秋風
9月の初旬に読んだ一篇の詩を、10月の末になって思い出す。
*
数日前、晩ご飯に一人でお好み焼きを食べようと思い、ホットプレートを机上にセットして、諸々の支度を始めた。
素と具材の準備ができ、あとは焼いて食べるだけ、という段になったとき、ある致命的なミスに気づく。
お好み焼きソースがない。
人類は同じ過ちを繰り返す。そんな極端な思いを抱えながら、急遽近くのコンビニにソースを買いに行くことになった。
そこでまた一つ、ミスを犯す。
日中の体感から予想して、薄着で外出したのは間違いだった。
外出直後は大丈夫だろうと思えたが、移動している間に、じんわりと身体が冷えていく。
そこで思い出されたのが、冒頭の詩である。
あんな詩、読んだな。あの頃は"温かった"……。
2ヶ月ほどで、"暑かった"は"温かった"に都合よく修正される。暑い日々が過ぎ去ることを、心から望んでいたというのに。
背後から襲ってくる秋風に身を強ばらせつつ、私はささっとコンビニで買い物を済ませ、家路を急いだ。
*
晩御飯には、お好み焼き三枚と、締めに海老ソース焼きそばを食す。買ってきたお好み焼きソースは大活躍し、身体には温かさが戻った。
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