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『桐島、部活やめるってよ』TRPG その3(行為判定・日常点編)

3 行為判定

 桐島TRPGでは、「キャラクターが成功するか失敗するか分からない」行動を行った時に、【行為判定】という処理を行う。
 このゲームは【行為判定】をとにかく行い、キャラクターたちの「日常」を描くのが目的のため、些細なことでも判定をしていくのをお勧めする。そのキャラクター達が日常で行っているであろう行為を、「判定」というランダムを持ちこみ、描写していくのがこのゲームの醍醐味である。

 判定は、以下の手順で行う。

 キャラクターのロールプレイのキャラクター描写のさなか、プレーヤーによる行為判定の挑戦を宣言、あるいはGMによって行為判定を促される。

 プレーヤーはその判定を【基礎能力判定】だけで行うか、【特徴要素】を加えるか選択する。
 行為判定は、【基礎能力判定】(【運動】【精神】などの数値を用いるもの)と、そこに【特徴要素利用判定】(設定した五つの特徴と、その個性値を用いるもの)を加える判定がある。

【基礎能力】のみで判定する場合、GMがその状況に即した基礎能力を指定する。
 例えば「映画を撮影するので、場所を譲ってもらうよう説得する」場合は、【社交】の数値で判定する。
 しかしもし相手を脅す感じで説得しているのならば【精神】の値で判定してもいいだろう。これらのどの技能を使うかは、プレーヤーからも提案してよい。
 GMの指示、あるいはプレーヤーの提案にGMが納得した場合、それにふさわしい難易度をGMは調整して、目標値を設定する。目標値とは、その数値を越す数値をサイコロと能力値を足した物を出せれば、行為を成功した、と見なされる数値の値の事である。

 行為の目標値の難易度目安は、とくに技能のない普通の人が達成するのに半々の確率のものを「10」。あまりにも簡単にできるモノは「5」程度がよいだろう。
 難易度はGMの裁量に寄るところが大きいが、なるべく成功させる方向で難易度設定をすると良いだろう。
 さらにそこで、GMとプレーヤーの相談で、難易度を1~3に間で増減させてよい。
 目標値が決まったら、プレーヤーは6面サイコロを二つ振り(以降2D6と表記)、そのサイコロの数値と、能力の数値を足した物(これを【達成値】という)が目標値以上の場合、それを成功とする。

【特徴要素】を加えて判定する場合、プレーヤーがどの特徴要素を使うか宣言できる。
 GMはその特徴要素を、どう判定に関連するのかを聞き、説得力のある物だと感じたら、使用した要素に付随する「個性値」をボーナスとしてサイコロの目の出目に加算(あるいはマイナスにもできる。プレイヤー判断)して判定を行える。
 この時、【特徴要素】は、使えるだけ使ってもかまわない。例えば、個性値1の要素と4の要素を二つ同時に消費し5点のボーナスを出目に加算する、という事も出来る。
 また、個性値の数値を、マイナスとしてサイコロの出目から引かせる事も出来る。この場合も加算する時と同じく、使えるだけ使ってもかまわない。1つの要素をプラス、もう一つをマイナスとし、ちょうどいい数値になるよう打ち消し合ってもよい。

 ただし、一つの【特徴要素】を使用した場合は、同じ要素は、その日は使用不可能となる。次の日の最初の時制になったら使用できる。

4-1 日常点

 日常点とは、このゲームで何らかの行為判定を行ったりすると得られる得点の事である。キャラクターはこれを稼ぐ事により、今日と言う1日を「私」を維持してどうにか平穏にやりすごす事が出来るのである。

 このゲームは、1日を何回かのシーンに分けてキャラクターを行動させる。
 映画版レギュレーションにのっとれば、3日程度が望ましい(場合によっては2日~5日程度もありうる)。
 GMは、その1日の始まる前に、その日に獲得しなければいけない【目標日常点】を提示する。
 プレーヤーは、その【目標日常点】以上の点を1日で獲得できなかった場合、その日の日付が変わる瞬間に「私」を3点失う事になる。

 目標日常点の目安は、初心者であれば50~100点、慣れていれば150~200点程度だろう。
 日常点は日をまたいで持ちこす事は出来ないので、目標点に達したら失敗によるデメリットを回避するために行為判定を控える事をお勧めする。展開のスピードアップにもつながる。

4-2 日常点の取得

 行為判定に成功すると、日常点を「10点」取得できる。
 ただし、判定で目標値を達成値が4点以上上回った場合、「あまりにも当たり前に出来てしまったので、日常の実感すら沸かなかった」ため、取得できる日常点は半分の5点となる。これを【4点以上オーバー】と言う。なので、あまりに能力値が高いキャラクターは、しばしば日常点を得るのが難しくなる。

 特徴要素を使用した【特徴要素利用判定】場合、「日常に強い印象を残した」ため、2倍の得点・20点を取得できる。ただし特徴要素を使用した場合でも【4点以上オーバー】になってしまったら、取得できる得点は半分、つまり10点になってしまう。

