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ジェフ・ベックの10曲〜一番遠かった“三大ギタリスト“

1月13日の朝刊には、ジェフ・ベックの訃報が掲載された。記事では、<“世界3大ギタリスト“と称され>といった記載がある。

私がロックを聴き始めた頃、「ミュージックライフ」などの音楽雑誌には、誰が言い始めたのか、“世界3大ギタリスト“として、エリック・クラプトン、ジミー・ペイジ、そしてジェフ・ベックと書かれ、私の頭には深く刻まれた。

先日、山下達郎がラジオで話していたが、日本におけるロックは、ベンチャーズが火をつけたこともあり、楽器演奏が注目され、当然ギターはその花形だった。ロックの演奏を始めるというのは、イコール、ギターを手に取るということでもあった。

そうした状況の中で、前述の3人は神格化された。ジミ・ヘンドリックスがいたが、日本人にはブリティッシュ・ロックだった。

私は基本的には“歌“の人だった。一方で、ジェフ・ベックは1975年に全編インストゥルメンタルの「ブロウ・バイ・ブロウ」、翌76年には「ワイアード」を発表。そのスタイルは、ロックという枠組みを飛び越えていった。

ジミー・ペイジにはレッド・ツェッペリンというバンドがあり(すでに解散していたが)、ロバート・プラントという屈指のボーカルがいた。ツェッペリンには間に合わなかったが、プラント&ペイジで来日した時に、ライブを観た。

エリック・クラプトンは、素晴らしいギタリストであると共に、味のある歌い手であり、東京・ロンドンとライブも数度体験した。

とまぁ、3人の中では最も遠い存在だったのが、ジェフ・ベックだったのだが、ライブを最初に観たのは彼だった。1978年の来日公演、大阪府立体育館という場所でのコンサート、共演したのはベーシストのスタンリー・クラークだった。ベックのプレイもさることながら、私が持っていたベースの概念を覆すようなクラークの演奏に度肝を抜かれた。

ただ、残念ながら、それが最初で最後のベック体験だった。 「ジェフ・ベックが死んだ。この曲を聴こう」というものを、私は持ち合わせていない。

米紙ニューヨークタイムス(NYT)に、「Jeff Beck's 10 Essential Songs」という追悼記事が掲載されていた。早速、これをプレイリストにして、改めて聴き直してみた。

ベックの演奏を時系列に並べている。ロッド・スチュアートやスティービー・ワンダーというボーカリストとの共演を経て、ジェフ・ベックのギターの歌心が形成されているような気がした。

彼のギターは、確実に“歌“っていた。アルバム「ブロウ・バイ・ブロウ」の"Cause We've Ended As Lovers“、美しい。 RIP

*なお、“Beck's Bolero“について、記事はオリジナル版ではなく「ロックの殿堂」での演奏を挙げている



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