見出し画像

上田正樹・永井“ホトケ“隆・木村充揮〜奇跡の一夜を来年も

1970年代、関西でブルース音楽のムーブメントが起こる。私は、少し遅れながらも、その空気を多少は吸った。

その中心にいた、上田正樹(上田正樹とSOUTH TO SOUTHやソロ活動、愛称キー坊)、憂歌団の木村充揮、ウエストロードの永井“ホトケ“隆が共演する。ある意味、夢のコラボレーション、サブタイトルは“そろそろ音楽(ブルース)聴きに来たらええんちゃう“である。会場は渋谷のClub Quattro

憂歌団の木村は、継続的にフォローしており、今回もそれをきっかけに発見したライブ。ウエストロードは、大学時代に野外フェスで何度か観た覚えがある。上田正樹も出てたようにも思うし、大ヒット曲“悲しい色やね“はカラオケで散々お世話になったし、有山じゅんじとの共作アルバム「ぼちぼちいこか」は、時折聴きたくなる。

そんな旧知の三人が集いツアーを行い、この日の渋谷が最終日。来年も開催できるようにと、主催者側からの丁寧な前説。迷惑にならない範囲での撮影、SNSへの投稿はOKだが、必ずハッシュタグ、“最高!“のコメントともにと。さらに、お酒のおかわりは積極的に。

ライブは、まず上田正樹が登場。キーボードの羽仁治治、ボーカルのYoshie.Nと共に演奏開始(なお、この二人は終始素晴らしかった)。74歳のキー坊の声は、深みがあって素晴らしい。2曲目にはベン・E・キングの名曲“Stand By Me“。

今日の三人は、ブルースやソウル界の大物との共演経験、アメリカでの演奏経験を持つ。こうして、アメリカの黒人音楽が、極東の日本にまでやってきて、彼らのようなブルース・マンを産み出した。それを、こうして体感できる。なんとも、不思議で素敵な世界である。

永井“ホトケ“隆が登場し、キー坊との共演。最初に演ったのが、レイ・チャールズの“Crying Time“。心にグッときて、ちょっと泣ける。

永井のソロ・パートは、“Rolling and Tumbling“、オーティス・レディングが最初に世に出た曲“These Arms of Mine"、“Ain't Nodby Business If I Do“などを演奏し休憩へ。

後半は、憂歌団の“嫌んなった“などで、永井と木村充揮が共演。木村充揮が登場すると、会場の盛り上がりが一段高くなる。

木村充揮のソロへと移行。テーブルに置かれた、水割りを一気に飲み干し、「おかわりもらえますか」。これが毎曲のように続く。会場を笑わせながらも、歌に入るとガラリと変わる。“ダンシング・オールナイト“。昔から歌っている曲だが、昨年逝去したもんたよしのりが込められている。

これも十八番、“嘘は罪“。ジャズ・スタンダードを、これだけ自分の曲に変えてしまう人は、木村“天使のダミ声“充揮しかいない。

上田正樹が加わり、彼の代表曲“悲しい色やね“を木村充揮が歌い、続いて上田へとリレーする。憂歌団のデビューアルバム所収の名曲“シカゴバウンド“、木村のねちっこい歌と、上田の憂いが絡む。

永井隆が戻り、最後は3人による演奏。アルバム「ビートルズ・フォー・セール」にも収録された曲として演奏されたのが“カンサス・シティ/ヘイ・ヘイ・ヘイ・ヘイ」、盛り上がった!!

上田が「ここに有山がおったら、もっとええねんけど」と、「ぼちぼちいこか」から“可愛い女と呼ばれたい“。その他、“バッド・ジャンキー・ブルース“、“陽よ昇れ(Let It Shine On)“(多分、呑んでたからややまだらの記憶)などなど。

奇跡の一夜だと思うけど、来年もまた演って欲しい!!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?