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私に置き去りにされてきた私。 =自分史①=

今から15年ほど前のイギリス留学時、現地で体調を大きく壊しました。
めまいが続く。いまここに自分がいるのか、夢を見ているのか見分けがつかない。見分けがつかないから恐怖で外に出たくない。

ホームステイ先のベッドの上で「これから私はどうなってしまうのだろう」と不安に涙を流しながら天井を眺めた日々が思い出されます。

症状が出る直前におでこをぶつける怪我をしたので、てっきりそのせいだと思い現地の病院を受診したところ、MRI等を受けるのに法外な値段が請求され、困惑した私は一時帰国し日本で脳の検査をすることにしました。

しかし脳外も神経外科も異常なし、血液検査でも異常が見られない。医師から心療内科の受診を勧められたとき、「自分に限ってそんなことはあるはずがない」と完全否定しました。

でも、終わらない現実感のなさに耐えきれず情報を漁っていく中、本屋で立ち読みした心療内科の本で「現実感喪失症候群」の文字を見つけ、落胆しました。私の症状はまさにこれだと。
そして数日後にその本を出している心療内科のドアをノックすることになったのです。

運よくそのクリニックはカウンセリングも充実していたので、すぐに通い始め、ロールシャッハテストなどを通し、自分が鬱であることを伝えられることとなりました。

そして、その当時全く意味が分からなかった言葉を、カウンセラーさんから告げられたのです。

「あなたはあなたを置き去りにしている」

この一言の意味がうっすらとでも分かるようになるまで、想像以上に長い時間がかかりました。

(続)   

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