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「本の雑誌」2023年5月号〜“さらば友よ!“ 目黒孝二/北上次郎/藤代三郎追悼号

先週、「本の雑誌」の最新号が書店に並んだ。同誌を生み出し、初代発行人となった目黒孝二の特集号である。目黒孝二さんは今年逝去され、私も1月27日に少し記した

目黒孝二は3つの顔を持っている。雑誌発行人・目黒孝二、書評家・北上次郎、競馬師・藤代三郎である。本号は、その3つの側面から様々な人が思い出を寄稿している。目黒孝二については、「本の雑誌」に関わった椎名誠・群ようこら。北上次郎については、北方謙三(初期の「檻」は北上“推し“で読んだ)・宮部みゆき(「火車」!)・森絵都(氏を、<「紫のバラの人」〜『ガラスの仮面』知らない方、ごめんなさい>、と例えているのが良い!)ら作家陣。藤代三郎については、競馬仲間や井崎脩五郎

冒頭のページは、目黒氏の書庫の写真。浜本茂現編集発行人の巻頭文によると、目黒さんは自宅近くにアパートを2室借り、風呂場や台所をつぶし4万冊近い本を並べていたらしい。

書評家・北上次郎の功績の一つは、各出版社からの“御礼“広告にも現れている。16の出版社が“ありがとう、北上次郎さん!“と、工夫を凝らしたものを出している。講談社は、逢坂剛の「カディスの赤い星」と共に、北上さんの惹句、“しつこいようだが、繰り返す。これは、傑作である!“を添えている。 私は、その言葉に押されて「カディス」を手にした。

各社のページを見ながら、馳星周「不夜城」、大沢在昌「新宿鮫」、遠田潤子「雪の鉄樹」、北方謙三「水滸伝」など、北上さんに導かれた読んだ本を思い出すとともに、茅田砂胡「デルフィニア戦記」といった未読で魅力的な世界に惹かれる。北上次郎は亡くなったが、彼が推薦した本は、引き続き新しい世界を提示してくれるだろう。

私のような思い出を、様々な読者からの投稿しており、故人がいかに多くの人に読書の楽しみを届けて来たかを痛感する。

通読したわけではないので、本誌から多くの発見があることだろう。繰り返しになるが、目黒さん、ありがとうございました!

ご冥福をお祈りします



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