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『桐島、部活やめるってよ』TRPG その7(ソロリプレイ2)

■土・日の時制

 ここは目標日常点を設定されない。
 飛ばしてもいいが、せっかく技能があるので「休日写真を撮ってた」と言う事にし、技能の使用を宣言(二日間もやるのはだるいので、ここでは一緒くたの時制として処理)。
 街の様子でも撮ろうと、あちこちカメラのシャッターを切る……
 難しい写真ではないので難易度は5。【器用判定】で、目標値は3。ファンブルさえしなければ成功するはず……出目は「8」。
 判定は成功したため「私」は1点回復。「5」に。【4点以上オーバー】が発生したので、写真の出来は今一つだったようだ。

 土曜も日曜も、深柄はカメラを手にしては撮影し、また撮影した写真をデジタル一眼の再生画面で見る。やっぱり、大した写真は撮れていない。

■二日目 月曜日

 目標日常点は150点とする。けっこう大変か……ボーナスポイントで稼ぎたい。
 朝の時制で、HR。【バレー部が桐島の彼女に詰めよって騒ぎになる】というイベントを体感するため、シーンの場所は教室に。
 いつものように遅刻気味に教室に行くと、バレー部員たちが桐島の彼女に「桐島に何か言ったのか」と詰め寄っているが、「君らレギュラー取れて良かったね」的な返しをされているシーンが。
 そのさなか、目立たないように席に着こうとする深柄。
【器用判定】。難易度普通の「10」。 ただし皆の注目はバレー部に注がれている……ので、1点減らして「9」。
 早めに特徴要素を消費しようと、【2・人を寄せ付けない無言の圧力】を使用。器用の数値は2なので、9-2-2=「5」が目標値。
 出目は……「6」。4点オーバーもなく成功、無言の圧力を周囲にふりまきながら、いつものように着席する事に成功。そしていつものように机につっぷして、寝たフリ開始。
 特徴要素利用のため10点が2倍になり20点獲得できた。

 教室に近づくと「桐島の事に決まってんだろ」、という大きな声が聞こえた。中に入ってみれば、隣のクラスのバレー部の人が入って来ていて。空気がきまずい。
「ちょ、やめろってもう」
「お前あいつに何言った」
 ゴリラみたいなバレー部の男子が、飯田さん――桐島君の彼女に詰めよっている。どうやら、桐島君は朝練習に来ていないらしい。
 あの桐島君が、部活を辞める――?
「関係ねぇだろ」
 いさめる女子の言葉に、バレー部のゴリラは大きな声を張る。クラスのみんながゴリラと桐島君の周囲に気を取られる中、深柄は悠々と席につき、鞄を下ろすと、いつもの姿勢……眠ったように机に突っ伏すのだった。
 関係がない。
 私には関係がないのだ。桐島君が、部活に来ようがきまいが、やめようが。
「昨日スクリーム2を見ちゃった」
 映画部のデブの方が、深柄より遅れて入って来て、映画部の眼鏡の方に話しかけているのが耳に入る。
 関係がない。私と桐島君は、私と『スクリーム2』と同じ位、関係がない。

 ここで深柄は騒ぎを聞き、桐島が部活を辞めた事を悟った、という所でシーンは終わり。

 HRが始まって授業中もずっとこんな態度(寝たフリ女)だから、この後判定が動きそうな感じがしない……

 とりあえず次は「昼休み」の時制を選択。映画だと、【帰宅部3人組が石段でトーク】【女子4人組みが因縁つけたりしてケンカ】【映画部が血のりまみれで購買に並んでいる】とかがある。原作キャラに絡んで2倍ボーナスを狙うか。あるいはボーナス行動を取らせるか。
 でもボーナス行動は誰かに「話した」が多い。この深柄というキャラクターに友達がいないのもあり、なんか思いつかない。ここは一つ、ランダム要素に頼ろう。【事件表】を振る。二つのサイコロを振り、最初を10の位、次が1の位だ。
 出目は「5」と「1」。「51」の項目は……【憂鬱になる】
 もう充分憂鬱なんだが……。場所は、とりあえず購買のある食堂に行き、映画部の二人やかすみ(橋本愛)や実果(清水くるみ)が買いに来るのを見ていよう。

