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論点思考 【13分で解説】

この動画から得られるもの

今回紹介する本は「論点思考」です。著者は早稲田大学ビジネススクール教授の内田和成さん。有名なボストンコンサルティンググループで長年コンサルタントとして活躍されていた方です。今回の動画は、内田さんが提唱する「論点思考」という考え方を通して、「解くべき問題の見極め方」を理解することがゴールです。
どういうことかもう少し詳しく説明しますね。日頃からビジネスマンとして活躍されているみなさんは、日々問題解決のために奮闘されていることと思います。「売り上げを伸ばすためにはどうしたら良いか」や「生産性を向上させるためにはどうしたら良いか」など、実際に働いている環境によって問題は異なると思いますが、ビジネスでは常に問題解決を行っています。ここで一つ質問を投げかけてみたいと思います。あなたが解決しようとしている課題は、真に解決すべき問題なのでしょうか?「そんなこと考える暇なんてない」「上司から求められてしかたなくやっている」など、問題を深く考えずに解決しようとしていることって結構ありますよね。経営幹部で問題を考えて、どのようにオペレーションするかは現場が考えることが多いと思いますが、どんな立場であっても「解こうとしている問題が正しいのか」を考えることは非常に重要なことです。
前置きが長くなりましたが、問題解決をする前に、解こうとしている問題が正しいのかを見極める力をこの動画を通して少しでも高められたらと思います。それではさっそくいきましょう!

論点を考える

論点思考のスタートは、まずは論点を考えることです。先ほども少し言いましたが、「解こうとしている問題が正しいのかを確認する」ということから始まります。言い換えると、「正しくない問題は解かない」ということです。なぜここから始まるかと言うと、ビジネスにおいてやらないことを決めるプロセスは非常に重要だからです。みなさんはこんな経験ありませんか?上司から結構な無理難題をオーダーされて、必死に答えようと頑張ってアウトプットした結果、全然成果に結びつかなかったこと。何も考えずに問題っぽいものを選んで解き始めたは良いものの、結果的に何がしたいのかよくわからなくなったこと。どちらも多くの方は経験したことがあると思います。このような状態になってしまう原因は、そもそも解くべき問題が間違っていることがほとんどです。正しく解くべき問題が設定されている、すなわち論点が設定されていると、多くの場合効果が伴います。もちろん、問題を選ぶ際に効果が出るかを検証して設定しているので、効果が出るのは当然なんですが、言いたいことはきちんと問題を考えて選びましょうね、ということです。


拾い出す

さて、論点を考える必要性について少しご理解いただけたと思いますので、続いては「論点を拾い出す」というステップに進みたいと思います。ここで重要な考え方は、「事象そのものは論点にならない」ということです。言っている意味が少し難しいですね。本書に書かれている事例で言うと、例えば少子化問題というフレーズがあります。みなさんもよく耳にすると思いますが、問題となっているのは少子化という事象ではなく、少子化によってもたらされる別の問題です。少子化によって労働人口が減少しGDPが低下してしまうこと、高齢者が多くなると社会保障体制の維持が難しくなることなど、少子化の先にある問題が本来の問題です。事象だけを指して問題として設定してしまうと、何が論点なのかがはっきりせずうまく議論が進みません。事象から、「だからなにが問題なんだろう」「だからどのようにしたら良いのだろう」という思考を働かせることで、論点を拾い出すスキルが向上すると思いますので、参考にしてみてください。
ここまでで、論点を拾い出す感覚はなんとなくつかめましたか?本書の中にはさらに具体的な方法も記載されているので、気になる方は目を通してみてください。


あたりをつける

続いてのステップは「論点に当たりをつける・筋の良し悪しで絞り込む」というステップです。先ほど拾い出した論点から、さらに問題となりそうなものを絞り込むステップに入っていきます。
まずは「論点に当たりをつける」ということ。この“当たり”とは、つまるところ“仮説思考”のことです。例えば商品の販売シェアを拡大したいというニーズのある会社で考えると、「自社のシェアが弱い若年層の売り上げを伸ばすためには、SNSで話題になるような商品を販売すれば他社からシェアを奪えるのではないか」といったような仮説ですね。本来であればもう少し掘り下げなければならないと思いますが、このように仮説思考を深めて問題にあたりをつけていき、それに必要なエビデンスを集めていく動きをしていくことで、論点が絞れてきます。具体的な方法については、代表的な手法で言うと「芋づる式アプローチ」、いわゆる「なぜを5回繰り返してみる」と言ったアプローチが本書でも紹介されていました。1つの事象からその事象はなぜそうなっているのか、それはなぜか、さらにそれはなぜかと言った具合に考えを深め、掘り下げていった結果真の論点にたどり着くことができるという方法です。
次に「筋の良し悪しで絞り込む」という点ですが、筋の良し悪しはこれから紹介する3つの質問を通すと良いそうです。まず1つ目は「その問題は解決できるのか?」ということ。そもそも解決できない問題を解くことは無意味ですので、そんなことは考えないようにしましょう。2つ目は「解決できるとして実行できるのか?」ということ。実際に当てられるリソースやスケジュール等を勘案し、実現できるのかを考えることは論点を考える上でも非常に重要です。最後に3つ目、「実行できたらどれだけ効果があるのか?」ということ。必死に頑張って解決したとしても、期待できる効果が薄いと取り組む意味が薄れてきますよね。このように、筋の良し悪しは3つの質問を通すとよりブラッシュアップできるようなので、ぜひ試してみてください!


