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祝!文化功労者〜大島弓子という偉大なマンガ家

今年度の文化勲章・文化功労者が発表された。そして、マンガ家の大島弓子が文化功労者に選出された。素晴らしい! 1978年に第1作が発表された「綿の国星」に私は衝撃を受け、旧作を手当たり次第読み、新作をフォローした。マンガという表現メディアに素晴らしい可能性があることを示した、稀有の作家の一人だと思う。

ところで、過去に文化功労者を受賞したマンガ家は他に誰がいるのだろう。Wikipediaのリストにもとづくと、次の通りである。
1994年 横山隆一(「フクチャン」の作家)
2010年 水木しげる
2014年 ちばてつや
2019年 萩尾望都

追贈することも可能のようだが、物故者に贈られることは稀のようで(牧阿佐美はすでに内定していた)、1989年に他界した手塚治虫、1998年没の石ノ森章太郎は受賞していない。

したがって、受賞すべき人が全て選定されたわけではないが、過去のリストを見ると、マンガの王道、メインストリームに位置した人々である。

そのような彼らに続いて、大島弓子が選ばれたということは一マンガファンとしてはとても嬉しく、マンガという文化を選者の方々がしっかりと理解してくれていると感じた。

大島弓子は、「綿の国星」シリーズを除くと、単行本複数冊におよぶ長編マンガは書いていない。メディアでの露出度は低く、一般の人にはあまり認知されていない〜と私は思っている。

しかし、短編中心の個々の作品は深い内容であり、小説に比べて一段低く見られていたマンガを、文学作品と同列のレベルに引き上げ、さらにマンガでしか表現できない世界を創った。

久しぶりに、「綿の国星」の第1作を読んだ。人間になれると思っていた猫の視点から世界を描いた傑作、改めて深く感動した。1979年発表の「四月怪談」はリアルタイムで読んで元気をもらった。幽霊になる主人公を通じ、現実世界に生きることの素晴らしさを表現すると共に、自分が自分自身であることを肯定してくれる。こちらも再読したが、40年経った今も全く色あせていなかった。

橋本治のマンガ評論における革命的名著「花咲く乙女たちのキンピラゴボウ」、後篇の大半は大島弓子論に費やされている。その中で、橋本さんはこう評した。<大島さんに『綿の国星』を描かせたものはなんでしょう。何がこの史上稀に見る“美しい“作品を書かせたのでしょうか? それは“生きてみよう“という意思です>。

今時の選出で大島弓子に改めて光があたり、彼女のことを知らない人々がその作品を手に取ることになればよいと思う。

文化功労者に選出された方々は、新聞に写真が掲載される。大島さんは、昔からずっと顔出しNGである。どうなっているかと見たところ、本人の希望で自身の似顔絵が載っていた。大島弓子は偉大である



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