\あなたの「好き」をぶつけてください/ 入り江わにさん編「川柳」が好きすぎて 第3回:いよいよラジオ投句に挑戦だ!だけど、産みの苦しみにぶち当たる。
人生は一度きり。
そう、一度きり。
だから、
たくさんの人と知り合いたいし、たくさんの場所に行きたいし、たくさんの本を読みたいし、いろんな食べものを口にしてみたいし、知らないスポーツに挑戦したいし、聴いたことの無い音楽に耳をすませたいし、似合わないはずのファッションにも挑戦したいし……と、なんとまあ欲が多い。
知らない世界をどんどん知りたい! と、日々、動くものの、やはり自分の興味関心、趣味嗜好の枠内からはみ出すのは難しい。
そこで、みなさんの「好き」を「好きなんじゃー」とぶつけていただこうと思い、「bosyu」を通じて、「好き」を募りました。
そこで、ライターで川柳人の入り江わにさんが「川柳」をやってみませんか?と誘ってくれました!ありがとうございます。
「川柳」……?
わたしの中で、川柳というと「サラリーマン川柳」は毎年おもしろいなあと感じている程度で、詠んだことはありません。「お〜いお茶」は川柳ではなくて、俳句か。と、こんな感じで知識も経験も皆無な領域。
しかし! 五七五でいろいろ表現ができるってすごいし、挑戦してみたい。さらに、上記の通りわたしにとっての川柳は「サラリーマン川柳」なので、きっと「笑い」の要素が大切だという印象が強かったので、詠むことそのものがとっても楽しそうじゃないか! と、2つ返事で、「川柳やりたいです!」とお返事しました。
まずは兎にも角にも川柳の世界に足を一歩踏み入れてみようと、えいっと飛び込んだ第1回目。
第2回目では、わたしの川柳修行を進めながら、わたしの心を揺さぶった、入り江わにさんの川柳への好き!の気持ちを深掘りしたとともに、わたしの柳名が「芭南南(ばなな)」に決まりました。
第1回&2回を通じて、ビシバシと入り江わにさんに川柳の真髄を叩き込んでいただき………いや、川柳の楽しみ方、おもしろさを教えていただき、ついに、自分が詠んだ句をラジオに投句することになりました!ドキドキドキ……果たして、わたしの句は取りあげてもらえるのか?!楽しんでもらえるのか?!
では、第3回目もレッツゴー!
ラジオに投句してみよう!
わにさん「芭南南さん、そろそろ『投句』をしてみましょうか」
芭南南「ゴクリ。ついにこの日がやってきたのですね……。川柳の楽しみ方のひとつ、投句をしてみる! ですね」
わにさん「YES」
と言っても、まだまだヨチヨチ歩きで、わにさんの指導なしには「投句」できる句にたどり着くことはできそうにもないのだけれど……。
芭南南「投句する先はきっとたくさんあると思うのですが、どこに投句をするのが良いですか?」
わにさん「まずは、エフエムHOT839(エフエムさがみ)の川柳番組『タケシのラジオ万能川柳』に出しましょう! 毎週、水曜日の朝9:05~9:30に放送されている番組で、水野タケシさんが先生でパーソナリティーは竹中通義さんです」
芭南南「おお!水野タケシさんといえば、わにさんの師匠じゃないですか!『毎日一句以上』は、水野タケシ師匠の教えでしたよね。わにさんの師匠の番組に投句するなんて緊張です!」
わにさん「そうです! まずは、どんなラジオ聴くところからはじめましょうか。川柳をテーマにしたラジオって聴いたことないでしょう?ちょうど明日は水曜日だから番組の放送日。ローカルラジオだけどラジコで聞けますよ。聞き逃しても水曜の夕方までにはYoutubeにアップロードされます」
芭南南「ラジオは大好きで、朝起きたらまずはラジオ! 料理をしながらラジオ! お布団の中でもラジオ! なわたしですが、川柳がテーマのラジオは確かに聞いたことがないです。明日の放送を楽しみにしています」
