ブライダル司会奮闘記②
まずは前回の答え合わせから。
「お開き口」とは、新郎新婦の入退場口の事。つまり会場の出入り口。それを「お開き口」と表現する雅さよ。ちなみに宴の終了を「お開き」と表現するが、披露宴では「お披楽喜」という漢字を充てる。
「新郎新婦がお開き口にて皆様をお見送りさせて頂きます」という風に表現する。とはいえ今のウェディングシーンにはふさわしくないし、すでに一般的な表現ではなくなっているから言わない事が多い。ただ結婚式にまつわる素敵な表現を残したい気持ちもあり、専門式場でのゲスト数の多い披露宴ではあえて言う事もある。格式や伝統を重んじる披露宴かカジュアルでアットホームなパーティーかで司会のコメントも使い分けている。
今回は、忌み言葉についてご紹介しよう。
結婚式で忌み嫌われる言葉という事から、忌み言葉。ブライダル司会者は忌み言葉は使わない。
たとえば結婚生活の破綻を思わせるような言葉、別れるはもちろん、切る、割る、終わる、分けるは忌み言葉。
だからケーキカット(切る)とは言わずケーキ入刀。鏡割りではなく鏡開き。終わるではなく結ぶ。分けるよりも分かち合う。
また、結婚は生涯で一度が望ましいという考えから再婚を連想させる言葉、再度、ふたたび、たびたび、繰り返し。さらに戻る、帰る、返るも忌み言葉。
という事から、たとえば次のように言い換える。繰り返しご案内申し上げます→重ねてご案内申し上げます。お席にお戻りください→お席にお着きください。お花をぜひお持ち帰りください→お花をぜひお持ちください。
逆におめでたい事は何度あっても良いという考え方もある。その場合は、続く事は良いので、次の進行を進める場合に「続いて○○」ではなくあえてより繋がり続いていく意味合いの強い「引き続き○○」を使う。(ちなみに「次に」は、次の結婚を連想させる事から忌み言葉)余談だが葬儀告別式の司会なら続かない方が良いので、引き続きはもちろん続いてではなく、ここで、これよりが望ましい。
ブライダル司会者は、結婚式ではタブーとされる忌み言葉は使わないのが基本マナー。また、敬語も必須。最近は新郎新婦がホストとしておもてなしするため過剰な表現は避けるけれど、以前は新郎新婦を敬うのは当たり前だった。二重敬語では!?と思うくらいの表現をしている時代もあったように思う。
時代と共に言葉は変わる。その言葉を紡ぎながら、新郎新婦の幸せを願い素敵なシーンにするお手伝いをするのがブライダル司会者だ。
ブライダル司会は、私にとってMCの原点。これからも、それは変わらない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?