見出し画像

街・再考

10年ぶりに、尾道に立ち寄った。
大学のとき以来で、お金と時間を持ち合わせて行くのは、これが初めてである。

別府と同じ港町ではあるが、尾道は海岸の近くを沿うように商店街があり、抜けると飲み屋街が広がっている。
別府は、商店街が海と垂直、つまり山に向かって伸びている。

港の光が海を照らす17時頃、サイクリストホテルでも有名なU2にチェックインし、サキさんに連絡した。

1週間前、僕が運営しているコワーキングスペースa sideでたまたまであったサキさん。
尾道でLOGというスタジオムンバイがプロデュースした宿があり、その立ち上げを行ったのが彼女だった。

LOG近くの尾道郵便局前で待っていると。
20分ほど歩き、合流したが閉店の時間がせまっていたため、見学は翌日となった。

新型コロナウイルスの影響で、閉まっているお店も多くあったが、次の楽しみも増えるということで1軒目に向かった。

「一口」
移転してきれいになったらしいが、予約しないと入れないほど人気の串カツ屋。
少しだけ緊張感がある空気の中、揚げたての串が一本づつ目の前へ置かれていく。

何をつけて食べるかは大将がいちいち指定してくれる。この"いちいち"は、ぼくにとっては心地よいものでもある。

次の予約があるそうで、30分ほどの滞在であったが、全種類たべたいほど軽くて美味しい串であった。あさりは予約しないと売り切れる。

「寿し 金」
大衆寿司は、海鮮が美味しい居酒屋として優秀である。
カウンターに座り、良く声の通る大将?息子さん?との間に置かれているディスプレイの中から、お刺身を選ぶ。

近くではとれないマグロも美味しいとのことで、赤身と中トロを少しづつ盛ってもらい、酢の物も注文した。

酒は純米、燗ならなお良し。

お酒は広島 西条の賀茂鶴の燗酒。
純米酒ではなかったが、酢とのマリアージュはなんとも言えない、旅人の気分にさせてくれた。

「またたび」
ロダンというJAZZバーに行く前に、別府でもポップアップをやっていたラーメン屋へ。

カウンター7席くらいだろうか、いろんな文化がミックスされたような居心地の良い空間にはハウスミュージックが流れている。

無添加、無化調のラーメン屋で、ナチュールワインや日本酒、カクテル、そしておつまみが豊富で、〆はラーメンだが、そこに辿り着くまでに数時間は楽しめる。

西条に住んでいた頃を思い出した。
駅近くの"よし"というお好み焼き屋。
〆のお好み焼き焼きに辿り着くまで、鉄板焼きのおつまみと日本酒を飲む。
どれだけ通ったか。1冊だけ置かれている誕生日占いの本が懐かしい。

人と人が繋がるまたたび。
南極に行ってた人、SNSを辞めた人、別府から来た人、鶏肉を手にのせられる人。

気づけば、ロダンは閉まっていた。

翌日、昨日食べれなかったラーメンを食べに1人でまたたびへ。
何飲む?と言われたら、ビールを頼む。
車で移動していない日の特権。

隣には昨日いた、南極の人。
会釈し、台湾のグラスでハートランドの中瓶を飲みながら香麺を待った。
半分混ぜ麺で食べ、最後にスープをいれるから2度楽しめるよ、というサキさんの話を思い出したからこれにした。

マスターのたかやさんの友達が個展をやっているということで、向かう。

別府と尾道の似ている部分の話で盛り上がる。
蛍光イエローのHARD CHILLと描かれたロンティーを買いながら、ふと、別府のこともっと知りたいという感情が込み上げてきた。

山、海、温泉。楽しい人。
街のことを考えるキッカケは、他の街かもしれない。

芹沢高志の別府を読みながら帰ろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?