わにさん「ちなみに、番組の公式サイトはコチラです。
これも目を通してみてね」
芭南南「わわわわ、わにさん!! 四代目 柳王じゃないですか!」
我が師匠、わにさんのすごさに改めて気づく……。
わにさん「名人から大名人までがまず遠いのよ~。ここまでくるのにがんばりました」
芭南南「のぼりつめるのに、さまざまな壁があるのですね!」
わにさん「まずその週の一位になるのが難しいです。読まれない週もあるので……同じ発想の句があったら、初投句の方や、何も肩書きがない人の方が優先されるの」
芭南南「なるほど、頂点に立つには山あり谷ありですね。そもそも、名人や大名人に認定されるには、『今日の一句』に選ばれると一回一点ゲットできるのですね。点数が溜まると、肩書きがつくのですね。確かに、毎回たくさんの投句がありそうですし、その中のひとつに選ばれるのはなかなか大変そう。しかも、わにさんでも読まれない時があるなんて!!」
ちなみに、ラジオ万能川柳は
3点で名人
5点 大名人
7点 柳王
10点 大柳王
という具合に、点数に応じてどんどん肩書きがあがっていくの。こんな大海原に、わたしは太刀打ちできるのだろうか……。ドキドキ。
---翌朝---
陽気な音楽と主に、「ラジオ万能川柳」がはじまりました。
芭南南「わにさんの句が読まれた!!! なんだか、嬉しい!!! わたしの師匠の句が電波に乗っている!!!」
自分の句が読まれたわけではないのに、なんだかとっても嬉しくて誇らしい気持ちになって、テンションが上がる芭南南。ふふふ、わにさんはわたしの師匠なんだぞ〜って。こりゃ楽しいや。
わにさん「さて。どんな感じかわかったと思います。『初投句です』と書くとほぼ確実にで読まれますから、川柳を発表するのに慣れてしまいましょう。毎週締め切りは、火曜日の朝8:00ですが、早め早めを心がけて、日・月曜日あたりには投句してみましょう」
芭南南「はい! まずは慣れないとですね。しかも、初投句だと読んでいただけるなんて、ビギナーズラック。テーマもなく川柳を詠んで投句!というのは、まだわたしにはハードルが高そう……」
わにさん「三句くらいを目安に投句してみましょうか。テーマはもちろん自由ですが、時事問題か季節の句がいいですね。例えば、ホワイトデー、卒業式とか。できたらどんどん見せてください。よろしくです!」
芭南南「ありがとうございます! 時節柄は大切ですね! がんばって、できたら、順次、わにさんに提出します」
わにさん「は~い、待ってますよ!」
煮詰まる芭南南、ほぐすわにさん
芭南南「早速、四句詠んでみました!
初投句わに先生に背を押され
缶ビール春先取りし桜咲く
ついにきた明日こそはの年度末
鰤終わり鰆火にかけ春近し
いかがでしょうか……」
わにさん「一句ずつ見ていきますね。
一句目:初投句わに先生に背を押され
『ラジオ万能川柳』で先生と言えるのは水野タケシさんだけだから、成り立
たないですね。
わたしが詠むならこんな感じ。
川柳の沼に引き込む入り江わに
わにですからそのイメージで詠んだ方がいいでしょう」
芭南南「なるほど。投稿先、提出先をきちんと理解することも大切ですね。そして、わにのイメージでの句が最高です。情景も浮かび、笑いも誘います」
わにさん「では二句目:缶ビール春先取りし桜咲くね。
これは、オリオンビールの『いちばん桜PREMIUM』をイメージした? あまり広く知られていないんじゃないかなあ。川柳を詠む時は共感できる題材にすることも大事ですよ。これで詠むなら、聞き手が知らないことを前提にしないといけません。