 昼休みの食堂。
 血糊まみれになってる映画部のデブと映画部のメガネの後ろを「買わないならいい?」とかき分けて、バド部の女子の二人が割りこんで購買のパンを買っていくのを見た。その後ろに並んでいた私は密かにその子にガンを飛ばすが、どうせバド部は写真部の私のことなんか眼中にないだろう。
 私も血まみれの映画部をすり抜けてパンを買おうとしたが、目当てのレモンパンは「ちょうど売り切れた」という。あのバド部の女に買われてしまったらしい。
 憂鬱な気持ちになる――。

 このむかつきがバド部にバレないかどうか、という判定……。
気持ちを隠せるかの【器用】(2)と、むかつきを顔に出さないでいられるかの【精神】(3)も絡むので、足して2で割った数値(小数点切りあげ)の「3」で判定。難易度は普通の「10」としよう。
 内なるGM曰く、
「もし失敗したら、原作キャラに絡まれるので貰える日常点を2倍(判定失敗の5点×2)としていいが、もし成功したら、無視されるので「絡まれ」と見なさないから2倍ボーナスはなしね(通常判定成功の10点)」との事。
 つまり、失敗しても成功しても取得できる日常点が変わらないという事か。むしろ成功を狙って4点以上オーバーになって半減された方が点が低くなる(もちろん「失敗」の場合は「私」が1点なくなるが)。
 ここはむしろ、失敗した方がロールが転がるかもしれない。原作キャラにからめた判定がきる機会も生まれるかも。所持「私」点は5点あるので、まだ余裕だ、と考え、ここは失敗してもいいかもしれないと難易度交渉をせず、サイコロは平目で挑戦することに。
10-3=「7」の目標値。7以上で成功……。
 出目は「9」。成功してしまった……日常点10点取得。

 深柄はレモンパンを買って行ったバド部を睨んでいたが、あの女子は深柄など眼にはいらなかったのだろう、足早に去っていく。連れのバド部のもう一人も、私を気にすることなく「映画完成したら教えてよ」とか血まみれの映画部たちに親しげに話しかけていた。前々から思っていたが、あの女子――東原さんは、人生余裕だな、と思う。
 でもしかたないと思った。
 東原さんはかわいい顔してるからだ。かわいい顔してるから、あの気持ち悪い映画部の人達にも余裕で話しかけられるんだなと思う。

 うーん、描写(ロール)するのは楽しいが、この後ロールが転がっていくように思えぬ。物足りないのでこの時制でもう一度事件表を振ってみた。
「3」と「6」。事件表で「36」は【誰かが慌てている】……。
 誰かって誰だよ。このシーンに登場している映画部の二人も別に慌ててない様子だし、かすみも違う。実果も行ってしまった……。
 ここは「誰かって誰だよ表」を今作成してランダムで振ってみよう。

 【誰かって誰だよ表】
1~2 キャラが知ってる人(既にロールに出てきたNPCか、他のプレイヤー)
3~4 まったく知らない人(新NPC)
5~6 原作NPCの誰か。

 雑な表の出来だが、出目は「1」。
 じゃあ、1日目で出会った「林」を再登場させて、慌てさせる事にする。

「何て顔してるんだよ」
 深柄は急に耳元でささやかれた。びっくりして振り向くと、何故か慌てた顔した林が立っている。
「ちょっと」と言って林は深柄の手をとり、食堂を出る。深柄はぼーっとしながら、その手に引かれるままついて行く。
「何慌てんの?」
「深柄……さん、さ、睨んでただろ、宮部さんの事」
 宮部って、あのレモンパンのバド部の事か。それにしてもこの人、私の名前知ってるんだな。
「……え、だから、何」
「だから……えっと、……知らない? 桐島、部活やめるって」
「別に知らないし。それ、関係あるの?」
 深柄が不機嫌そうに言うと、林もなんだか気まずそうに言葉を探す。

