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【10分で解説】ロジカルシンキング

はじめに

この本は、あのコンサルティングファームのマッキンゼーで活動されている照屋華子さんと岡田恵子の共著で、ロジカルシンキングのベストセラーとなっている本です。

相手に伝えるメッセージを論理的に組み立てる、いわゆるロジカルコミュニケーションについて解説していて、このスキルは、自分の考えをわかりやすく相手に伝えることができ、結果的に自分の思い通りに仕事を進めることができるという、誰でも身に付けておくべきスキルです。

コミュニケーションを取るいうことはどういうことか

仕事をする上で、コミュニケーションが重要なのは言うまでもありませんよね。この動画をご覧になられている社会人の方は、顧客や取引先、上司や部下など、日々多くの人たちとコミュニケーションを取っていると思います。では、このような人たちとコミュニケーションを取る目的って、なんでしょうか。それは、自分の考えを伝え、自分の思い通りに動いてもらうことです。

具体的にいうと、商品を買ってもらいたいからお客様に提案するわけですし、何か判断してもらいたいから上司に状況を報告するわけです。同僚にアドバイスをもらいたいときも、部下に手伝ってもらいたい時も、コミュニケーションの目的は、最終的に自分の思い通りに相手に動いてもらうことなのです。

だから、どんなにコミュニケーションをたくさん取ろうとも、相手が行動してくれなければ、何も話さなかったのと同じということですから、相手に伝えるということがいかに大事かわかりますよね。

では、どのようにメッセージを伝えればいいのか、そこにこそ、本書で解説しているロジカルコミュニケーションのスキルが必要なのです。

その方法を具体的に解説していきます。

伝えるメッセージはどうあるべきか

まず、相手に伝えるメッセージには、「課題」「答え」「期待する反応」の3つの要素が備わっている必要があります。

例えば、宅配ピザのチラシであれば、”お腹が空いているあなたを救わなければならない”というのが課題、それを解決するために”私たちが今すぐ美味しいピザを届けます”が答え、そして期待する反応は、”だから電話をしてください!”です。

特に、「課題」と「期待する反応」は話の途中でブレてしまうことが多いので注意が必要です。課題というと、ちょっとイメージしにくいかもしれませんが、要は、これは何について話しているのか、ということです。

話のテーマ、と言った方がわかりやすいかもしれませんね。

で、この話のテーマ選びで注意しなければならいのは、必ずしも自分が話したいテーマとイコールではないということです。相手がちゃんと話を聞いてくれるかどうかは、その話にその人が興味があるかどうかで決まります。

先程のピザのチラシの話であれば、美味しいピザのことをどんなに伝えたいと思っていても、相手のお腹が空いていなければ、見向きもされないということです。

そして、次に注意しなければならないのは、話が終わるまでそのテーマがブレてはいけないということです。ここがブレてしまうと、最終的に「期待する反応」が得られません。

例えば「美味しいパスタのお店を知っているか?」という内容について話していたのに、いつの間にか「自宅でおいしくパスタを作る方法」に話が展開していたなんて経験、みなさんにもありませんか?

雑談であればこのようにどんどん展開していくことが、むしろ楽しいのかもしれませんが、ビジネスコミュニケーションでは、もともとの目的だった、「美味しいパスタのお店はどこなのか」という結論が得られてなければダメなのです。

話を進めながらでも、常に、このメッセージの最終目的、つまり「期待する反応」は何か、を意識し続けなければなりません。

そして、この「課題」と「期待する反応」が明確になって初めて「答え」の部分を考えることができます。この「答え」は、伝え方次第で「期待する反応」が自分の思い通りになるかどうかが決まる、とても重要な部分です。相手にYESと言ってもらうために、説得力のある話し方をしなければなりません。

説得力のある話をするためには、「漏れ」と「ダブり」がないようにすることが大事です。

ある事柄のメリットについてはしっかり話しているのに、それに対するリスクについては全く触れられてなかったりするのは、明らかに「漏れ」があります。「理由は3つあります」と言っているのに、1つ目と3つ目の理由がどうも同じ話をしているのは「ダブり」があります。これでは説得力があるとはとても言えません。

説得力を上げるための技術(MECE/So What?/Why So?)

