神田伯山が訪れるお岩様ゆかりの地〜「講談放浪記」#05〜06
YouTube「伯山ティービー」で配信されている「講談放浪記」。最近配信された場所は、お岩様ゆかりの地。ちょうど歌舞伎「東海道四谷怪談」について書いたので、タイムリーである。
「四谷怪談」は歌舞伎を始め、映画・芝居・講談などの作品になっているが、関係者はお岩様ゆかりの寺社にお参りするのが習わしとなっている。玉三郎のお参りもニュースになっていた。
ゆかりの地はいくつかあるようだが、伯山が訪れるのは、四谷の於岩稲荷田宮神社と、田宮家の墓所がある妙行寺である。
実在のお岩様は田宮家の嫁で1636年没、徳川家光の時代の人。貞女の誉れが高く、それにあやかろうと田宮家が屋敷神として祀っていたお稲荷さんが信仰を集めた。 「四谷怪談」は「忠臣蔵」の外伝として作られたが、赤穂事件は元禄の時代、徳川綱吉の治世の出来事なので、実在の人物は「忠臣蔵」とは無関係。なぜに、「忠臣蔵」と結びつけたかは、9月14日の記事を参考にされたい。
さて、そんなお岩様がなぜに幽霊とされたか。歌舞伎研究家の郡司正勝は、1788年に出版された「模文画今怪談」を挙げ、「お岩」という名前は出てこないが、この中の<「東都四つ谷に、間宮何がしのひとり娘、いたって悪女なり」ではじまる話が元になっているとみた方がいい>(「鶴屋南北 かぶきが生んだ無教養の表現主義」) と書いている。
なお、題名が「東海道四谷怪談」となっているのは、<江戸の四谷町では、差しつかえがある>(同著)からだそうだ。
「講談放浪記」では、神田伯山が神社の禰宜とお寺の住職に、実在したお岩様の話などを聞く。於岩稲荷田宮神社は、「四谷怪談」の大ヒットにより、“貞女“への信仰から“幽霊“へのそれに重心が移ったそうだ。妙行寺には田宮家の墓所と共に、浅野家ゆかりの墓もある。前述の通り、実在のお岩様と浅野内匠頭は生きた時代が違うのだが、これも何かの縁なのだろう。
フィクションションと現実を混在させ、現代にまで伝えている、“大南北“は偉大である。
尚、伯山のお参りのきっかけは、講談「お岩誕生」を演じるためでもある。こちらも楽しみだ
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