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【もうモノは売らない】マーケティングについて95%が誤解している!?成功する5%になる方法【書評】
今日ご紹介するノア、ハビエル・サンチェス・ラメラスさんの著者
「もうモノは売らない」です。
本書の内容を一言で表すなら、マーケティングの誤解を解いていく本、です。
本書によれば、マーケティング施策の95%が失敗しています。
それも大量の資金を投入しているのにもかかわらず、です。
そして本書では、5%の成功者になるための方法を示しています。
著者について
お著者のラメラスさんは、コカコーラ社をはじめとする世界的な企業で、マーケティングディレクターとして活躍した人物です。
この本はどんな人におすすめ?
マーケティングに成功するための本は世の中に溢れています。
それは、いくら試行錯誤してもマーケティングに成功しない人が多いことの表れでしょう。
マーケティングのリサーチ方法や考え方を真似しても、うまくいかなかった。
そんな方に、ぜひ手に取っていただきたい。本書は、マーケティングの基礎を徹底的に掘り下げた本です。
「大企業だからできる手法だろ?」と安易に考えてはあまりにももったいない。
大企業の成功事例を、いかにスモールビジネスに引き寄せるかが重要です。
本書の内容をスモールビジネスに当てはめるヒントを織り交ぜながら、ご紹介していきます。
ぜひ、最後までお付き合い下さい。
第1章マーケティングの95%が失敗する理由
マーケティングの95%が失敗する例について、本書では過去に固執して、未来を正しく予測できていないことだと結論づけています。
毎年何千という製品やブランドが誕生しています。
そのうち75%は1年未満で消え去り、利益を出せるのは、そのうちの5%程度です。
では、なぜ95%は失敗するのでしょうか?
成功している5%は、何をしているのでしょうか?
その大きな違いは時間のベクトルです。
成功する5%は、未来を見ています。
これに対して失敗する95%は、過去に固執しています。
過去のリサーチ、そして導き出された成功可能性が高いパターンの実現に更なる資金を投じているのです。
しかし急速に変化し続ける現代社会において、過去の成功パターンが未来においても、成功のカギになる可能性は低いでしょう。
小さい過去にブレイクスルー、つまり打開策を求めるやり方で、ほとんどが失敗しています。
確かに、人間の脳は10,000年前から大きく進化していないと言われています。人間の脳の特性に基づく行動パターンを理解する事は大切です。
しかし過去の成功事例を分析して、そこから導き出された法則のみに依存するマーケティングでは、不十分であると本書では指摘しています。
では、マーケティングに成功している5%は、どのようにして未来を予測しているのでしょうか?
次の章で詳しくご紹介します。
ここでは、過去のリサーチに依存するだけのマーケティングでは、成功する5%にはなれないということを覚えておいてください。
第2章マーケティングに成功する5%がやっていること
マーケティングに成功している5%は、未来を正しく予測しています。
未来を正しく予測するとはつまり、ターゲットとなるユーザが商品やサービスに恋するような状況を作り出すことです。
なお本書の副題は「恋をさせるマーケティング」です。
まさにこの「恋をさせるマーケティング施策」こそが、成功している5%の実行しているマーケティング戦略であると本書では言及しています。
しかし、商品やサービスに恋をするとはどういうことでしょうか?