 青春ぽい描写にしてみた。異性の手を掴むとか……ボーナスポイント表にあった【キャラクターが、「桐島、部活やめるってよ」と言ったのを聞いた】をちょっと無理やりだけど達成させてみた。これは+20点の高いボーナスだ。
 それにしてもソロプレイで、NPCに自分のキャラを惚れさせてるような描写ってどうなんだろう……。明らかに林は深柄に「気がある」ていで進めてしまったが――いやいや、惚れさせているかどうかは、ゲーム的にはまだ未決定だ。 

 ちょっとリプレイからずれるが、作家のように小説を書くのだったのなら、この時点で林の感情を決めたっていいが、NPCの心情を、ソロプレイとはいえたかが1プレイヤーが決めるのはおかしい。
 じゃあGMならいいのか。GMは、NPCを動かす事はしていい。だが、NPCの感情や心を、サイコロや数値も使わずに決めるのは間違っている(気がする……)。
 ここはTRPGなんだから、「林」が深柄に惚れているかどうかをサイコロで決めるのが筋なはずだ。
 だが、このゲームにおける判定は「キャラクターの主観」に関わる事でなされるべきで、「林」が「深柄」に惚れているかどうかを判定する事は出来ない。
 なので、この時点でも「林」が何を思っているのかは、プレイヤーでありGMでもある私にも分かりません。
 ここで出来る事は、こう言う会話をして、深柄が会話を続けられるか、それとも気まずくなって(あるいは白けて)立ち去るか、みたいな判定……。
 林と会話を続けられるかどうかは【社交】判定で。難易度は、ちょっと強引な展開なので普通の「10」。失敗したら、なんか恥ずかしくなってこの場から立ち去ってしまう事にとする。
 会話を続けたいので難易度を減らしてやろうといろいろ言いがかりを考えるが、うーん、このキャラ的にも、突然話を折るのも自然だし、呆然と聞き続けるのも自然な気がする。
 周囲の状況は? とGMに問いかける(ソロプレイなので自分自身に問いかける)と、
「普通の昼休みなので、食堂の外にもまばらに人がいる。周囲の目がないわけではない。多分校舎裏辺り」との事。
 そこで、その【社交判定】というよりも、今の一連の「手を引かれる」とか「ささやかれる」とかが、周囲の人の目が気になるかどうかの判定をさせてくれと提案。内なるGMはそれもそうだと納得し、その判定を【精神判定】に変更する。難易度はでもやはり「10」だ。成功すれば会話は続行。失敗したら、恥ずかしくなり会話は打ち切られる。
 ここで特徴要素【4・友達を作らないが自分の……】を使用する。これが社交判定だったら、特徴を絡めづらかったが、周囲を気にしているかどうかという感じだったら、使えると判断してこの提案である。もちろん、【社交】が「2」で【精神】が「3」なので、1点有利になるというのもある。
 10-3-4=「3」が目標値。ファンブルさえしなければ成功。
 出目は……「11」。うーん4点以上オーバーか。平目でよかったなあ。日常点5×2で10点獲得。

 周囲から見たら、男子と女子が痴話げんかにも見えるかもしれないが、気にしない。私は別に、「そういう人達」じゃないからだ。
 林は気まずそうに口を開く。
「なんかさ……桐島君の彼女の、飯田さんのいるグループにいるじゃん、宮部さん」
「うん、で?」
「だから……なんか、いろいろあるんじゃないの」
「うん。……うん?」
 いろいろってなんだよ。
「だから……ああいうグループの人を、なんか、睨んだりしたら、なんか言われるんじゃないかなって思って」
 林は何を言ってるんだろう。
「そんなに睨んでた? 私」
「なんか……なんかね」

