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【8分で解説】MBA100の基本

はじめに

本書のタイトルにもある「MBA」とは、多くの方が耳にしたことがあると思いますが、これは経営学修士のことで、経営学の大学院修士課程を修了するともらえる学位のことです。企業での実務に直結する領域を学ぶため、ビジネスの世界では、MBAを取得していることがひとつのステータスとして扱われることもあります。もちろん、その内容を社会人になってから網羅的に学ぶことは簡単なことではありません。

本書は、そんなMBAのビジネススクールで学ぶ経営学やビジネスの基本から、特に重要なものや実践的な項目100個を、厳選して取り上げ、それぞれをワンフレーズでわかりやすく学べるようになっています。

より深く専門的に学ぶ前に、まずは基礎をしっかりと身につけたいという方にはぴったりです。

今回の動画で、その全てをご紹介することはできませんが、個人としてのパフォーマンスを発揮する上で、基本の足腰となりうる「論理思考」と「定量分析」の領域から1つづつテーマをピックアップします。

その一部を紹介し、本書の魅力を伝えたいと思います。


説得力を高める論理思考

論理的に物事を考えることは、ビジネスシーンにおいて最も大切で、基本的なスキルです。
たとえ貴重なデータを手に入れることができたとしても、重大な場面で間違った意思決定をしてしまったり、もっと身近なところでは、自分の伝えたいことを他者に正確に伝えられなかったりすることも、論理的に物事が考えられていないことが原因かもしれません。

本書の中に、その論理思考の基本のひとつとして、「空、雨、傘」という項目が出てきます。
この言葉はコンサルティングファームではよく使われる言葉なのだそうですが、これは、「空が曇ってきた」という事実に対して、「雨が降りそうだ」だから「傘を持っていくべきだ」というロジックを表しています。つまり、事実に対して”So What?”、だから何?と問いかけることで、それに対してどう行動するべきかの仮説を立てることができるというわけです。

では、先ほどとは逆に「空が青い」という事実があった場合に、”So What?”、だから何?と考えてみましょう。
「空が青い」という事実に対して、「今日は晴れるだろう」という意味合いが引き出され、そこから行動の仮説を導きます。
みなさんはこの次にどのような行動を思い浮かべますか?
女性の方であれば「だから、日焼け止めを塗ろう」と思ったかもしれませんし、家事をする方なら「洗濯物を干そう」、お子さんを持つお父さんなら「公園に行こう」と思ったかもしれません。同じ「空が青い」という事実からでも、当事者の立場や価値観などに差があれば、導き出される行動の仮説は異なってきます。
もちろん仮説ですから正解はありません。ただ、ビジネスシーンでは売上や利益を生み出すことに意識を向けた立場を取ることを意識しましょう。

目の前の事実をただ眺めていても何も生まれません。この「空、雨、傘」を常に念頭に置き、仮説を立てて行動することは、ビジネスでは特に重要なことです。


客観的な数字で人を動かす

最高の仕事をするためには、それに取り組む熱い情熱のようなものはもちろん必要ですが、それだけでは人を納得させることはなかなかできません。
そこで重要になってくるのが、客観的な数字で根拠を示すことです。

たとえば、営業会議などで「目標達成までもう少し!がんばろう!」と言われても、で、どうしたらいいんだろう?となってしまいますが、「目標までの達成率は現時点で90%!1ヶ月で残り10%を達成するために、1日の顧客訪問件数を1.2倍に増やすように!」と言われた方が、具体的なアクションが見えてきますよね。

このように数字を使って物事を考えることが定量分析で、これには、人を納得させ行動を促す力があります。ですので、ビジネスシーンではとても強力な武器になるのです。
そんな定量分析の考え方のひとつとして、本書では「apple to apple」という言葉が出てきますので、それをご紹介します。

たとえば、ある飲食店の評価が5点満点中、4点だったとします。これは評価が高いのでしょうか、低いのでしょうか。
直感的に「高い」と思った方がいるかもしれませんが、他の飲食店が軒並み4.5点以上だったとすれば、4点という点数は、決して評価が高いとは言えません。

このように単体の数字では、それがどんな意味を持つのか判断がつかないことがあり、比較対象があってはじめて数字の意味が見えてくることが多いのです。

しかし、実際のビジネスシーンではこの比較をするのがなかなか難しいのも事実です。
「apple to apple」とは「リンゴとリンゴを比較する」という意味で使われているのですが、実際には、リンゴとミカンの比較をしてしまっているケースが非常に多いのです。

たとえば、オリンピックの金メダルの数を、今回は多いとか少ないとかの話を聞きますが、今回の大会と前回の大会が、全くの同条件、つまりリンゴとリンゴの関係になっているのかという点に気をつけなければなりません。オリンピックは大会ごとに種目数が変わっているので、実際には同条件とは言えず、本来であれば、大会ごとの金メダルの数を比較することに大きな意味はないのです。最近で言えば、新型コロナウィルス感染者数の推移なんかも同じようなことが言えるかもしれません。

もちろんビジネスシーンにおいて、100%の精度で「apple to apple」を実現するのはなかなか難しいのですが、それでも大きなブレを極力抑えた数字同士の比較の方が持つ意味も力も大きくなることは頭に入れておきたいですね。


全てのビジネスパーソンが一読しておくべき

本書の魅力は、なんといっても書かれている領域の広さです。
今回ご紹介した論理思考や定量分析のような個人スキルの部分だけでなく、経営戦略やファイナンス、新事業創出といった組織運営する上で必要となる知識まで、実に広範囲に及んで内容が書かれています。

本書で詳細部分に触れるのではなく、まずは本書を一読してから、興味のある分野の専門書などに進んでいくといった、各分野の入り口としてもとても役立つと思います。

もちろんそれぞれの内容は、基本となる考え方がしっかりと書かれているので、ビジネス全体を知るという意味ではすべてのビジネスパーソンが読んでおくべき本だと思いました。基本的な内容とはいえ、知っているのと知らないのでは大きな違いがあります。ご興味のある方はぜひ、本書を手に取ってみてください。

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