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ロシアのウクライナ侵攻から1年〜考えられるシナリオは

ロシアがウクライナに侵攻してから1年が経った。様々な報道がなされ、妻に「これどうなるの?」と問われるが、明確な回答は持ち合わせていない。

そんな中、英TIMES紙を眺めると、“When and how will the Ukraine war end? Six possibilities explained"という見出しが目に入った。<何時どのようにしてウクライナ戦争は終わるのか? 6つの可能性を説明する>。以下は、その拙訳による抜粋である。

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1.平和協定

プーチンの希望は、ウクライナにとって不利な形での平和協定に追い込むことと信じられている。最低獲得したいのは、ドンバス地域の支配で、ロシアにとっては少なくとも侵攻前の状態からの前進を意味する。

しかし、ゼレンスキー大統領は、プーチンがリーダーである限り、交渉には応じないと宣言している。また、国民の9割は領土的な妥協はあり得ないとしている。プーチンが、市民のインフラを攻撃するのは、ウクライナ国民の士気を削ぐため。プーチン失脚は、実現性のある平和交渉につき、ウクライナ国民を説得しうるかもしれない。

2.消耗戦

ウクライナ高官は、戦争は3つ目のステージ、消耗戦に突入しつつあると話している。両軍とも既に相当の犠牲を払っているが、ロシアにはまだ力が残っており、ウクライナは西側の支援を得る。消耗戦が数年続く可能性がある。領土問題/実行的支配を継続することにより、ロシアは、その目的であるウクライナのEU/NATOへの正式加盟を妨害することができる。

3.停戦

領土面での問題を解決することなく、停戦は衝突を凍結することができる。ただし、さまざまな要素により、停戦状態が再燃/沈静する可能性がある。ロシアは、1994年チェチェン紛争時、そうした停戦合意を行ったが、3年後、戦闘を再開した。ロシアとしては、時間を稼ぐと共に、戦力を再編、西側の空気の変化を期待する。

4.ロシア退却、ウクライナ勝利

アメリカにとってのベトナム戦争、ロシアにとってのアフガニスタン、大部分の戦争は計算違いから始まり、侵略した側の国内政治情勢の変化によって集結した。現状、ロシアのウクライナからの全面撤退の可能性は低く、戦場における情勢とともに、ロシア国内におけるイベントに依拠する.

一方、ウクライナにとっての“勝利“とは何か、これも不透明。キーフは依然クリミアの奪還が含まれないとならないと主張しているが、クリミアについては西側諸国の態度ははっきりしない。

5.ウクライナ崩壊、ロシア勝利

ウクライナも西側諸国も、プーチンを勝利させてはならないと言明している。ロシアの勝利はウクライナの属国化にとどまらず、冷戦後の地政学上の地図を書き換える動きにつながると恐れている。

6.核戦争、またはNATOの介入

核攻撃は、ロシア国営放送では毎夜報道されているが、これは国内の視聴者向けの宣伝と見られている。核兵器使用による戦術上の効果は見極めることが難しいく、NATOの直接介入を引き起こすだろう。核兵器を使用すると、その脅威はなくなり、プーチンの行き場はなくなる。

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こう並べてみると、シナリオ2〜消耗戦が続くというのがメイン、時間稼ぎのシナリオ3〜停戦/休戦という可能性がサブシナリオと考えるのが現実的なのだろう。

ウクライナ・西側諸国からすると、プーチン失脚によるシナリオ1〜平和解決がベストだが、それはまだ見えてこない。

一方、リスクシナリオとして、ウクライナが内部崩壊してのシナリオ5があるが、これを回避する意味でも、日本を含めウクライナからの人を受け入れ、励ましている。また、多くの西側首脳はキーフを訪問している。

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