ジエ子さん。第2回

【ジエ子の外見、どこ住なのか】

 髪は一応、軽く染めている。
 黒のままではあまりに重すぎて、ほんのり栗色のショートボブ。でもそんなものはあだ名になる程度の特徴ではないか。肌は白いが、きれいじゃないと思う。お化けのような白さだな、と、デザインが北欧すぎて部屋に合わない姿見を見るたびに思う(この姿見は先輩からもらったものだ)。
 顔も栗のような輪郭で、とてもとても「美人」なタイプではないのは、もう鏡の中の私が私を見るたび、思う。

 身長は153cm。日によって155cmに行く日もある気がする。つま先立ちをし続ければ、身長は増えるのかな。
 体重は51キロ。痩せるべきなのかどうか。体を鍛えているわけではないから、あらゆる部位がぶよぶよと水を含んだ餅のような感じがして、太っているような気もする。ネットサイトで見たら「標準」とある。しかし一説には「標準とは太っている事」という指摘もあるが、どこかで私は、女性を過度に痩せさせようとする風潮に強い嫌悪感がある。「シンデレラ体重」という単語を聞いたときは、虫酸が走った。シンデレラ体重のために私は40.8キロにならなければいけないらしい。双子を出産してもまだおつりがくるのかよ。

 東上線の沿線の、“準急は止まる駅”のある街に住んでいる。理由は、会社から近くて、安かったから。それ以外の理由はあまりない。ここは埼玉だ。

 もともと私は埼玉に住んでいた。実家も埼玉の春日部にある。この街も埼玉だが、私の故郷の埼玉とはまた違うなと思った。それに、なんか住んでいると言ってもただ寝に戻っているという感じなので、体感としては「東京にいる」という感じがする。

 一人暮らしは大学3年のころから。それなりに頭のいいとされる大学に通っていて、まあ、早稲田なんだけれど。文化構想学部にいた。

 春日部から早稲田は通えない事はない。ただ、片道1時間と20分があまりに面倒くさく、3年目から友達とルームシェアに誘われたのに乗った。
 だけどその友達がいつの間にか恋人と暮らすことになり、結局一人暮らしになったのだが、一人暮らしは楽しかった。一人でいるのはすごく楽しい。ルームシェアじゃなくてよかったと本当に思っている。それくらい、人がいると気にしてしまう。ささいな音にもビクっとなってしまう。一人暮らしでよかった。でも、変な音が鳴り続けると不安になってしまう。そんな夜は、一人は本当に嫌だった。変な音が鳴り続ける夜って、あるあるだと思うんだけど、ないですか?

(つづく)

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