 林はいったい何なんのつもりだ……なんで話しかけたんだ。描写している自分にも謎だ。まあ深柄に気があるから話しかけに来たんだろうけれど。
 ともあれ会話が続くので、日常点を稼ぐチャンスだ。今回のボーナス表には【誰かの悪口を言った】【桐島の話題をした】【過去話をした】【秘密を暴いた】と、誰かとコミュニケーションの中で貰えるボーナスが多い。
とりあえず、【悪口】と【桐島の話題】でもしてみるか。
 話題を続けられるかどうか、という【社交判定】。成功すればこのまま会話が続けられる……こんなどうでもいい事を判定にしていいのかとお思いでしょうが、コミュ障な人にとって「会話を流暢に続けられるか」はけっこう問題なのです。
 会話が続いた方が自然なので、難易度は簡単の「5」。ただし、相手のスクールカーストが1点高いのと、普段話さない異性と言うのも加味して2点難易度を加算。
 社交の能力値は「2」。ここにさらに、せっかくだから2倍ボーナスを狙って【1・人の話をきいていないで寝たフリ】を使用し、いままで寝たフリしてたけど聞いてた事を話題にする、という事にしてみよう。5+2-2-1=「4」が目標値。
 サイコロの出目は「7」。目論見通り、4点オーバーもなく成功。通常成功の10点に特徴要素利用で2倍で20点獲得。今までの合計は80点だ。やっと半分である。
 ここから怒涛のラッシュで得点してみよう。「会話が出来た」のだから、ここぞとばかりボーナス要素の会話をさせてみる。

「別に睨んでないって。ただ気に食わないなって。ああいう文化部を下に見てる感じが。……映画部の人押しのけたりしてさ。たかがバド部のくせに」(【誰かの悪口を言った】で10点)
 そう言いながら、深柄はレモンパンの代わりに買った、さして食べたくもないキナコパンをかじる。甘さだけ考えればレモンパンと代わりはないが、それでもだいぶランクの下がる感じの残念なパンだ。
「気に食わないって……別に宮部さん、下とかに見てないよ、たぶん」
 林が困った顔を浮かべる。
「だいたい、宮部さんが桐島君の彼女のいるグループだからって何? 逆らっちゃいけないって事?」
「ちがうよ。ただちょっと面倒臭い感じになるかなって思っただけだよ」
「……桐島君て、飯田さんみたいな感じの女子が好きなんだね」
(【桐島の話題をした】で10点)
 そう言うと……

 と、ここで「校舎裏あたりにいる」、という設定だから、【校舎裏でバスケをする】(10点ボーナス)もさせたくなった。
 バスケットのボールがその辺に転がっているか、という判定は出来ますか? と内なるGMに自問。このゲームに幸運に関する判定はないが、「バスケットボールを発見出来るかどうか」という判定ならどうだ、と言う事で、【器用判定】を行う事に。
 難易度は、そんなに都合よくボールがあるわけないのでとりあえず普通の「10」で。難易度を減らそうとイチャモンをつけたかったが思い付かず、このままだと器用値「2」のため、目標値8とちょっと厳しい……。
 そこで、特徴要素【3・体は思ったよりも大きい(166cmある)】を使用し、長身を生かして探した、と言う事に。10-2-3=「5」の目標値。
サイコロの出目は……なんと「12」のクリティカル! こんな所で出なくたって……。
 クリティカルの場合は【4点以上オーバー】は適用されないため、10×特徴要素利用の2倍で20点の日常点が加算される。クリティカルボーナスのため「私」も1点回復するというオマケつきだ。
 という訳で、青春ドラマのように、どこからともなく都合よくボールが転がってきた事にしよう。

 風が吹いて深柄の足元に、どこにあったのかバスケットボールが転がってきた。
 パンパンとキナコまみれの手を払うと、深柄はなんとなくボールをひろう。
「桐島君にね、指、握られた事あるんよ、私」
(【桐島との思い出を語った】で+10)
「指?」
 深柄は普段、運動をするわけでもないが、別に運動音痴という事もない。タム、タムとバスケットボールを弾ませる。
「バスケ、やってたんだ」
「昔ね」
(【他のキャラクターに自分の過去話をした】+10……ちょっと強引か?)
 深柄は中学時代はその長身もあり、バスケ部でもあった。ボールのゴムの感触はひさしぶりだ。
「バスケ部入んなかったの?」
「合わないもん、ああいう人達と」
「……ああいう人達っていうのは、桐島君の事?」
 林の問いかけを聞かず、深柄はボールを構えて、バスケのゴールに向けて、シュートを放つ。
(【校舎裏でバスケをした】+10)

