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リニューアルした「神田伯山PLUS」(その1)〜講談協会会長、宝井琴調先生を迎えて

2022年4月からイイノホールで開催している「神田伯山PLUS(プラス)」、多くの観客の前で芸を披露する機会をあげようと、これまでは伯山の後輩講談師がゲストとして出演してきた。

公演も17回を数え、2024年からはリニューアルとなり、神田伯山から紹介があった。ゲストには先輩講釈師あるいは他ジャンルの演者が登場する。3月は浪曲師の国本はる乃、伯山いわく「将来の人間国宝候補」。4月はなんとボンボン・ブラザーズ、寄席では10ー15分ほどの持ち時間だが、30分”たっぷり”を予定している。ボンボン先生は「遊んじゃうよ」と言っているらしく、怖いもの見たさで参加したい。

リニューアル後の記念すべき第1回、2月19日のゲストは、講談協会会長の宝井琴調。神田伯山ら、神田派の多くが所属するのは、神田紅を会長とする日本講談協会。伯山の大師匠にあたる二代目神田山陽が独立して作った会派である。リニューアル後の最初のゲストに、講談協会会長をもってきたのは、何かしら伯山の思いがあるのだろう。

開口一番は、前座の神田梅之丞。伯山の一番弟子だが、歯切れがよく口調が良い。「寛永宮本武蔵伝より〜熱湯風呂」を読んだのだが、心地よく聞けた。扉を”ドア”と言ったり、最後に「私のお勉強の時間」と締め、続いて上がった伯山から「”お”勉強はないですね」と公開小言を食らっていたが、まだ愛嬌である。

神田伯山が最初に読んだのは、「出世浄瑠璃」。一龍斎貞心から習った作品と紹介して入っていった。秋の話、紅葉に彩られた碓氷峠が舞台である。参勤交代で通りがかった、信州松本城主の松平丹波守。聴こえてきた浄瑠璃の声にひかれ、声の主に面前で語ってくれよと頼む。声の主は、隣国上田城主に仕える二人の下級武士。主君に知れたは大変と断るのだが、丹波守の「内密」にするという約束の下、口三味線と浄瑠璃を披露する。これがきっかけで、二人の運命が。。。。講談らしい、気持ちの良い物語である。

続いて上がった宝井琴調は、落語でもお馴染みの「芝居の喧嘩」だが、本家は講談で落語はパロディ。したがって、琴調先生が幡随院長兵衛一派と旗本の抗争をシリアスなドラマとして、重厚に浮かび上げる。

宝井琴調の高座に接すのは2度目だが、こうして様々な講談師に接すのことができるようになったのも、伯山のおかげである。講談というのは、落語に比べてなんとなく敷居が高かったのだが、師匠の松鯉だけでなく、彼が聴いて欲しい先生を少しずつだが知るようになった。

私のような聴き手も多いのではないだろうか。講談協会は、ずいぶん前座が増えたそうだ。伯山効果だけではないだろうが、結構なことである。

NHKラジオ、武内陶子の「ごごカフェ」(27日まで、聞き逃し配信あり)伯山は講談は日本語の美しさを再認識させてくれるという趣旨の発言をしていた。彼を入口に講談を聴きはじめた私のような人間、あるいは講釈師を目指そうとしている若者も同じことを感じているのではないだろうか

明日に続く

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