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“スタンスミス”というスニーカー〜半世紀を超えて履いたレジェンド

雑誌「ポパイ」の創刊は1976年。私は14歳だが、多分この頃からスニーカーという言葉が一般的になったのではないかと思う。これまでの“運動靴”が、ファンション性、タウンユースというものを身にまとい、ブランド化し“スニーカー”になっていくのが70年代、牽引したのはアディダスとナイキだった。ちなみに、Web版ブリタニカによると、ナイキ・ブランドの靴が世に出たのは1972年である。

アディダスのラインアップの中で、「ポパイ」が盛んに取り上げたのは“スタンスミス”だったと思う。白いアッパーにアディダスの3本線を通気孔であしらい、踵上のバックステー(backstay)は緑にアディダスの三つ葉ロゴ、トレフォイルを白で抜く。極めてシンプルなデザインでありながら、緑という靴にとって新鮮な色を配置したところにインパクトを感じた。

スタン・スミスは、アメリカのテニスプレーヤー、こうしたスポーツ選手の名前を冠にしてヒットしたシューズのはしりだったと思う。当時、ナイキは新進のブランドであり、そうした商品は無かった。“エアジョーダン”が出るのは80年代である。

私もスタンスミスが欲しかったのだが、なんとなく人気に迎合するのもイヤだったし、やはりバックステーの緑には抵抗があった。結局私が買ったのは、同じアディダスでもオランダのテニス選手、トム・オッカーの名を付けた、“トム・オッカー ウィンブルドン”だった。こちらは、3本線が青/赤/青で描かれ、ゴムのトーキャップをつけたモデルだった。

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あれから40〜50年が経過、“トム・オッカー”は消えたが、“スタンスミス”はアディダスのコアラインとして、赤やピンクといった緑以外のバックステーなど、様々なバリエーションも作られた。街中でよく見るスニーカーの一つとして存在していて、見かけると時折昔を思い出していた。

きっかけは、TV「王様のブランチ」の買い物コーナー。バカリズムが、スニーカーはアディダスの“スーパースター”と“スタンスミス”を愛用していると話し、その買い替えを検討していた。私が近年愛用していた“スーパースター”もかなりへたってきており、“スタンスミス”に替えようかと思ったのだ。しかし、私にも意地(何に対して?)がある、“スタンスミス”を買うのなら緑のバックステーであるべきだと。

縁というものなのか、ABCマートのオンラインストアを見ると、ベルクロで留めるタイプがセールになって8547円、私のサイズもある。アディダスは、“スタンスミス”のアッパーを天然皮革からリサイクル素材に変えたようで、多分旧ラインの在庫だろう。早速、ポチッとした。

半世紀を超えて手に入れた“スタンスミス”である


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