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「成金」メンバーは寄席を救うか(その2)〜笑福亭羽光、祝真打昇進

浅草演芸ホール、平日の昼席に来るのは初めてかもしれない。11時40分の開演とほぼ同時に入場するが、予想通りゆるい空気である。340席に対し、5分の1程度の入りだろうか。

4人同時昇進ということで、三遊亭小笑笑福亭羽光は昼席、春風亭昇々昇吉は夜席に出演、それぞれ交互にトリを取る。また、番組は真打昇進を盛り上がるべく、豪華な顔付けとなっている。

「成金」メンバーが日替わりで出演しサポートする。私の行った6月23日は瀧川鯉八が登場。鯉八ワールドの新作落語「多数決」を演じた。羽光が上方落語ということもあり、上方の演者が交互出演し花を添える。この日は、桂九雀で「天下一浮かれの屑より」。羽光は九雀師に稽古をつけてもらっているそうだ。

続いて、ゲスト色物が登場。通常は寄席に登場しない演者で、漫才の三拍子が登場した。私は初めて見る漫才師で、キューティーハニーの主題歌を活用した、「徳川15代将軍の覚え方」というネタを披露した。面白い、もっと売れて良いと思う。

そして、中入り前には、人間国宝の講談師、神田松鯉が高座に上がり、「太田道灌公一代記〜山吹の戒め」をピシッと読んだ。

羽光・小笑、師匠の鶴光・笑遊、そして桂米助、松鯉が並び、鯉八の司会による披露口上。その後、同時昇進の小笑が「町内の若い衆」、笑遊が漫談、鶴光が「甚五郎の首」を演じ、トリの羽光につないでいく。

笑福亭羽光は、お笑いグループ「爆裂Q」(私は知らない)で活動、グループ解散後、34歳で鶴光に入門。修行の末、48歳で真打という遅咲きである。古典落語も演じるが、新作も精力的に作っていて、30日間の披露興行では同じネタはかけないと言っている。

この日のネタは、本人曰く、「自分の全てが入っている」という新作「拝啓十五の君へ」だった。今の自分が、15歳の自身と手紙のやり取りをするという、SF的な世界の中で、ちょっとほろっとする話である。

羽光という人は、これまでの経験からか、独特の雰囲気を持っている。口上で松鯉先生が、彼の「はにかんだような感じが好きだ」と言っていたが、確かにそういうところがある。乱暴な例えだが、天才肌の小痴楽、達者な伯山、爆笑王の宮治とは、全く違うキャラクターである。東京の寄席では珍しい、上方落語というのも武器である。

真打昇進を経て、これから変化していく予感もある。多士済済も芸協の元「成金」メンバー、寄席をますます盛り上げて欲しい。

その為には、もうちょっとお客さんが入ってくれると良いのだが



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