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リチャード選手の涙と重なったタンザニアの野球選手との話。

今日こんな記事を見かけた。

【ソフトバンク】リチャード本塁打打って叱られ涙…エンドラン練習で「意識見えてこない」指揮官(日刊スポーツ) - Yahoo!ニュース

簡単に言うとソフトバンクホークスリチャード選手がエンドランの練習でホームランを打って、藤本監督にお叱りを受けたというのだ。

エンドランの練習で1、2塁間の打球を打つのは理解できるのだが、少し思う事があり、記事にすることにした。

リチャード選手は昨年ウエスタンリーグ新記録の29本塁打を放った長距離砲候補だ。球団も将来はそのように育ってほしいと思っているのではないか。
それなのにランナー1塁の場面で進塁打を打たせる場面などあるのだろうか。
確かに、レギュラー候補止まりの現状では、そういった場面で進塁打を要求されることもあるだろう。しかし、彼の将来を考えた時に、そこで進塁打を打つことが本当に良い事なのだろうか?

チームプレイとは?


最近、自分自身でも考えていることがある「チームプレーとは何か?」という事だ。
チームプレーというとどうしても=自己犠牲というイメージが付いて回る。
例えば、ヤクルトスワローズ村上宗隆選手は昨シーズン56本塁打を放ち、あの王貞治氏のシーズン55本を越え、更なる飛躍が期待される選手だ。
その選手に対して、ヤクルト首脳陣は、ランナー1塁の場面で進塁打のサインを出すことがあるだろうか。

エンドランのサインが出ることはあるだろう。しかしそこで首脳陣が求めるのは1,2塁間へのゴロを打つ自己犠牲だろうか。果たしてファンはそんな村上選手の姿を見たいだろうか。

少なくとも僕の意見は「ノー」だ。

イブラが見せたチームプレー。


冒頭で思う事があると書いたのには、最近こんな事があった。

タンザニアイブラという選手がいる。
先日Twitterにもバッティングの動画をアップした彼だ。

あの動画を撮影した前日、バッティング練習を見ていたのだが、どのボールもセンターから右へラインドライブの打球を打っていた。

しかし彼は本来、パワーヒッターであると思っている。そして現在、タンザニアで唯一パワーヒッターと呼べるのがイブラなのである。
イブラの動画をアップする少し前に、アリという選手のバッティング動画を投稿した。

アリはどちらかと言うと、イブラよりもテクニックに長けた選手だ。言うならば技術で飛距離を出せる打者である。ここが彼らの違いであると思う。

近年は様々なメカニックや理論がSNSやアカデミーなどで入手できるようになり、「ホームランの打ち方」のような動画なども良く見かけるようになった。
しかし、個人的には飛距離は天性と言う方もいるように、持って生まれた選手も存在すると思っている。そういった選手に対して、チームプレー=自己犠牲を強いるのが得策なのだろうか。


イブラに伝えたチームプレー。


前日のバッティング練習を見て、翌日イブラにそのことを聞いてみた。
そうしたら、「チームバッティングを心掛け、ライナー性の打球を打つことを心掛けています」と彼は言った。

正直、僕はどう指導すべきか迷っていた。
このままでは彼の良さが失われてしまうのではないかと思ったからだ。
現状の彼のバッティング自体が悪いわけではない、むしろ好調を維持しているように見えた。それが僕を迷わせる原因の1つだった。

しかし僕は彼に伝えることにした。


チームプレーというのは、自分を犠牲にする事だけがチームプレーではない。君はタンザニアで唯一のホームランバッターだと思っている。それは誰にでも出来ることじゃない、君にしかない才能だ。だから君にはラインドライブのヒットは求めていない。ホームランを打てる選手になって欲しい。君のホームランはチームを助けてくれる。それが君にとってのチームプレーだと思う。そうやってチームに貢献してほしい。


この話がどこまでイブラに伝わったか分からない。話して良かったのかと今でも考えている。友成さんだったら、今のイブラのチームプレーに対する姿を称賛していたのではないか。とも考えている。
きっとイブラにもその迷いが十分伝わったと思う。
しかし自分には無かった、ずっと憧れていたその才能が、今のイブラを見ていると「勿体ない」と感じてしまったのだ。

正解はないけど答えは出る。


今回の藤本監督とリチャード選手のやり取りを見て、ついこの日の事を思い出してしまった。チームバッティングを求められ(エンドランの練習ではあるものの)ホームランを打って叱られたリチャード選手。
そしてバッティング練習でチームバッティングを心掛けていたが、ホームランを打てと言われたイブラ。

きっと人それぞれ意見は違うと思うし、正解があるわけではないと思う。しかしそれが本人たちにどう影響するか…いつか結果としての答えは出てくるのだと思う。
記事にはリチャード選手は涙したとある。
果たしてその涙はどういう意味だったのだろうか…。

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