わたしが詠むならこんな感じ。
桜咲く缶ビール手に春を待つ」
芭南南「春になると、生前の桜の花が咲く前に、こぞってさまざまな缶ビールのパッケージが桜になる光景を詠んでみたのですが、共感を呼べないとダメですね〜。それに今一度読み返すと、自分が伝えたかったこともうまく表現できていない気がします」
わにさん「はい! どんどん行くよ〜。
三句目は、ついにきた明日こそはの年度末 だね。
年度末を話題にするのは早い気がします(※この会話は3月上旬です)。仕事によっては確かに年度末になっている業種は多いでしょうけど。『明日こそはの』が聞き手にわかりにくいので練り直してみませんか?」
芭南南「そっか…聞き手の気持ちも考えないと」
わにさん「よし、これで最後ね。四句目の鰤終わり鰆火にかけ春近しは、わかるし、おもしろいところに目をつけたと思います! だけど、もっとおもしろくできると思うんですよ。わたしは鰤も鰆も出世魚なのがおもしろいと思いました。無駄を省いて『出世魚』を入れた方がいいかな、と。あと、この句は、鰤も鰆も季語ですから春と詠む必要はないのです。これも練り直してみませんか?」
芭南南「なるほどーーー。わにさんのアドバイスを元に、おもしろさを追求して練り直してみます! それにしても、わにさんに詠みなおしていただいた句はどれも感動でした! わたしにはまだまだ遊びこ事が足りないなあと思い知らされました」
わにさん「お褒めいただきありがとうございます。まぁ、慣れですよね(照)」
ボツ続きで若干凹む芭南南。おもしろい句を詠めるように頑張るぞ〜〜〜と、わにさんにも楽しんでいただける句を作るぞ〜〜と意気込む。
芭南南「わにさん! 二つの句を練り直してみました。
胃の中で見守ってくれ出世魚
明日こそ記帳をしよう明日こそ
い、いかがでしょうか…」
わにさん「いやいやいや(笑)
まずは、出世魚の方ね。鰤と鰆は省いちゃいけませんって! 出世魚の鰤から出世魚の鰆への季節の移り変わりがおもしろいんですから! これだと、そのおもしろさがわからないでしょう?
もうひとつもね、年度末は省いちゃいけない要素ですよ~。年度末にしなきゃいけないというと確定申告? それとも棚卸? わたしは、芭南南さんの事情を知らないから、これだと、芭南南さんがどんなお仕事をされていて、何をしなくてはいけないのか、わからないんですよ」
芭南南「!!!!!確かに。大事なところがスッコーーーンと抜けて、伝わらないorz。落ち着いてもう一回練り直します」
わにさん「落ち着いて(笑)。
まずは、出世魚の句で。こちらは川柳パーツを書き出して組み合わせるとやりやすいかもしれません。例えば、鰤、鰆、出世魚、と。
それからもうひとつの句ね。年度末と記帳が関係あるのですよね?こちらは、出世魚とは違い、文章で説明してみましょうか」
芭南南「なるほど。パーツの書き出しですね! 必要な要素を抽出することで、軸が見えて頭を整理しながら詠めますね。
よし! 鰤と鰆で以下二つが思い浮かびました。
鰤が去り来たる鰆も出世魚
鰤鰆晩の定番出世魚
もうひとつの年度末の句については、わたしがフリーランスで働いていることもあり、本当は確定申告のこと詠みたかったのです、確定申告が8文字と、文字数オーバーのため使えないのでどうしよーーとなってました。トホホ」
わにさん「もしや、煮詰まっている? よね?!
出世魚は鰤と鰆だけじゃないので、出世魚~と句頭にもってくるといいかもしれません。
この2つの句なら、鰤が去り来たる鰆も出世魚がいいのだけれど『去り』『来たる』が語選びが甘いんです。どこに去って、どこに来たる? って思います。きっと、食卓とか夕餉をイメージしていますよね?
