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ハヤシライスは「他人以上、友達未満」(その2)〜創始者と主張する店へ

ハヤシライスの由来、S&B食品のサイトに5つの説が記載されている;

1.林さんという人が作った。
2.林さんという人が、毎日やってきて注文した。
3.横浜の林さんが作った。
4.丸善の創始者早矢仕さんが、ご飯とおかずが1皿で済む料理として考案し、幕末から明治の始めにかけて社内食堂で出したのが始まり。
5.牛肉を細切りにした料理を言い表す、「ハッシュ・ド・ビーフ」(ハッシュ=英語で「細切れ」を意味する、ビーフ=牛肉のこと)がなまってハヤシライスとなった。

5は私が当初思った由来、1〜3は“林さん”説のバリエーション、そして4は「丸善」という特定の法人が主張しているものである。

以前から、「丸善」がハヤシライスを生み出したと標榜していることは認知しており、その主張を確かめるべく一度は「丸善」の“早矢仕”を食べないと、と思っていた。しかし、そこは「他人以上、友達未満」である。いても立ってもいられなくなるということはなく、長年頭の片隅に留まり続けた。

丸善のサイトには、こうある;

<明治の初期、丸善創業者の早矢仕有的が考案、そこから名付けられたとされる「ハヤシライス」。ハヤシライスの命名には諸説ありますが、有的は当時日本を訪れていた多くの外国人との親交があり、また西洋料理にもなじみがあったため、友人が訪れるとあり合わせの肉や野菜をゴッタ煮にして、ご飯を添えて振る舞っていたようです。やがてこの料理は「早矢仕さんのライス」といわれるようになり、評判が評判を呼んでついには「ハヤシライス」の名で街のレストランのメニューになったとか>

これを起源とし、昭和29年日本橋店の屋上レストランで「ハヤシライス」を提供し始めたとのことである。

そして遂に、今日こそ元祖を試してみようと決心が固まった。今も、日本橋店にレストランがあるが、この日向かったのは、オフィスから近い丸の内本店内にあるレストラン「M&C Cafe」である。

メニューを開くと、ハヤシライスではなく、“早矢仕ライス“と表記してある。元祖の矜持が感じられる。そしてちょっと驚いたのは、“ポーク早矢仕ライス“である。そして添え書きに<丸善伝統の味>。えっ、ビーフじゃないの? これぞ、まさしく上記由来の5番、ハッシュド・ビーフ説を真っ向から否定するものである。

一方で、<ハヤシライスを生み出したのは 早矢仕有的と言われています>という説明と共に掲載されているメニューが、“ビーフプレミアム早矢仕ライス 1380円“である。ポーク早矢仕をベースに、牛肉を放り込み、“やっぱりハヤシはビーフだよね“などという批判を吹き飛ばすための、創始者の魂がこもった一品と想像される。

私は迷うことなく、この“プレミアム“を注文した。

サーブされた一品は、皿に盛られたライスと共に、“早矢仕“はソースポットに入って出された。ここにもプライドと“プレミアム“が見られる。私はソースポットから都度食べる量をかけるのは、最後にご飯残り、あるいはルー残りになるリスクがあるので、「丸善」のプライドは無視して、全部ライスにかけてしまう。

さてお味であるが、デミグラスの甘味はやはり前に出る、ただ深みのあるスパイス味がグッと引き締めてくれる。さすが元祖を自ら標榜するだけあって、気合いが口中に広がった。牛肉の“プレミアム“感は、さほど感じられなかったが(この価格では致し方ないだろう)、十分に満足いく一皿であった。

それではリピートするか。「他人以上、友達未満」なので…
丸善によると、早矢仕有的の誕生日9月8日は「ハヤシライスの日」らしい。その頃になったら考えよう


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