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#本屋KIBAKOができるまで「本屋での嬉しい出来事」

以前、書店で働いていた時の話です。

いつものように新刊本の整理をしていると、お客様から声をかけられました。
50代くらいの男性。
「専門学校の案内本とかないですか?」と。
具体的に何を調べたいのかを確認します。

見た感じは、お父さん風。
そして何だか焦っている様子が見て取れる。
すでにキャリアコンサルタントとして高校生の進路相談を経験していた私。
お子さんの進路でお困りかも?と考えて、それとなく聞いてみたのです。

実は、と話し出してくれました。
高校3年生の息子さんの進路が心配で、いても立ってもいられずに本を探しに来たのだとか。
公務員試験を受けているが、もし不採用だったら!
息子の次の行き先を考えておきたい。
そんな親心を書店内で30分くらいでしょうか、立ち話していました。

本来はやるべき業務があるので、お客様とのやり取りは最小限に留めるべきなのですが。
放っておけなくて、つい。

ひとしきり話した後、本を購入はせずにお帰りになりました。
だって必要のない本を買ってもらうわけにはいかないです!
これも書店員としてはダメなんでしょうね。

それから2ヶ月後。
「やっと会えました!」とそのお客様が声をかけてくれたのです。
私は週3日の不定期なシフト。
書店に来ては私を探してくれたそうです。

「おかげさまで息子は無事に公務員に合格しました。その節はお世話になりました。」とわざわざお礼を言うために。

何をしたわけではないのです。

息子さんを信じて試験結果を待ちましょう!
不合格だった時にもう一度親子で話し合ってみるといいですよ。
多分そんな話をしたと思います。

それでも、こうやって報告に来てもらえたことが私も嬉しくて2人で喜び合いました。

私が本屋をやることになったら、些細な出来事を分かち合える存在でありたい。
そんな事を心に刻んでくれる一コマでした。