確定申告は八音ですものね。そうしたら、句の真ん中か五七五をまたぐように使うのもいいですよ。この手法は、NGだという人もいますし、嫌われがちな表現でもありますが、水野タケシ師匠の仲畑流万能川柳は自由なので、挑戦してみる価値ありです。
あとはね、確定申告の類語を調べる手もありますよ。
https://renso-ruigo.com/word/%E7%A2%BA%E5%AE%9A%E7%94%B3%E5%91%8A
さらに、同音異義語、要するに駄洒落を使うとか。深刻・申告がありますね」
芭南南「たくさんのヒントをありがとうございますーーー!
いや、わにさんお察しの通り、完全に煮詰まっておりました泣。
わたしが詠む句は、なんだか弱いんですよね……。
おもしろみがなくて……」
そう。芭南南は完全に煮詰まり、袋小路に行き当たっていたのである。
芭南南「はい! 新たに詠んでみました。
出世魚主菜交替鰤鰆
→漢字ばかりですが、こんなのってありですか。
出世魚鰤も鰆も膳のぼる
→出世魚のイメージと上るをかけてみました」
わにさん「漢字ばかりは私も詠んだことありますが、さらに一工夫無いとウケないです。一番はじめに詠んでくれた句鰤終わり鰆火にかけ春近しが持っていた、鰤から鰆への季節の移り変わりのおもしろさはブレちゃダメです。
その点では、出世魚鰤も鰆も膳のぼるは、鰤と鰆が並んでしまい、移り変わりのおもしろさが消えちゃいました。先日詠んでくれた鰤が去り来たる鰆も出世魚には、移り変わりのおもしろさが残っていたんだよ。
わたしが詠むならこんな感じかな。
出世魚は脇に置いておいて……
鰤の膳鰆に変わる夕餉かな
鰤の膳鰆に変わる夕ごはん
どうでしょう?」
芭南南「出世魚を入れなくてはいけない!! と頑なに思ってしまい、そもそもこの句のおもしろみを見失ってしまっていました。
鰤の膳鰆に変わる夕ごはん
素敵です! 魚の移り変わり、食卓の変化から季節を感じることができます。わにさんが教えてくださったように、『うまい句』『おもしろい句』に触れることは大切ですね!」
わにさん「ところで、もう投句の締め切りが迫ってきているんだけど、今週はラジオ万能川柳に投句はやめましょう。ゆっくりやった方がいいし、
このやり方はなんだか『楽しくない』気がします!」
芭南南「わにさ〜〜〜〜ん。しっかり煮詰まって、そこから抜け出せません泣。確かに、わにさんがおっしゃるように、今の詠み方ですと、仕事と同じく締め切りに追われているのと同じく、詠みたい! より、詠まなくては! うまいことしなくちゃ! 完璧にこなさなきゃ! という気持ちが先立ってしまっているかもしれません。。。」
川柳を楽しむ気持ちを蘇らせる①連歌で遊ぶ
わにさん「よしよし。では、頭をリセットさせて、改めて川柳を楽しむために、遠回りして『連歌』をやってみませんか? どちらかが、まず五七五を詠んで、それに続けてもう一人が七七を詠む。コツはだんだん違うことを詠んでいくことです。遊びましょう♪ ちなみに、俳句は『連歌』の最初の句『発句』が独立してできたんですよ。どうかしら? あ、やるとしたら私の方からはじめますね」
芭南南「煮詰まったわたしのために、にたくさん考えていただきありがとうございます。嬉しいです(感涙)。連歌! 楽しそうです。俳句の起源にも触れられるようでわくわくします。ぜひ、挑戦させてください。よろしくお願いします」
わにさん「OK! じゃ、発句に芭南南さんのついにきた明日こそはの年度末
をいただきまして
愚痴を言っても仕方ないこと
と続けて詠んでみます。今度は芭南南さんがこれに五七五を詠んでください。
〜〜〜〜〜〜〜愚痴を言っても仕方ないこと
となるように、ね。連歌にも細かいルールがあるらしいけどわたしが、面倒くせー! ってなったので(笑)、何でもアリで! よろしくです!」
芭南南「めんどくせー、なんでもあり! な、わにさんの潔さと、楽しみ方が大好きです(笑)」
わにさん「詠むのは、確定申告のことじゃなくていいんですよ。
何か愚痴りたいことを五七五にしてくださいね」
芭南南「愚痴りたいこと、いっぱいあるなあ(笑)
えと、つまり、連歌というのは………五七五→七七→五七五→七七→………で会話をしていくイメージですよね?」
わにさん「そうです。今回は、二人だから、芭南南さんがずっと五七五を担当」
芭南南「たしかに、二人だとわたしがずっと五七五だ(笑)。
よし、愚痴を言っても仕方ないことへのお返事の句が読めました!
