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旅の記憶36(その2)〜1975年のロサンゼルスとドジャースタジアム

(承前)

本題のドジャースタジアムに行く前に、アメリカと言えばテーマパーク。ロサンゼルス近郊の有名なものはディズニーランドですが、それ以外にもユニバーサル・スタジオや絶叫マシンで有名なマジック・マウンテンなどがあります。ディズニーランドに加えて私が行けたのは、ナッツ・ベリー・ファーム(Knott's Berry Farm)。“Berry“、キイチゴを使ったジャムなどを作っていた会社が作ったテーマパークだと聞かされました。

パークは西部開拓時代をテーマにし、西部劇に出てくるような街並み、水の中から砂金をすくい上げるアトラクションがありました。数回転する、コークスクリュー型のローラーコースターに初めて乗ったのは、この遊園地だったと思います。

そして楽しみにしていたのは、やはり野球観戦です。ロサンゼルスと言えばドジャース。当時エンゼルスは、カリフォルニア・エンゼルスという名でした。Zovak家が連れて行ってくれたのは、ロサンゼルス・ドジャースとシンシナティ・レッズの試合でした。

当時は“メジャー“とか“MLB“とは呼ばず、“大リーグ“と言ったアメリカのプロ野球。数年に一度、日米野球として親善訪日するチームがありました。私が初めてTVで観たMLBのチームは、1974年に来日したニューヨーク・メッツ。投手にトム・シーバー、野手には後にヤンキースの監督となるジョー・トーリが来日メンバーに名を連ねました。フジテレビで始まる大リーグ中継は1978年から、それほど遠い存在だったのです。

MLBを代表するチームはもちろんニューヨーク・ヤンキース。ワールドシリーズ(以下、WS)27回優勝というダントツのエリート・チーム。私としては、次に来るのは7回の優勝を誇るロサンゼルス・ドジャース。WSの優勝回数からすると、セントルイス・カージナルスの11回など上位チームはありますが、ヤンキースvsドジャースのWSは最多の11回となっています。ちなみに、ドジャースは元はニューヨークのブルックリンがホーム。走っていた路面電車に“歩行者は注意!“ー“Trolly Dodger“からニックネームが付いたそうです。(“dodge“=‘ひらりと身をかわす‘。ドッジ・ボールです)

そんなドジャースの本拠地ドジャースタジアム。平地にすり鉢状の窪みを作り、そこに野球場を建設しました。(元オーナー、ウォルター・オマリー氏の名前がついたサイトに建設の状況が書かれています)これによって、スタンドがそびえ立つのではなく、景観に優しい球場になっています。その頃、私が行ったことがあるのは高校野球観戦の甲子園球場と、プロでは近鉄バッファローズの日生球場(実家から歩いて行けました)、これらに比べると段違いの美しさ。ドジャースのチャンスになると、オルガンが鳴り響き、電光掲示板に“CHARGE!“と映し出される場所は、日本で見ていた野球とは全く違う世界でした。

1975年のドジャースは、その顔とも言える一塁手スティーブ・ガービーを擁し、前年はナショナル・リーグ優勝したものの、WSではレジー・ジャクソンがいた全盛期のオークランド・アスレチックスの
三連覇を許していました。ちなみに、ジャクソンはその後ヤンキースに移籍、両チームを通じて5度のWS出場を果たすのですが、WSの活躍が凄く“ミスター・オクトーバー“と言われました。WSでの通算打率.357、HR10本、中でもヤンキース移籍後の1977年で打った5本のHRは伝説です。

当時のMLBは東・西の2地区制でドジャースの最大のライバルが、捕手ジョニー・ベンチ、安打製造機ピート・ローズの“ビッグ・レッド・マシン“と称されたシンシナティ・レッズ。この好カードを観に行ったのです。

試合内容は忘却の彼方ではあるのですが、忘れられないのはピーナッツ売りのおじさん。通路を“ピーナッツ!ピーナッツ!“と歩き、注文を受けると袋入りのピーナッツを投げ入れる。このコントロールが完璧。続いて投げ込まれたボールの形をしたプラスチックの容器、買い手はその中にお金を入れて投げ返す。“これぞアメリカ!“という感じでした。

その後、野茂英雄がドジャースに入団。日本でもMLBのゲームを普通にTVで観戦できるようになりましたが、あのドジャースタジアムの日を思いつつ観戦していました。

そして、大谷がドジャースタジアムを本拠地にすることになりました!! MLBはなんと言っても、ヤンキースとドジャースです。大谷は最高の選択をしてくれました。

近年、ドジャースは毎年のように地区優勝を果たし、2020年はWS優勝を遂げていますが、過去3年は有力視されていながらもWSに到達できていません。大谷の活躍、新たな“ミスター・オクトーバー“誕生を見守りましょう!


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