夫婦

運転免許を持っていない祖母は
毎日同じ時間に、料金のいらないタクシーに乗って買い物に行く。

運転手は祖父。

2人が家に帰ってきてから、
3人揃っていつもと同じように昼食を食べる。
ラジオを流しつつ、ときどき話をしつつ。

大体この時間には、人生相談が流れている。
今日は結婚についての相談らしかった。

昼食をもうすぐ食べ終えるぞ、というところで
祖母がふとこんな言葉をこぼした。

おじいちゃんと結婚して
ほんとに幸せになれたわぁ
むぎもおじいちゃんみたいな人と結婚しなね。

祖母のいいところは、
こういったなかなか言いづらい気持ちも
素直に言えるところだ、とつくづく思う。

そして、そういうときは決まって
祖父は少し照れる。

「こんな頼りない人はだめさぁ」

「じゃあ、おじいちゃんみたいに
私専用のタクシー運転手をしてくれる人を探すね」

冗談めかしつつ 私はそう言った。

おじいちゃん、あなたのことをとても尊敬しています。

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