誕生まで⑫|手術の目安
前回の医療チームとの面談から1ヵ月余りが経ち、2回目の面談を迎えた。
31週を迎えており、段々と妻の身体の負担も大きくなってきていたものの、母子ともに特に異常もなく、相変わらず息子は元気いっぱいだった。
2回目の今回は、新生児科の別の医師が担当。
(この医師には後述する「染色体異常」の検査でも、担当いただくことになる)
まず、エコーで確認。
やはり一番気になっていたのは「胎児が小さいこと」。
「完全大血管転位症」の根治手術が、
「開胸して大動脈と肺動脈をスイッチする大手術」であるため、身体への負担は想像を絶するほど大きい。
しかし、これを新生児の身体で行わなければならないため、体重を含む基本的な身体の大きさはよりあった方が良いし、小さければ小さいほど、手術に耐えられない可能性がある。
本日、31週時点での推定体重は「1,314g」。
(平均は「約1,600g」)
発育曲線に対しても本当に際どいラインである。
しかしそれ以上に気になるのは、実は前週が「1,338g」だったため、数字的に減退していたこと。
誤差はあれど、完全に鈍化しているのは間違いなかった。
さらに先述の通り、妻は全前置胎盤につき、28週を超えている今、いつ出血してもおかしくない状況であり、それを考えると正直もう少し増えていてほしいなというのがあった。
改めて医師からは、最低ラインとして
「34週 2,000g」
という目安を提示された。
体重は、これまでの症例を見ても「1,500g」での手術実績はあるようで、一応手術可能なようだが、やはりその分リスクは高くなるとのこと。
ただ、体重に意識が行きがちだが、それ以上に大事なのはむしろ「週数」。
個人差はあれど、この34週頃に「肺」のはたらきが成熟し、人工呼吸器をつけず、自力で呼吸できるようになるという一定の目安になることと、その他の身体全体の機能の成熟を考えても、最低限「34週」を超えることは本当に絶対条件になってくるということだった。
しかしながら、エコーの最後に、
「でも多分、この子は推定体重より大きいと思うんだよね。」
と言われた。
これには、きちっと理由があるようで、
ということだった。
実際、現場で見てきた中でも、全前置胎盤の胎児はこのケースが多いようだった。
「発育曲線内もギリギリだけど、計算式の問題の面も少なからずあると思うから、過度な心配はせずにもう少し経過を見ていきましょう。」
ということになった。
頭が小さいというのは正直、素人目にはわからなかったが、医師からも「小顔ちゃんだね」と言われるほど、ハッキリとしているようだった。
この視点は私たちにとっても、ソワソワしていた感情を少し緩和させる見解だった。
そして「完全大血管転位症」についての症状の確認と、生後から手術までの対応方法などを、図解を用いて改めて説明いただき、2回目の面談は終了。
手術の目安も明確になり、推定体重よりおそらく大きいという見解があったことで、私たちも地に足がついたというか、再び落ち着くことができたのは間違いない。
そして、
「しかし、小顔となると、完全に母親似だなぁ(笑)」
と2人で笑い合いながら帰宅した。
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