恋するという概念をご説明する前に、マーケティングに関する誤解を解いておきましょう。
マーケティングに関する誤解
そもそもマーケティングとは、商品やサービスが売れる仕組みを作ることです。
ターゲットユーザーのニーズを見つけて、そのニーズを満たすための方法を講じます。
ものが溢れた現代では、ユーザー自身が自覚しているニーズはほとんど満たされているので、ユーザーが気づいていない潜在的なニーズを見つけ出して訴求することが重要、などとも言われます。
例えば、喉が渇いているので、冷たい飲み物で喉を潤したいというニーズに対して、冷たい水を提供する方法を構築するのがマーケティングです。
ただ、いつでもどこでも手軽に水を手に入れられる現代では、ペットボトルに冷たい水を販売する企業はいくつもあります。
自社の製品を購入させるために、価格を下げれば価格競争に陥り、利益率はどんどん下がるでしょう。
利益率を維持するために、使う価値をつけてから脱する手法もあります。
例えば健康意識の高い人に向けて、健康効果が期待できると言われる成分を含んだ水を提供したり、炭酸泉を利用したスパークリングウォーターを提供したり、といった方法です。
しかし本書では、目を向けるべき人間の特性は別にあると指摘しています。
それが、感情です。
人が物を買う時、最初に動くのは感情脳であると本書では述べています。
「この食物には抗酸化物質が含まれており、生活習慣、病予防効果が期待できるから購入しよう」
「この商品の価格は、ここ一ヶ月で最も低い数値を示している。社会情勢を考慮すると、今後値上がりする可能性が考えられるから、今のうちにまとめ買いしておこう」
こんなふうに、理論的にものを購入することの正当性を考慮して、購入している人はほとんどいません。
「これが欲しい!」
「これを買いたい!」
まず心が動きます。
次に、その商品やサービスの金額や得られるメリット、付随するデメリットを考え、購入するのが自分にとって妥当なのかどうかを検討する。
これが何かを買う時の人間の脳の働きです。
一度購入する習慣が身につけば、その商品やサービスに親近感を覚え、恒常性によって自動的に買い続ける。
これは原始脳による働きです。
ではどうしたら
「これが欲しい!」
「これを買いたい!」
そして
「これを買わなければならない!」とターゲットユーザに思わせることができるのでしょうか?
その答えは、商品やサービスを手にすることで、ユーザにどのような未来が訪れるのかを瞬時にイメージさせる方法でアピールすることです。
それも、喉の渇きが潤う、寒さに凍えずに、冬を越すことができる、といった生存本能に基づく欲求を満たした未来では不十分です。
生存本能を満たす商品やサービスはすでに溢れかえっています。
「どうしてもこの商品を買わなければならない!」
「これこそが自分にとって必要なものだ!」と強烈にユーザーが感じるきっかけ。
それは、その商品やサービスを手にすることでなりたい理想の自分になれるとイメージできることです。
例えば、世界的な高級ブランドとして知られるシャネルは当時、家庭を守り、夫に従うことが美徳とされていた女性を解放するというコンセプトを打ち出しました。
シャネルの商品を身に付けることは、既存の価値観にとらわれない、新しい生き方を実現する女性というイメージを一瞬でまとうための強力なツールでした。
もちろんシャネルの服を身につけなくても、自由な生き方を実現する事は可能です。
しかし女性を解放するコンセプトで広く認知されているメーカーの商品を身に付けることは、ブランドの持つイメージを簡単にまとい、なりたかった自分に生まれ変わる魔法として機能します。
これが、わざわざ高価なブランド品を購入する理由のひとつです。
人間の欲求は、生存に基づくものだけではありません。
「自分という存在を認められない」
「自分が脳内に思い描く、イメージ通りの自分になりたい」
肉体として存在するだけでなく、脳が思い描く理想の自分を実現したいという強烈な要求を満たすこと。
この商品やサービスをすれば、なりたかった。自分になれるとユーザがイメージできること。
つまり5%の成功しているマーケティング施策は、生存には直接関わらない。
しかし人間に特有の、強烈な自己実現の欲求。
そして自分を他人に認めて欲しい欲求を満たせることをユーザーに理解させています。
では具体的にどうすれば、成功するマーケティングの施策を実現できるのでしょうか?
