闇落ちした旦那の観察日記[(10)2014年12月なかば〜]

旦那の場合は、落ち着いた静養環境が整うまで、闇落ちから丸1年の準備期間が必要でした。現在、うつ病を取り巻く環境が改善されてるといいなと思います。

いよいよ旦那は本格的にリワークに通うことになりました。リワークとは復職支援のための医療機関です。サラリーマン生活のリズムを取り戻すため、月曜から金曜の8時から17時、施設へ通います。とにかく毎日通うことが大切で、用意されたプログラムに参加します。運動したり散歩したり、認知療法をやったり、様々なプログラムをこなしていきます。

本来の旦那は饒舌で、なかなか面白い人でした。夜行バスを使ってはあちこち出向き、仲良くなった人はもう身内。すごく親切にしちゃうような、ちょっと暑苦しいけど、甘え心地の良い人でした。ご近所ともほどほどに、オトナの付き合いもなんとかこなせてました。でも、病気になってからは、完璧に別人格ですから。そばにいる人間も大変なもんです。私が心がけていたのは、共倒れにならないように、極力、精神的に揺るがないように見守ること。周りの無理解から守ること。鬱って、周囲は根気よく見守るしかない病気と思ってます。本人の内側に光が差してくるのを待つしかない。旦那が不安定な時期、まあ私だって辛かったです。旦那は自分センサーどころか他人センサーも働かないんですから。私ばかりが察しているっていう気持ちがしんどかった。こういう話、なかなか人にはわかってもらえないので、気軽に愚痴でもいえるウツの家族サークルでもあればいいなと思います。ただ、棄てる神もいれば拾う神もいて。まず、このリワークプログラムに通い始めてくれたことが私の助けになりました。ずっと旦那が家にいるのって、とにかく重苦しかった!!!。加えて、私の場合、3月にお迎えした愛犬の存在がなによりの力になってくれました。このコが女子力の高い超絶カワイコちゃんで、神の使いに違いない。今でもそう思っています。

旦那は約1年間、リワークプログラムのお世話になって、10月に卒業しました。卒論として自分で自分の取扱説明書を作成するしきたりになっていました。これ、すごく大事なことだと思います。自分センサーがない人にとって、重要な訓練だと思います。よくできたプログラムと思います。

卒業後は少し休んだらという声もきかず、すかさず旦那はハローワークに通い始めました。実は傷病手当をもらっている間、失業手当を保留できるシステムがあって、これまで途切れずに手当を頂き続けており、失業手当が切れる前に仕事を決めたかったようです。資格を持っているおかげで、なんと、すぐに契約社員としての採用が決まりました。鬱になって2年が経過していました。

旦那はずっと、収入の不安定な自営業者である私を支え、生活していかねばならないという強い気持ちを持っていたそうです。つまり、旦那は旦那で、私がそばにいるということが回復への支えになったといえるかもしれません。今は契約社員として、ちょこちょこ職場が変わりますが、やたらと抱え込みがちな性格なので、そのぐらいでちょうどいいのかもしれません。鬱は、良くなったり悪くなったり、渦を巻きながら回復していくといいます。正社員としての責任が乗っかっていない方が彼には良いと思います。

闇落ちしてから9年目には、糖尿病が悪化して白内障に進むという一大事も起こりました。ただ糖尿病の場合は、私も協力してあげられることもあるわけです。鬱って、他人がしてあげられることが少ないんですよね。優しい人ほど、何かしてあげたくなるかも。でも、甘やかさず期待せず、見守るだけ。それが私が行った鬱病の看病です。先の見通しもつかないのに、やっかいなことですけど。

最近の旦那は、以前のように、饒舌によく話すようになり、よく笑うようになりました。他人にはまだだいぶ硬いですが。もちろん、たまに調子が落ちることもあります。でも旦那と一緒にいることがまた楽しく思えるようになりました。ここまで回復するまで、10年かかりました。旦那、よく頑張ったなあと思います。大変な病気をよく生き延びました。。。

。。。。と、ここまで下書きして、しばらく放置してました。
現在は2024年。闇落ちしてから11年かな?。旦那自身は、病気前とほぼ変わらなくなりました。おととし辺りから、やりたい事が心に沸いてくるようになり、去年辺りから少しずつ行動するようにもなり、ただ、抱え込まないようにするためか、とても人付き合いが悪くなったし、頼み事もあまり聞いてくれなくなったり。逆にいえば、昔、無理してたんだろうなあと思います。ただ、旦那の睡眠障害は一生直らないかも。まだまだ睡眠薬のお世話になってます。たまたま効きが悪くて、最近眠りが浅いんだよねって時は、鬱の門がまた開いてきちゃったー!?ってムードを漂わせてきます。睡眠大事!!。ショートスリーパーな方はお気をつけて。

鬱の闘病って、みなさんそれぞれで色々あると思います。我が家の場合は、こんな感じです。今後も鬱の芽は抱え続けながら生きていくことになるんでしょう。闘病は大変でした。でも結果、以前より、本人が楽に生きていけるようになってくれたんならいいなあと思っています。

読んでくれた方の、心が少しでも軽くなりますように。祈っています。


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