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6-8 飯試した 美味

ご飯を食べたいとき、必ずしも、自らが炊飯器を使わずともいいんだよね。大学に入学するために遠くの街に引っ越してきた僕が住み始めた学生宿舎はキャンパスの近くにあるわけだが、コンビニやスーパーが近くにある。

つまり歩いて買いに行けるよ。田んぼエリアではできないことだよ。ご飯はいろいろな姿をしていて、包まれて仕舞われて売られているよ。おにぎり、巻き寿司、弁当。どれもかわいいね。

ただいまただいま。無洗米を買ってきたよ。最も低額なもの。どのお米も長期保存できるよ。早く食べなくてはならないという切迫感がないよ。

チャーハンの素も気になったものを何種類か買ってきたよ。実家に置いてあった品もある。僕のお気に入りは定まっていないんだよね。卵も買ってきた。長ねぎも。ウインナーも買ってきたよ。冷蔵庫に収納するよ。長ねぎは入らないしその辺に置いておくよ。

卵が多いかもしれない。10個。オムライスっぽいものを作れるよ。ご飯の上に伸ばした卵焼きを被せる。チャーハンの上に被せてあげるとよいのか。まだ僕はそれを作ったことがないんだ。ケチャップを買っていないな。

試してきたし、試してこなかった。試さなかったことのほうが多い。炊飯器を作ろうと試さなかった。もうあったから。ほかの誰かがやってくれた。なかったとしても、作ろうと試すことはなかっただろう。

毒きのこも毒魚も口に含まない。僕の代わりに先人たちが倒れてくれた。こっちが舞茸の炊き込みご飯の素で、こっちが鯛の炊き込みご飯の素。炊き込みご飯の素も買ってきたんだよ。パッケージで描かれているさまが大変おいしそうなんだよね。

スーパーに行くと、何の食材ならば僕のチャーハンに交ぜたらおいしいのかなと考えちゃうよね。たとえば冷凍されたシーフードミックスだよね。エビ、イカ、アサリなどを炒めたあとに僕のチャーハンと合わせ海鮮チャーハンとしたらおいしいのではないかな。やっぱり買ってくればよかったかな。次回買うよ。

基本的に、日々勉強と労働に取り組む青年の僕はお米をなるべくいっぱい食べたいんだよね。空腹を感じてしまやすいのである。眠い朝はそんなに食べられないけれど、夕食時にご飯をおかわりしないケースは生じづらい。

成功と失敗の蓄積、知識と技術の習得。米炒めとなった僕は誰かのお父さんになったら、やはり米炒めだった僕のお父さんが米炒めではなかった僕のためにしていたようにおいしいチャーハンを作ってあげなければならないんだ。りんごジュースチャーハンは作らないんだよ。

【”試しのテキスト”「飯試した」が完結しました】


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