この、「漏れ」や「ダブり」をなくす技術として、MECE (ミッシー)というものがあります。これは、”漏れなく、ダブりなく”の英語を略した言葉ですが、これを使うことで、相手は頭の中を整理しながら話を聞いてくれるので、飛躍的に説得力があがります。

ある事柄をいくつかのグループに分類して、それが漏れもダブりもなければMECEの切り口で話ができていると言えます。

例えば、上司に「この店舗の客層はどうなってる?」と聞かれた時に「男性の比率はこうで、女性の比率はこうです。さらに、男性の未成年はこれくらいで、成人はこれくらい、女性の未成年はこれくらいで成人はこれくらいです。」と言えば、上司にもきちんと伝わりますが、仮にこれを、「子供はこれくらいで、学生はこれくらい、社会人はこれくらいです。」と言ったらどうでしょう。主婦や高齢者は?小学生は学生に分類されたの?子供に分類されたの?など、上司の頭には多くのハテナが浮かびます。

前者は正しくMECEの切り口で話すことができていて、後者はそれができていない例です。

このように、MECEで説明することで、相手の頭が整理され、自分の話の説得力が上がるのです。

ただ、今、例に挙げたように簡単にグループ化できるような場合はいいですが、なかなかそううまくいくことばかりではありません。そんな時でも、瞬時にMECEを使いこなすためには、一般的にビジネスで使われるフレームワークを多く知っておくと便利です。

例えば、マーケティングを知っている人にはおなじみの、自社、競合、市場と分類する3Cや、商品、価格、流通、プロモーションと分類する4Pなども、MECEの切り口でグループ化するために使えるフレームワークです。厳密にはこれらにも漏れはありそうですが、このような有名なフレームワークは、ビジネスシーンにおいては大きなダブりも漏れもないという暗黙の約束事となっているので、ある程度フレームワークを覚えておけば、複雑な話を大きく整理して説明する時にとても役に立ちます。

そして、もうひとつ。話が突然飛ばないようにすることも説得力を上げるために必要です。例えば、商品企画の会議で「10人中7人が美味しいと言った。だからこの商品は儲かる。」こんな話し方では話が飛びすぎです。10人中7人が美味しいと言ったことは、だから儲かる、という部分の根拠に全くなっていませんよね。

話が飛んでいないか自分でチェックするツールとして「So What? / Why So?」というものがあります。これは単純に、「だから何?」「それはなぜ?」と自分に常に問いかけるというものです。今の例で言えば、「これは儲かる」に対して「それはなぜ?」と自分に問えば、根拠の部分が不十分だとわかりますよね。競合で同じようなものはないのか、製造原価はどれくらいで作れるのか、などなど、全く情報が足りていません。これらは先ほどのMECEを使って、漏れなくダブりなく根拠の部分を洗い出していく必要があります。

このようにすることで、説得力の高い「答え」を構築することができるのです。

まとめ

伝えるメッセージには「課題」「答え」「期待する反応」の3つの要素が備わっている必要がある。課題と、期待する反応は最後までブレさせない。説得力のある答えは、漏れやダブりなく、話を飛ばさないことが大事。そのために、MECEの切り口で要素を分類し、So What?/Why So?と常に自分に問いかける。

この本を読んで、ただ言葉を発するだけでは、コミュニケーションになっていないということがわかりました。このロジカルコミュニケーションは、仕事だけでなくプライベートも含め様々なシーンで役に立つスキルだと思います。本書の中には、このスキルを身につけるための練習問題なども豊富に用意されているので、興味のある方は是非、本を手にとってみてください。

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