二度目ってきた(ややネタバレ注意)
『失われたものたちの本』と似ている似ていると言われるけど、個人的には、ものっすごく大事な部分が真逆だなと感じた。読みたくない人は、ここで閉じてちょうだいね。読んじゃダメ! まったく推奨しません!!
読む人は自己責任で下にスクロール。
言われているとおり設定とかは割と似ている部分もあるのだけど、「現実世界の断片を主人公が切り取って異世界を作る」という性質の『失われたものたちの本』に比べ、「異世界の断片を主人公が現実に持ち帰って来る」という『君たちはどう生きるか』で、後者は監督の自伝的な映画だということだから、その「持ち帰ってきた異世界の断片」が映画になるのだろう。
だから異世界には、監督の過去作で見たような場面があちこちにあったんだと思う。その光景が心に焼き付いて、後に映画のシーンになったのは間違いないと感じた。「あ、そうか! 逆も可能なんだ!」っていう驚きがすごくて、ほんとにびっくりしたし、めちゃくちゃ興奮したし、すごいこと考えるなと思って感動した。
『失われたものたちの本』には、主人公がその後作家になって、年老いて……というところまで書かれているのだけど、『君たちはどう生きるか』が現実世界に戻ったところで終わっているのは、監督の「その先は私です」なんじゃないかな。しらんけど。
というわけで、似てるようでいてだいぶ違う、「本歌取り」みたいな作品だと思った。ただ、集大成としてはもう最高だった。もう最高に楽しめた。生きているうちにこんな作品に出会えて本当に幸せだ。
辻褄が合う合わないや、分かる分からないは、別に考えなくてもいいんじゃない? 児童文学なんて、往々にしてそんなものだろうし。
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