 各種の行為判定に失敗すると、なにげない失敗が内心深く自分を傷けるため、「私」が1点失われるものの、日常点は5点入る(特徴要素を使って失敗しても5点)。ただしスクールカースト「5」のキャラは、失敗しても日常点は入らない。

 さらに、「他のプレーヤーをからめた判定をした」「(映画版レギュレーションを採用している場合)原作NPCをからめた判定をした」場合、取得できる日常点を2倍に出来る。

 例えば、スクールカーストが「3」のキャラが、「原作のキャラクターである前田に、映画についての話題で話しかける」という行為判定に成功すれば、20点。もし【特徴要素】を加えて成功していたら、さらに2倍の40点を取得できる。

 その他GMが用意してきたボーナスポイントリストにある行動をキャラクターにとらせた場合、その得点も加算される。後述する。

5-1 ファンブルとクリティカル

 判定をしているさなか、ごく稀に致命的な失敗をしてしまったり、奇跡的な成功を起こすことがある。これらをファンブルとクリティカルと呼称する。どんなに簡単な判定でも失敗の可能性は常にあり、またどんなに困難な判定でも、ごく僅かにだが成功するチャンスがあるという事である。

 2D6の数値が、「2」つまり1ゾロであった場合、自動失敗となり、致命的失敗【ファンブル】となる。私が1点失われ、さらに後述する【私喪失ファンブル表】を振り、なんらかのデメリットを被る。
 しかし、スクールカーストが「5」のキャラクターは、2D6の数値が「3」以下で【ファンブル】が起きる。つまりのファンブルの危険が高くなる。
 これは、クラスで主流派な人物にとって、とるに足らない些細なミスで、いつでもスクールカーストが転落する事を示している。
 また、スクールカースト「1」のキャラクターは、ファンブル値を持たない。1ゾロを振ってしまっても、ただの自動失敗となるだけで、ファンブル表を振る必要はない。彼らにとって、失敗は日常の事なのだ。

 また、「12」つまり6ゾロを振った場合は、自動成功となり、奇跡的成功【クリティカル】が起こる。普段より華麗に何かを解決できたことから「私」を1点回復出来る。
 この場合、達成値が目標値に届かなくても成功となり、また目標値を4点を以上超えても取得した日常点は半減されない。

5-2 「私」を失った場合のファンブル

 シーン中、「私」がoになった場合、また【ファンブル】を出した場合、サイコロを一つ振り、以下のファンブル表を参照にした行動をその場で取らなくてはいけない。その行動を取った後、冷静になって「私」を1点回復する(【ファンブル】をした場合でも回復)。
 ファンブル表に起きた事を実行できない状況になった場合、そのキャラクターは学校の中で居場所を失い、ゲームから去ってしまう。具体的には、「スクールカースト」が減り、0以下になる事で、ゲームオーバーになる。

【「私」喪失ファンブル表】

 1
  感情が爆発してしまい、自分でもコントロールできない怒りを炸裂させる。 周囲に自分より上のスクールカーストの生徒がいた場合、スクールカーストを1減らす。 さらに【友人関係】を結んでいる人がいたら、その対象が【精神】判定に失敗した場合、【友人関係】を破棄されてしまう。

  2 
   思わず本音の感情や言葉が出てしまい、周囲の人間を戸惑わせる。 自分より上のスクールカーストの生徒がいた場合、自身のスクールカーストを1減らす。

 3
  呆然自失となってその場から動けなくなってしまう。
 次の時間軸にシーンが移るまで判定を行う事ができない。

 4
  涙がわけもなく流れ出てしまい、自分自身戸惑う。 もし周囲に自分より上のスクールカーストの生徒がいた場合、スクールカーストを1減らす。 また、その場に人がいなくても、泣き顔が崩れているため、その後誰かに顔を見られた時【器用】判定に失敗すると、泣いていた事が噂となりやはりスクールカーストを1減らす。

 5
  思わず大声をあげてしまう。騒ぎとなってしまい、スクールカーストを1減らす。

 6
  思わぬ動きをしてしまい、大けがをしてしまう。【運動】の基礎能力数値が今日1日「1」となり、 その他の能力も、今日1日【精神】判定以外マイナス2のペナルティを受ける。  

6 ボーナスポイントリスト

 GMは、「大体こういう展開になったら面白いなあ」という事をあらかじめ妄想し、それらの行動をプレーヤーがとったらボーナスポイントを与える事が出来る。
 あらかじめGMは、とらせたい行動をリスト化し、キャラクターがそれを成し遂げたら、そのリストにチェックを入れ、任意の日常点を与える。
 いわいる通常のTRPGのGMのシナリオ作成に相当する。
 これらはゲーム開始の最初に提示される。キャラクターメイキングの時点で提示してもよい。

シーンの進行編へ続く→

(写真:ニシデアンナ

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