目が痒いもしや噂の花粉症」
わにさん「涙流れて止めるすべなし」
芭南南「刺身盛りわさびも盛りすぎ辛さ耐え」
わにさん「お、いい感じですね!
そんな我慢が続く人生」
芭南南「いちご咲くケーキ屋通過ダイエット
おやおや、連歌、楽しいですーー!」
わにさん「うまいうまい(笑)
甘い誘惑負けるものかと」
芭南南「わにさんがおっしゃるとおり、楽しい!! と感じられると、途端に自由になって、頭が和らいで、言葉も紡ぎやすいです!
休肝日炭酸水で欲満たす」
わにさん「いい感じですね!酔ってないけど酔ったふりして」
芭南南「夜散歩もぞもぞ握るあなたの手」
わにさん「そこだけ春のようなぬくもり」
芭南南「いつもわにさんからのお返事は超特急で感動です。ありがとうございます!
初土筆はしゃぐ母から写メ届く」
わにさん「あ、これいいですね😃
春まだ浅きふるさと思う」
芭南南「おさがりの母のセーター衣替え」
わにさん「父と出会ったころのだろうか
さてさて、連歌はもっとやりとりするものらしいけど、このへんで一旦とめて、ラジオに投句するものを選びましょう!!」
芭南南「おお、今度こそラジオに投句ですね」
わにさん「鰤の膳鰆に変わる夕ごはん
いちご咲くケーキ屋通過ダイエット
初土筆はしゃぐ母から写メ届く
の三句を送ってください!」
芭南南「はい! わにさんの心に留めていただくことができた三つを投句してみます。うまいこと言ってやろう!! とかしこまった頭で考えたのではない句がどれだけ響くのかドキドキですが、連歌はとっても楽しくて、普段の生活で五七五がだんだんと身近になってきました。わにさんにどうやってこの気持ちを五七五にして伝えようかな〜って考えるだけでワクワクしました。聞いてくれる人がいる、キャッチしてくれる人がいるというのも、もしかしたら上達への道のひとつかもしれません」
わにさん「投句は火曜日の朝8:00までですから、今日中に!
あ、私も出さなきゃ」
芭南南「早速、投句しました!! ドキドキ。わにさんの句も楽しみだな〜。
そして、連歌の続きです!
父と出会ったころのだろうか
に対して
馴れ初めを頰赤らめて話す母
を詠みました」
連歌が楽しくて、まだ続けようとする芭南南(笑)
---後日---
わにさん「ラジオでちゃんとラジオで読まれてましたよ!」
芭南南「わーーーーい! いちご咲くケーキ屋通過ダイエット が読まれましたね。自分が詠んだ句がこうして取り上げられるのは嬉しいな。わにさんのおかげです」
こうして、芭南南は、煮詰まってしまったところから、わにさんに引っ張り出してもらって、ラジオ投句デビューを果たしました!
川柳を楽しむ気持ちを蘇らせる②前句付けで遊ぶ
わにさん「あ、連歌を続けます? 今度は、連歌から生まれた川柳の詠み方の『前句付け』にしようかと思っていたのですけど」
芭南南「連歌が楽しかったもので! よし、前句付けに挑戦します!
わにさん「OK! 要領は連歌と同じです。今度は七七に違う五七五をふたつ付けてみてください。
じゃ、
春よ春よと心浮き立つ」
芭南南「2つ詠めました!