詳しくは次の章でご説明します。
ここでは、マーケティングで訴求すべきは、自己実現や自己承認にまつわる欲求。
人間の種の保存や自己保存に基づく欲求を満たすだけでは不十分、という点を覚えておいてください。
第3章正しいマーケティングの方法
マーケティングで訴求すべきは、自己実現や自己承認にまつわる欲求です。
ではどうしたら、自己実現や自己承認にまつわる欲求を満たせるのでしょうか。
ポイントは3つあります。
1:冷徹なまでに理性的に分析する
2:ユーザーの言葉を信じすぎない
3:時代背景など幅広い知識を収集する
例えばコカ・コーラは、清涼飲料水です。
しかし民族による多様性が訴えられ始めた時代には、肌の色や異なる文化を持つ人たちがコカ・コーラを片手に集う映像をCMで流しました。清涼飲料水であるコカ・コーラに、民族多様性を受け入れる新しい価値観を生きる人々の象徴というイメージを纏わせたのです。
炭酸飲料だから爽やかさを打ち出す、といった訴求方法は、使い古されています。
一見すると共通点がなさそうに見える概念を結びつけて、新しいイメージを生み出すことが大切です。
この時、ターゲットとなるユーザ本人の意見を聞いても的確な答えは得られないと、本書では述べています。
人間は誰も、現在身を置く世界の常識にとらわれています。
またいくら鏡を覗き込んでも、映るのは左右逆の自分だけであるように、自分を正しく認識できている人はほとんどいません。
自分が本心だと信じている概念があったとしても、実際は様々なバイアスによって加工された偽物であることがほとんどです。
だからこそ、自分では認識できていない、しかし自分の本来の欲求を刺激する商品やサービスに出会ったとき、感情脳は大きく動きます。
「これこそが自分の求めていた、なりない自分であり、なりたい自分を実現してくれるものだ!」
そのとき湧き上がる欲求はまるで激しく恋した時のように激しく、相手を切望して止みません。
この恋心を引き出すために、マーケティング施策を講じる側は、徹底して理性的である必要があります。
マーケティングでもターゲットユーザのペルソナを設定しますが、なんとなく自分勝手なイメージで設定していませんか。
しかし何の根拠もなくペルソナを仮定するのは無意味です。
かならずその仮説が正しい根拠を示す必要があります。
戦力に、希望的観測を挟んではいけません。
ミスを減らす秘訣でも紹介されていますが、根拠のない仮説は、失敗に通じる一本道です。
ターゲットユーザの感情を動かすためには、自分自身は徹底して理性的であることが重要です。
スモールビジネスの場合、マーケティングのリサーチに、大きな資本を投入するのは難しいでしょう。
しかし日々、国内外のニュースをチェックして時代の流れを読み解いたり、公官庁やデータバンク、大手企業が発表する各種のデータを収集して解析することは可能です。
スモールビジネスの教科書でも言及されていますが、大手企業がフォローできない層をターゲットにし、彼らが未来に何を望むのかを予測して戦略を構築すれば、資本は少なくても勝てるマーケティング戦略を打ち立てることもできるでしょう。
大切なのは、過去の事例から未来を予測すること。
それも、ターゲットユーザーが思わず「これこれ!こんな風になっていきたいんだよ!」と飛びつきたくなる未来、恋したくなる未来です。
未来はどこにも存在しません。
だからこそ、工夫とアイデア次第ではどのようにも描けます。
コカ◦コーラ社のように大きな広告は打てなくても、SNSやWebサイトをはじめ、ターゲットユーザーに訴求する方法はいくらでもあります。
未来の予測には、データの収集や解析、再構築など、時間も労力もかかります。
だからこそ、今から始めてみませんか。
本書とともに、勝ち組の5%に食い込めるマーケティングを。
さいごに
ということで今日は、マーケティングの正しい考え方を、ハビエル・サンチェス・ラメラスさんの著者
「もうモノは売らない」をベースにご紹介しました。
本書では細部に渡るまで具体的なマーケディングの方法について言及しています。
特に前半はコカ・コーラ社のあゆみに関する言及が多い感はありますが、それに目を瞑っても、大変有益な書籍です。
ぜひお手にとってご一読ください。
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