていく。これ以上、内容を書けないのだが、シドニー・ポラック監督の本作は、ダレ場が全くなく、素晴らしいテンポでドラマが展開していく。誰が敵なのか味方なのか、情勢は目まぐるしく変化していく。

レッドフォードはもちろんだが、フェイ・ダナウェイが魅力的。偶然にも事件に巻き込まれる女性カメラマン役なのだが、ミステリアスな人物を好演していて、強く印象に残る。

そして、プロの殺し屋役のマックス・フォン・シドー。私にとっては、1973年「エクソシスト」の神父役が強烈に刷り込まれているのだが、この映画でも良い味を出している。

加えて、デイブ・グルーシンの音楽が、映画にマッチしていてクリスマスのニューヨークを演出している。

https://music.apple.com/jp/album/three-days-of-the-condor-original-motion/1438909442

和田誠の「シネマ今昔問答」を読んでいたら、和田さんは映画の評価と、俳優や監督の周辺情報は無関係であり、続けて<アカデミー賞をとったとか、ベストテン何位だなんてことも、本質とは関係ない>と書いていた。「コンドル」もアカデミーは編集賞にノミネートされたのみ、確かにそんなことはこの作品の面白さとは全く関係ない。観るものとして、心しておく必要がある。

とは言え、観るものを選択するには、何らかのきっかけは必要である。その重要なものの一つは、自分と感性が近い人の評価である。友人の言葉が30年以上引っかかっていたのは、それが理由だったのだろう。これからは、気になっているものは、さっさと観たいと思う。時間には限りがある


献立日記(2021/12/11)
妻と銀座「やす幸」



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?