久方ぶりのやきとり屋〜京橋「栄一」

コロナ禍で、随分長い間やきとり屋に行っていない。京橋に所用があったので、久方ぶりで焼鳥店でランチにする。酒類なしで夜行くのはきついが、昼なら問題ない。

京橋で焼鳥ランチとなると、「伊㔟廣 本店」が候補だが、「栄一」にする。京橋から中央通りを日本橋の方にしばらく進み、左に曲がる。「伊㔟廣」の立派な建物を過ぎると、左手にグッとこじんまりとした「栄一」がある。縄のれんが風情を感じさせてくれる。

ちなみに、土田美登世著「やきとりと日本人」によると、「伊㔟廣」は元は鶏肉の卸問屋で、絞めた鶏を解体し販売していた。折角新鮮な鶏を扱っているのだからと、やきとりの販売を開始した。そして、さまざまな部位を余すことなく味わってもらえるようにと、焼鳥のコースを(恐らく日本で最初に)始めた。特定の部位がなくなる/余るという無駄を省けるメリットもあった。

有名なラーメン屋の周囲に他店が出店しているケースがあるが、「伊㔟廣 本店」が建つ路地には「栄一」の他にも鶏料理の店がある。「伊㔟廣」がきっかけになったのかもしれない。(「伊㔟廣」は創業100年の2021年、旧店舗の真向かいに建つ新店舗となった)

さて、その「栄一」のランチは親子丼と焼鳥丼の2択。ほとんどの客は焼鳥丼を注文していた。久方ぶりのやきとり屋のカウンターに座り、炭火の上で焼かれる串を眺めて待っていた。

焼き上がった串を目で追い、丼になり目前に供されてくるのを確認できるのも、カウンターに座る楽しさである。

海苔を少し振ったご飯に乗るものは5種。正肉、レバー、砂肝、つくね、うずらの卵である。最初は、何もかけずに頂く。香ばしく焼けた鶏肉、トロッとしたレバー、食感が絶妙の砂肝。つくねはシンプルで、あっさり目のタレと共に、ご飯によく合う。

卓上にある山椒をかけ、少しアクセントをつけてみると、また別の顔を見せてくれる。そして、スープは、これ以上不可能なくらい熱々で、タレとは違って、グッとアクセントのついた味付けである。老舗の精魂こもったスープである。

お代は1150円也。ちなみに、「伊㔟廣 本店」の昼の丼は、ささみ・団子(つみれをこう呼ぶ)・もも肉・皮身・レバーの5本丼が1900円、レバーが含まれない4本丼が1600円。「伊㔟廣」の焼鳥丼ももちろん美味しい

「栄一」のランチは、繁盛している様子だった


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