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料理と素材への愛を感じる店〜白金高輪「蓮香」

久方ぶりで会う友人とのディナー、ちょっと気になっていた中華料理の店にする。白金高輪にある「蓮香」(レンシャン)である。

白金高輪駅は、都営三田線と地下鉄南北線が、東急目黒線へと合流する駅で、私にとっては便利な場所だが、便利の公約数にはなり難い。しかも、店のある場所は、駅から歩いて10分強。通常であれば、選択に躊躇する場所だが、相手の住処は広尾なのでほど近い。

そんな場所だが、白金高輪から恵比寿へと抜ける通り沿い、そしてその周辺には結構な数の飲食店がある。かつて、蕎麦の名店「三合庵」があり(今は広尾駅前に移転)、何度か訪れた。隣の席に村上春樹がいたこともあった。

その道をテクテク歩くと、左側に「蓮香」はある。

店のHPを見ると、“郷村菜 蔬菜“と書かれている。“郷“は中国語では、農村部とか田舎という意味。“菜“は料理である。そして、“蔬菜“とは野菜という意味。

ページの中央には、“中国郷土料理の真髄“と出ている。伝統的な中華料理店は、広東料理、四川料理、北京料理など、専門とする地方の料理がある。この店はそのいずれでもなく、中国の様々な地方料理をベースにメニューを作る。しかも、材料として野菜にこだわる。

入店すると、こじんまりとした店内、コロナ禍もありテーブルはゆったりと配置されている。ワインや、中国酒は冷蔵庫等から自分で選ぶ仕組み、かつ値段もリーズナブルである。おまかせのコース料理のみだが、その内容は次の写真を見て欲しい。

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同行の友人は、「これ全部出てくるんですか?」と問うた。Yesである。ただし、それぞれの量は決して多くなく、フランス料理的に言うと、ムニュ・デギュスタシオンである。

決して大食いではない我々でも全てを食べることができ、さらに追加の汁なし坦々麺と炒飯、同行者はデザートまで食べていた。

もちろん、量的に優しいこともあるのだが、全ての料理が美味しくかつあまり体験したことのない味で、好奇心も箸をすすめさせる。

また、出される食材とそれに対する加工に、店の愛情が感じられ気分よく食事が進む。帰り際、店の方と少し話したところ、コロナ禍の前は、中国に行って珍しい野菜や食品を調達できていたと残念そうに語っていた。さらに、人数が増えると、出す料理の点数も増えると話していた。

中国との行き来が容易になるまで待てない。季節が少し変わったら、また訪れたい。その時は、どんな野菜が登場するのだろうか。楽しみである

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