もこもこのニット脱ぎ捨てワンピース
いざデート桃色紅で頰染める
いかがでしょう」
わにさん「よし、じゃ、同じ題で前句付けをもう一句いってみよ〜!」
芭南南「はい!できました!
暁にジョギングシューズの紐しめる
ん〜、どれもあんまり……でしょうか?」
わにさん「いや、いいですよ! この春の三句、ラジオ川柳に出しましょうよ。明日だから。」
芭南南「え?! もう締め切りか! 一週間早いなあ。今度は、初投句じゃな意から、読んでもらえるかさらに緊張です」
わにさん「では、ラジオの放送を待つ間、前句付けでもう少し遊んで見ましょうかね。んじゃ、今度は、夏いきましょうか。
人皆思うそれぞれの夏」
芭南南「三つ詠めました!
ただいまの麦茶一杯からからと
紫蘇ジュース甘く酸っぱい祖母の味
靴を脱ぐ海の誘惑砂まみれ」
わにさん「うん、三つともいいですねー。
これは、ラジオではなく、応募しましょう!
応募者全員カレンダープレゼントですよ!
https://www.n-techno.co.jp/calendar_campaign/ 」
芭南南「わお。わにさんから合格点をいただけて嬉しいです。しかも、川柳の楽しみ方、応募してみる! ですね。ステップアップじゃ」
わにさん「プレゼント付きだと、やる気も増すでしょう?(笑)だけど、ラジオ万能川柳も忘れずにね。投句が続かないと師匠がさみしがってしまいます。ぜひ、続けてくださいね」
芭南南「継続こそ、上達への道ですよね。というか、このバタバタな頭の中を川柳で整理しないと……」
それから、芭南南は、事前にわにさんチェックをしていただくことなく、ラジオ万能川柳に毎回、投句するぞ!と心に決めました。
数回、締め切りを忘れ、投句をすっぽかしてしまったものの、投句すると毎回読んでいただけるようになり、その度に、水野タケシ先生にコメントもいただけて嬉しい日々を送っています。まだまだその道のりは長ぁぁあいけど、目指せ、名人?!
毎週、わにさんから「ラジオ川柳はもう提出した〜?」とメッセージが届くのも嬉しいコミュニケーションです。わにさんが側にいてくれるので、川柳を続けられているし、生活の一部になっています!
一人で楽しむ、みんなで楽しむ
芭南南「はじめて、ラジオ万能川柳に投句してから、いくつ詠んだかなあ。ズボラな性格ゆえ……今まで読んだ句をちゃんとメモしておかなかったのです。ちょっと悔やまれます。わにさんは、誰かが詠んだ『名句』をExcelで管理されていらっしゃいますが、ご自身で詠んだ句も管理しているのですか?」
わにさん「はい。Excelファイルにタブがいくつもあり、募集要綱・公募・その他・朝日新聞・ラジオ・毎日万能川柳・名句・オタク川柳~と分類しています。オタク川柳は回で分けてタブを増やしているので10タブあります」
芭南南「ああ、素晴らしいです。自分の句をアーカイヴ化していくことも大切ですよね。後から読み返すと、日記としても楽しめそうです。
楽しむといえば、今回、はじめてラジオ投句をするにあたって、誰かの目に触れることを意識した途端に、頭がガチガチになってしまって、煮詰まった経験はとてもタメになりました。それに、そこから『連歌』や『前句付け』を通して、引っ張り出してくれたわにさんにとっても感謝です。『楽しむ』気持ちを呼び起こしてくれました!」
わにさん「わたしの指導がダメダメだったのと、私も遊びたかったんです。芭南南さんとのやりとりは楽しかったです!」
芭南南「そんなことないですー! わたしもとっても楽しく、わにさんとやりとりさせていただいています! 相思相愛。んふっ。
このやりとりを通じて、川柳は一人で黙々と詠むイメージがありましたが、連歌などの遊びがあったり、ラジオや応募を通じて、誰かの目に触れられた上で、さらにレスポンスをもらうなど、他人とのコミュニケーションとしても楽しめるものなのだなあとしみじみ感じました」
