ブライダル司会奮闘記①

「私、司会者なんです」と言うと「え。歯科医!?」という反応が返って来る事がある。そこで最近は「結婚式やイベントの司会です」と話すようにしている。そうするとイメージしやすいらしく、相手もすぐに納得してくれる。

結婚式の司会者は、どんなイメージなんだろうか?

結婚式の進行をする人。なわけだけど、これがなかなかスリリングだったりする笑

打ち合わせをし準備して臨んでも、予想外の事は起こる。ハプニングに臨機応変に対応する事も司会者の役割だ。新人の頃は、どう対応すべきか分からなかったり悩む事もある。経験を重ねる事でとっさの判断ができるようになってくる。結婚式の司会を始めてから20年以上経ち、その間に結婚式の形も変わってきた。

まずはその変遷から。(あくまでも私個人の見解である事をご理解の上、読み進めてください)

【バブルの名残りプチ派手婚】私が結婚式の司会を始めた当初は、まだ媒酌人(仲人)がいた。高砂に新郎新婦が並び、その両側に媒酌人夫妻。新郎新婦の経歴や馴れ初めを紹介するのは媒酌人で、披露宴も新郎新婦が主役であり祝福される側。披露宴ではお色直し2回が主流で、披露宴終盤の演出はキャンドルサービスが主流だった。

【地味婚】芸能人が入籍だけで済ませるようになった影響か?媒酌人を立てず、新郎新婦のプロフィール紹介は司会者が行うようになる。ゲストに結婚を承認してもらう人前式という挙式スタイルが増え始める。新郎新婦がおもてなしする演出が好まれるようになり、キャンドルサービスから○○サービスへ。披露宴内のお色直しは1回で、衣裳を減らし不在時間を削る方向へ。

【ウェディングパーティー】専門式場やホテルでの結婚披露宴から、レストランウェディングへ。新郎新婦がホストとしてゲストをもてなすスタイルが確立し、挙式スタイルや会場も多様化。新郎新婦とゲストとの距離感が近くなりアットホームな結婚式に。自然光の中でのパーティーが好まれ、会場が暗くなるキャンドルサービスよりも明るいなかでのフォトサービスやケーキサービスが人気演出になる。

【ゲストハウスウェディング】新郎新婦の自宅にゲストを招きもてなす邸宅スタイル、いわゆるゲストハウスウェディング。結婚式にテーマを設け進行も自由なオリジナルウェディングが主流に。デザートビュッフェも始まり、○○サービスから○○ラウンドという表現に変わる。

【オンリーワンウェディング】ゲストハウス人気の一方、入籍だけ、挙式や写真だけなど、結婚式という形にこだわらないカップルも出てくる。自分達らしさを優先するカップルが増え、まさにオンリーワンウェディングへ。

【絆婚】東日本大震災を機に、やらない予定だった結婚式をするカップルが増える。少人数でのパーティー。お子さんと一緒の挙式など、大切な方と時間を過ごす事で、絆や繋がりを実感できるようになる。

【コロナ婚】コロナ禍で結婚式や披露宴の形が変わりつつある。挙式の中で両親への花束贈呈。身内だけの会食パーティー。新郎新婦二人だけの挙式。リモート結婚式…など。

改めて振り返ると、時代と共に変わってきた事が分かる。その時々で人気演出も変わるため、司会者も新しい演出に対応できるよう情報収集は欠かせない。

他にもおもしろい変遷がある。○○サービスが○○ラウンドという表現に変わった事は先に書いたが、20数年前の結婚式の担当は営業マンで男性が主流だった。それがウェディングプランナーの登場と共に女性が活躍するようになった。

また、結婚式→入籍という流れが当たり前だった頃は、おめでたで入籍→結婚式の場合「できちゃった婚」と言われた。でも入籍→結婚式のカップルが多くなって来ると、おめでたじゃなくても入籍→結婚式を選ぶカップルが増えたように思う。ちなみにいつ頃からか、結婚する二人の間には明確な「お付き合い記念日」が存在する!その日以前の初デートは「付き合う前に行った」と言うのだ笑

というわけで、最近のカップルはお付き合い記念日→入籍→結婚式という流れ。おめでたの場合は「授かり婚」と表現したりする。

結婚式も時代を映す鑑だと実感する。時代と共に求められるものが違い、主流の演出も言葉の表現も変わる。でも、残したいと思う表現もある。そのひとつが「お開き口(おひらきぐち)」。なんとも美しい日本的な表現だと思うけれど、すでにウェディングプランナーでさえも分からない表現になってしまっているらしい。

皆さんは「お開き口」、ご存知ですか?

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