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近くて遠かった野田秀樹〜ようやく観られたNODA MAP「Q」(その1)

野田秀樹は、私にとっては近くて遠い存在だった。1980年、大学に入学し、配布されたサークルの紹介冊子の中に、劇団「夢の遊眠社」はあった。

丁度、芝居に興味を持ち始め、つかこうへいの舞台を観ようと思っていた頃であり、小劇団の次世代の旗手として野田秀樹の名前は認知していた。「夢の遊眠社」は学生サークルから脱皮し、紀伊國屋ホールなどへ進出しようとする時期だった。

私にとっては、手を伸ばせば届きそうな場所にある劇団だったが、当時はつかこうへいをフォローするだけで精一杯。「遊眠社」の舞台を観ることはなかった。そして、社会人となり、結婚、子供を持つといったイベントに中で、芝居自体から少し距離ができ、「遊眠社」も解散した。

こうして、その活動は横目で観ながら、舞台を観る縁がなかった野田秀樹に初めて接したのは香港。2012年の芸術祭で、英語版の「THE BEE」が上演された。なかなか良い舞台だったが、日本語版を観たい。

それが遂に叶ったのが、2017年。宮沢りえ、妻夫木聡主演、NODA MAPの「足跡姫」。この舞台に接し、少し近づいてきたが、まだ野田秀樹が近づいていない印象だった。その後も、毎年のNODA MAP公演に行こうとしたのだが、いかんせんチケットがなかなか取れない。

そして今回ようやく、2019年初演の「Q : A Night At the Kabuki」を観ることができた。

結論から申し上げると、素晴らしい舞台。野田秀樹はやっぱり凄い! 興味のある方は、こんな駄文は放っておき、劇場に行って欲しい。抽選制だが当日券もあるので、是非ご覧になることをお勧めする。大阪公演も控えている。

野田秀樹のイントロダクションによると、本作は5年ほど前に、クィーンの周辺から、「アルバム『オペラ座の夜』を使って、日本を舞台にした演劇ができなものか」という話が舞い込んだ。その頃、野田はシェークスピア「ロミオとジュリエット」の後日談のようなものを考えており、そのアイデアとクィーンからの打診が合体したのが本作「Q」である。

クィーンの「オペラ座の夜」、私が思い入れの深いアルバムとして紹介した一枚。これと、野田秀樹がコラボする。しかも、キャストは松たか子、広瀬すず、上川隆也、志尊淳、さらに竹中直人。観るしかないではないか。

しかし、3年前の初演はチケット入手に失敗、満を持して今回ようやく参戦となったのである

続く


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