わにさん「みんなで集まって句を詠み合う『句会』ってのもありますしねぇ。コミュニケーションツールですよね。私は持病があって句会には参加できないんですけど…」
芭南南「『句会』。聞いたことあります。人前で詠むとなると緊張しちゃいそうですが、その場ですぐに反応をもらえるから、川柳キャッチボールが楽しめますね。確かに、川柳は、五七五と限られた字数とリズムで自分の伝えたいことを編集するから、コミュニケーションを円滑にしてくれるのかもしれません。
また、川柳を詠んでいると、なんだか写真を撮っているような、絵を描いているようなそんな気持ちにもなりました。川柳は言葉なんだけど、写真や絵画のように、言葉では言い表せない情景や気持ちを、表現できるように思うのです。言葉で言葉で表現できないことを表現するって、なんだか矛盾だらけかもしれませんが(笑)。ああ、この海のキラキラが綺麗だな、どうにかこの感動を残しておきたいなというときに、写真に撮ろう! 絵に描こう! となる気持ちに近いというか……」
わにさん「それは芭南南さんの句の強みなんですよ!わたしの川柳のExcelファイルの名前は『映像的リズム感自己投影』っていうんですけど、水野タケシ師匠の教えをファイル名にしたんです。情景が浮かぶような句は良い句なんですよ~」
芭南南「なんと、強みですか。 嬉しいです! わたしの『句』にも『らしさ』があったのか。まずは、川柳のルールをしっかり身につけて、その土台の上で、自分らしい句を詠む。ある程度の縛りとそこから解き放たれる自由さ。川柳って、コミュニケーションツールでもあるし、自分自身と向き合うきっかけにも繋がります。
『映像的リズム感自己投影』っていい名前! 情景が浮かぶ句は説明くさくなくて、受け取る人のいろんな人の生活や思い出と溶け合って、それぞれの情景を思い起こしてくれるのかもしれませんね。
わにさん! 引き続き、楽しい川柳時間をご一緒させてください。よろしくお願いします」
つづく。
次回は、もっといろいろな公募に応募をしてみます!
他にどんな公募や発表の場があるのかを教えていただき、実践を繰り返しながら川柳の世界を広げていきます!
みなさんも、一緒に、応募しちゃいましょ〜。
プロフィール
入り江わに(いりえ・わに)
オタクじゃ老害、川柳じゃ若手!
オタクが互いをお宅と呼んでいた頃からのマンガアニメオタク。兼、川柳人。
川柳の流派はないが、仲畑流万能川柳の水野タケシ氏を師匠と崇めているので多分仲畑流の末席。
川柳を始めたのは昔事故で右手を故障してイラストが描けなくなったのがきっかけという中々ハードな人生を送っている。
過去絵のTシャツ販売サイトあり。
オタクと川柳のサイト
otabun.net
Tシャツ販売サイト
suzuri.jp/banawani
中村翔子(なかむら・しょうこ)/芭南南(ばなな)
本屋しゃん/フリーランス企画家・文筆
1987年新潟生まれ。本とアートを軸にトークイベントやワークショップを企画。青山ブックセンター・青山ブックスクールでのイベント企画担当、銀座 蔦屋書店 アートコンシェルジュを経て、2019年春にフリーランス「本屋しゃん」宣言。同時に下北沢のBOOK SHOP TRAVELLERを間借りし、「本屋しゃんの本屋さん」の運営をはじめる。千葉市美術館のミュージアムショップ BATICAの選書、棚作り担当。本好きとアート好きの架け橋になりたい。バナナ好き。本屋しゃんの似顔絵とロゴはアーティスト牛木匡憲さんに描いていただきました。
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いつも読んでいただきありがとうございます。この出会いに心から感謝です!サポートをはげみに、みなさまに楽しい時間と言葉をお届けできるようがんばります。