全体像を確認

ここまできたらもう大丈夫!と言いたいところですが、最後のステップでは全体像を確認し論点を確定させるところまでやり切りましょう。最後のステップでは3つの観点から「論点を構造化」していくことが重要です。1つ目は「質問を投げかけて深掘りすること」です。何が本当の問題なのかを認識合わせするようなイメージですね。2つ目は「依頼主の真意・意図・バックグラウンドを考えること」です。人は立場や考えによって何がしたいかが変わります。問題を考える上で、解決すべき問題を抱えているクライアントは誰なのか、クライアントは何を考えているのか、バックグラウンドは何かなど、そこまで考えることでようやく問題を選定できるのです。3つ目は「引き出しを参照すること」です。これはイメージが難しいと思いますが、自分が経験してきたこと、得てきた知見を他のものに「転用する」という考えが分かりやすいと思います。別の案件や事例を蓄積し、それをまた別の案件に置き換えるような意識を持つことで、論点の全体像を考えるヒントにします。
このステップを通して、ようやく構造化されていきます。余談ですが、この手の考え方が記載されている多くの書籍は、全体をまず構造化して、そこから問題点を見つけていくというのが一般的な流れです。しかし、お気づきの方もいらっしゃると思いますが今回は順番が異なります。これは、冒頭「やらないことを絞る」と言った観点からこのような手法を採用しているのです。


論点思考力を高めるために

ここまでで論点思考の解説は終わりですが、この論点思考力を高めるためにどうしたら良いのかを最後に考えてみましょう。本書ではいろいろ紹介されているのですが、今回は一つだけ紹介します。「本当の問題は何かと常に考える姿勢」を持つことで、論点思考力は高まるということです。企業に勤めている場合、経営課題は大抵、会社の上流で考え決定します。そして、その問題を自分が所属する部署でいかに解決していくかを考えることが多いと思います。しかしここでは、「目の前の業務における課題を解決することだけを考える」なんてもったいないことはせず、上流工程から考えてみることをお勧めします。例えば社長から「これが会社の問題だから解決できるように動いてくれ」と言われたとしたら、その問題、課題は本当に解決すべき課題なのかを考えてみると良いでしょう。もちろん「別の問題解決が重要だからできません」と面と向かって言うのは難しいと思いますが、このような考えを持って業務に取り組んでいると、自然と論点を考えられるようになっていきます。出されたオーダーに答えるだけではなく、なぜやるのか、他の選択肢はないのかなど、自分の立場から目線を上げて考えてみましょう。きっと自身の成長につながるはずです。


まとめ

まとめますね。「解くべき問題の見極め方」を学ぶためには、いくつかのステップが重要だとお話ししました。まず、問題を解決する前に、解いている問題は本当に正しいのかを考えるステップ。ビジネスにおいてやらないことを考えることは非常に重要ですし、論点を誤ると効果を出すことが難しくなるためです。次は論点を拾い出すというステップで、事象そのものは論点にはならず、「だから何が問題なのか」「だからどうすれば良いのか」と考えることをお伝えしました。次は、論点に当たりをつけるというステップ。当たりをつけるとは要するに仮説を設定することで、仮説設定を深掘りすることで論点を見つけることができるということでした。また、筋の良し悪しで絞り込むことも重要で、「その問題は解決できるのか」「解決できるとして実行できるのか」「実行できたとして効果が出るのか」の3つの質問をすると良いとお話ししてきました。そして、最後は全体像を把握し論点を構造化することで、確かな論点として設定できる、というストーリーで本日お話をしてきました。論点思考力を高めるために、本当の問題は何なのかと常に考える姿勢も重要なので覚えておいてください。
いかがでしたでしょうか?この動画を通して、少しでも解くべき問題を見極められる人が増えてくれると嬉しいです。お付き合いありがとうございました!
それでは。

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