独立はタイミングと勢い。

天職と思える仕事に出合えてから、9年目。私は大きな決断をする事になる。

30歳を超えて、イベント司会ができるのも30代半ば頃までと思っていた私は、毎年繋げてきた仕事を少しずつ後輩に譲り、いずれは結婚して子育てをする事になると思っていた。そして育児が落ち着いたら、司会の仕事に復帰するかもしれないし、しないかもしれないと思っていた。

ところが、人生の転機は唐突にやって来た。

先輩達に、一緒に独立して起業しないか?と誘われたのだ。それは思いもよらない話で、先輩達がそんな事を考えていた事に驚いたのと同時に、自分に声がかかった事にとても驚いた。

もちろん事務所を辞める時は、いずれ来るだろうとは思っていた。でもそれは、結婚や出産のタイミングだと思っていた。

全く予期せぬ申し出だったけれど、なぜか私はあまり悩まなかった。この頃、人生のターニングポイントに差しかかっている事は感じていて、まさに今後の人生を考えるタイミングだった。

当たり前のように、いずれは結婚し子育てをする人生を歩むものだと思っていたけれど、独立起業して自らが自分の道を切り拓く人生も悪くない。

私にとっては二者択一だった。

母親になる人生よりも、仕事に生きる人生を選ぼうと決めた。

決断してから起業するまで、そして起業してから軌道に乗るまでの数ヶ月は、やらなければならない事が多すぎて時間が足りなかった。ただただ必死だった。いま振り返っても、自分が人生で一番頑張ったのは、この時期だ。

結婚はタイミングと勢いと言うけれど、独立もタイミングと勢い。ある意味仕事と結婚し、事務所という子育てを始めたようなものだった。独立起業して事務所を持つという事は、会社を設立して終わりではない。MCとしての仕事に加え新規開拓のための営業とスケジュール管理、事務処理など毎日の雑務。順調に進んだ事もあれば、うまくいかない事もあった。そして事務所のスタッフの1人から経営側に立場が変わった事で、意識改革も必要だった。慣れない事に悪戦苦闘しながらも、自らの手で未来を切り拓くため走り続けた。

起業した仲間の退社、スタッフの入れ替わり、取引先の倒産、東日本大震災、そして現在のコロナショック…。

本当にいろんな事があった。

いろんな事を乗り越えてきた。

だからこれからも乗り越えて、未来に繋げてゆく。



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