〜 風の告白 〜 6. 令和の暗い衝動






前回、『〜 風の告白 〜 5. 土下座衛門』(7月6日公開)で、今回の参議院議員選挙の静かさについて書いた。そこに私なりに没落していく日本のイメージを重ねた。

それから2日後の7月8日午前、安倍晋三元首相の狙撃事件が起こった。死亡が発表されたのは同日夕方。そして一夜明けた今日、これを書いている。

メディアには「絶対に許されない行為」などと現場で逮捕された容疑者山上徹也を断罪する声と「巨星墜つ」「功績は永遠に不滅」と安倍晋三元首相の業績を讃える声があふれている。

例によって事件があった夕方からほぼ通常通りのプログラムを放送したテレビ東京に対しては「通常通りで安心する」「テレ東さんが通常放送していて救われた」「通常運転ってこういうときはありがたい」といった声が上がっていたらしい。※『スポニチAnnex』7月8日20:40配信

ほぼ全マスコミが一体となっての断罪&賛美報道に辟易していた視聴者が多かったということだ。他の在京キー局と競うほどの機動力をもたないテレビ東京は、また企図せずして利を得た。

今回の選挙中、いわゆるタレント候補やユーチューブ界隈からの候補、そしてその支援者たちがトラブルに巻き込まれる可能性が高いだろうと私は思っていた。

世間や自分自身の不本意な現状に不満を抱える孤独な人間がひと騒ぎ起こそうとするならば、こうした“コラボ”する人たちが狙われるのは当然だろうと。

しかし犠牲になったのは元首相だった。容疑者の動機があまりよく理解できないので、引き続き社会事象として外見だけを見れば、元首相がまだそうした世間を代表する人間と目されていたということが意外に感じられる。

極端にいってしまえば、日本に政治は存在しないと私は思っているからだ。

これから先のことを考えてみた。

これで、いわゆる弔い選挙の追い風を受けて、今回の参議院議員選挙での自民党の圧勝は、ますます揺るぎないものになった。

これからの日本の舵を誰がとるのだ、という議論は、そもそも日本は舵をもたない船なので意味がない。と私は思う。

事件の背景は、現状に不満をもつ多くの若者を刺激しないよう、徹頭徹尾わけのわからないヤツの意味不明のテロ行為、として扱われるだろう。

問題はどうしてそういうわけのわからないヤツが生まれるのかだけれども、そこに触れられることはほとんどないだろう。

そもそもテロ行為とは国家間の暴力行為をいうのだけれども、これでまた誤用が拡大する。テロリストが増える。

安倍晋三元首相の業績についての総合的かつ冷静な評価が行われるまでには相当の時間を要する。

そういえば麻生太郎のコメントを見ていない。

とっちらかった文章になってしまった。

安倍晋三元首相の、そして不本意な気持ちを抱えたまま亡くなっていく大勢の方々のご冥福をお祈りする。





                             (了)






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