 これは【運動判定】だな、と言う事で、放ったシュートが決まるかどうか。難易度は、なんか位置的にゴールと離れていませんか? 雰囲気3ポイントシュートの間合いっぽくないか? ということで難易度「15」。運動技能は3しかないので、このままだと目標値は12と、クリティカル以外成功しないじゃないか! ここでさっきの特徴要素「3」が使えればよかったが……。
 一応【5・写真が好きで――】が残っているけど、それは写真をとる時に遣いたいし、このシーンに絡める理屈も思い付かない。
 ……そうか、ちょっと難しい難易度をGMに振られたら、それを回避する手段がプレイヤーにはないんだな。もちろんそれは、プレイヤーに無茶な行動をさせる事を抑制させる効果もあるんだけれど……。
 よくよく考えたら、ボールが足元に転がってきたからシュートするって、深柄のキャラじゃない感じもする。よくある「青春ドラマ」の轍を踏み過ぎな気もするな。
 でもここはまあ、ここまでの会話の流れでボーナスポイントがとれたという事で満足して、失敗覚悟で判定をしよう。平目で挑戦。目標値12で、クリティカル以外失敗。
 出目は……「9」。当然失敗。ボールはあらぬ方向に。「私」を1点失い、残念賞の日常点5点獲得。ここまでで145点。5点足りない……昼休みにいろいろを詰め過ぎた。

 キナコで汚れたボールはふわりと浮いて、でもゴールリングに触れる事もなく途中で失速する。ボールは2、3、バウンドし、校舎を囲むフェンスにぶつかって、ボールはそこで阻まれる。
「ヘタクソー」と、どこからか笑い声が聞こえる。バスケリングの奥の石段に座っている男子達――ここで放課後いつもバスケしてる人達だ。思わず深柄の顔は赤くなる。
「桐島君を待ってるんだってさ。あの人達」
 林はぼそっというが、深柄はその顔を見る事もなく、足早にその場を去った。

 よし、無駄に映画の登場人物(帰宅部3人組)を絡めさせられた(判定には関わっていないので2倍にはできない)……と言う訳で長いけどこの昼の時制はおしまい。
 ソロプレイならどこまでもシーンをやっていけるが、もし複数人プレイなら長すぎるよなあ。どこでシーンを区切るかは、このゲームの課題でもある。

 さて、残るは5点だけ。判定失敗一回分で目標は達成できる。
 ここは1日1回制限の「うちこめるものがある」をやって「私」を回復させつつ点を確保したい。

 放課後の時制帰りのHR後の廊下のどこかを指定。
 どこでもいいから一人で集中して写真を撮ろう。一人きりで写真を撮るという【器用判定】。それに【うちこめるものがある】の使用を宣言。特に誰もいない校舎のどこかの廊下に一人で行き、こっそりシャッターを切る。
 難易度は普通の「10」。特徴要素【5・写真が好きで……】を使用。器用の数値は「2」。なので10-5-2=「3」の目標値。ファンブル以外は成功しますが、7以上で「4点以上オーバー」に抵触してしまう。
 特徴要素を温存し過ぎたなあと思いつつ、まあ、日常点が5点入れば何でもいいのだ。サイコロの出目は「9」。難なく成功。

 昼休みの出来事はなるべく忘れたかった。深柄は午後の授業をいつもの通り寝たフリをして過ごしながら、あの男子たちに笑われた事を思い出すと、また指をぎゅっとした。
 写真を撮りたい。その事だけを考える。写真を撮りたい、シャッターに指をかけたい。そう思っていれば、時間は過ぎる。さっきの事を忘れられる。
 そうして授業が終わって帰りのHRをやり過ごす。16時にもなればクラスの皆は教室から出ていく。深柄もその中に紛れて教室を出て、この学校の中で一人になれる場所を探す。
 群からはぐれて、科学棟の4階。特に誰もいないのを確認すると、深柄はサブバックからニコンのデジタル一眼を取り出した。
 覗き窓を眺め、シャッターに指をかけ、校舎のあちこちを切り取る。
 たいして面白みのない写真ばかりが、メモリの中に記憶される。
 その中には、あたりまえだけど、「桐島」はいない。

「私」を1点回復し現在計6点。判定成功したため5×2の10点獲得で、155点と、目標点150点を超えたので達成である。

続き→

(写真:金原美和子)

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