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全て受け入れることは思考停止すること

僕は仕事が終わったあとアルバイトをしている

夜遅くにも関わらず年配の方が多い環境である


僕は田舎に育ったため

常にじーさんばーさんと呼べる方々が周りにたくさんいて

お年寄りは大切にしなさいと言われ育ってきた

今もその通りだと思って生きている




おじいちゃんおばあちゃんの世代ほど

育ってきた環境が激変する世代は

もしかしたら今後ないのではないかと思っていて

激動の文化の中みなさん生きてきた皆さんを尊敬している



最近あったできごとなのだが


僕のバイト先のおばあちゃんは

あまりに仕事が早く終わってしまうと良くないので

ゆっくりやって遅く終わろう

とおっしゃる

日給というのもあって

早く帰ることが悪という感覚だ


かく言う僕は真逆の発想で

手際よく早く終わらせた方が電気代や水道代の節約にもなる

単純に素早く綺麗な仕事ができるのは良い仕事をしている証しで

それがお給料以上の働きであると思う

帰って

空いた時間でドラマの一本を見たり、本を読んだりした方が

よっぽど豊かで良い人生になる

と言うのだが

おばあちゃん曰くそういう話ではないらしい


働き方が変わっていく時代だから

もっと柔軟な考えをもってほしいと言った

お互いイラついて険悪なムードになってしまった





落ち着いた頃に

ふと思い出した出来事があった



田舎ならではの光景なのかもしれないが

深夜のコンビニで年配の方がレジをやっている店舗が多々ある



深夜、とあるコンビニに入った時の事


店員さんが70は越えておられるであろう

おじいちゃんだった

仕事が遅いばっかりにレジは行列

タバコの銘柄がわからず客に怒鳴られひたすら謝るおじいさん

ついには

おばさんの店員が目の前でおじいさんを怒鳴る始末


使えねーなと吐き捨て、おじいさんに強くぶつかりながら違うレジを開けるおばちゃん店員


お客さんもおばさんのレジにつき


ついにはおじいさんのレジには誰も並ばなくなってしまった


おじいさんと働くということはどういうことか

考えたらわかるはずで

いじめや暴力で解決することでは無い

単純に雇わなかったり首にすれば良いのに

しかもなぜ人前でそんなことをするのか



そのおばさんに胸糞悪くなった僕は


おじいさんのいるレジへ向かった


ありがとうございますと

おじいさんは言った


僕はおじいちゃんに話しかけた

「おじいちゃん働くのは凄いけどこんなとこじゃなくてもっと良いとこあるんじゃない?」


するとおじいさんは言った

「こんな老人を雇ってくれるだけでありがたいんやさな、

ほんとにありがたいこっちゃぞ」


なんておっしゃるんです

明らかにイジメを受けているにも関わらず

そんな言葉が出るとは驚いてしまった

昔から働き者の性分で

たくさん働いてきたんだろうなと

でもそんなことを言ってしまったら


全てを受け入れるような発言をしてしまったら

何でもまかり通ってしまうから


おじいさんには考え直して欲しかった


家に帰っておじいさんの言葉が頭から離れなかった

もう怒りがおさまらなかった

でも少し考え方を変えてみた



僕が怒りを感じたあのコンビニは

おじいさんにとっては大切な場所で

叱られても今働けることが唯一の楽しみであって

幸せなのかもしれないと



僕の怒りは一方的なもので


お年寄りには優しくしなくてはいけないという価値観から来るもの


それだけでしかなかったのでは無いかと



そしてまた、ふと考えた


かく言う僕にも後輩がいて感情的に怒ってしまうことがある

指示した通りにできないとイライラしてしまい

指示したよね?と煽り、説教を続けた

後輩の学ぶ姿勢が悪いからだと、厳しい対策を練った

でもやっぱりミスは続いた。




悲しみや苦しみの根源は

「自分の思い描いた通りにならない事」



後輩にイライラさせられていると言うよりは

自分の作った理想がイライラと言うストレスを生み出していて


それが後輩の個性や可能性を殺しているのでは無いかと思った



単純に後輩のミスは自分のミスであり

伝達や指導がうまく行っていなかったために起きたミス

怒ると萎縮してしまう性格や、プレッシャーに弱い彼のことをわかっていたつもりであったが

いつのまにか自分の駒にしようとしているだけだった



怒りという感情は生き物だからこそであって

全て受け入れるのは機械と同じ

それは考えるのをやめる逃げだと考えていた


しかし

今の自分にはそれこそが思考を停止させる根源であると考えている


自分の理想通りにならない現実を受け入れ

自分の無能さを反省し

解決策を練る

それが僕に足りなかったものだ



今回のバイトの件もそれに尽きるな


バイト先のおばあちゃんは独り身だし

働くのが好きだと言っていた

でもそれしか楽しみが無いとも言っていた



次早く終わった夜は

解ければ僕が家まで送っていこうと思う

ドラマや本もいいけど

帰りの車内でおばあちゃんの青春の話でも聞いて

早く帰れる日の

仕事以外の楽しみになれるといいな


また喧嘩になったら、一度受け入れてみよう




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