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【14分で解説】スタンフォード式デザイン思考

実践 スタンフォード式 デザイン思考 世界一クリエイティブな問題解決

2019年 ジャスパー ウー (著)、見崎 大悟 (著) インプレス社

みなさんこんにちは。今日は2019年に発売されたジャスパー・ウー氏の著書『実践 スタンフォード式 デザイン思考 世界一クリエイティブな問題解決』について解説していきます。

この本では、近年、シリコンバレーのスタートアップや世界各国のIT企業がこぞって取り入れている「デザイン思考」という「問題を解決する考え方」について、これまで著者の経験から、デザイン思考を身につけるための具体的なノウハウが紹介されています。

著者経歴

著者のジャスパー・ウー氏ですが、今、世界的に注目されているスタンフォード大学が提供する「d.school」というデザイン思考の教育を学んだあと、3年前に来日。メルカリを経て、U-NEXTに入社し、デザイン思考を使って世の中に人々のニーズに合った新しいサービスを提供しています。

本書の構成

この本は大きく分けると、
(1)デザイン思考とはいったいどんなものなのか、なぜ必要なのかといったデザイン思考の 概念や基本
(2)デザイン思考のプロセス
(3)筆者が実際にワークショップで使用しているツールや方法
(4)これからの時代にデザイン思考が果たす役割

という内容で構成されています。

そのため、デザイン思考の基礎から実践方法まで学ぶことができる入門書、教科書として活用することができます。

デザイン思考とは何なのか

それでは内容に入っていきましょう。

ここまでにも既にたくさん「デザイン思考」という言葉を使ってきましたが、いったいデザイン思考とはなんなのか、という話から説明します。

デザイン思考とは本書では「現代の人々が持つ本当の問題を解決するための考え方」という定義がされています。

現代の成熟した市場ではお客さんやユーザーが受け取るサービスやプロダクトの価値が、値段や機能性というよりも、それを使うことによって「どんな体験ができるのか」ということに変わってきています。

そして「どんな体験ができるのか」を考える上で大切なことが、それを使う人々のニーズを正しく理解することです。デザイン思考は「正しくニーズ、課題を見つけ、解決に導くためのクリエイティブな考え方」ということができます。


デザイン思考の最大のポイントは「考え方」であること

いきなりですが、この本、そしてデザイン思考の最大のポイントをお伝えします。

それは「デザイン思考とは人々が持つ問題を解決するための考え方」であって、「方程式や英単語といった問題に対する決まった解決方法」ではないということです。まずはこのことを理解しておいてください。

そしてこのデザイン思考は、知っているだけでは、はっきり言って何の意味もありません。実践をしてこそ価値を持つのです。とにかく実践、そして何度も繰り返す。それがデザイン思考では大切なことです。

実践 スタンフォード式 デザイン思考 世界一クリエイティブな問題解決2


デザイン思考のプロセス

では、本書で紹介されているデザイン思考のプロセスを説明します。
デザイン思考のプロセスは、

①ユーザーの悩みを共感すること(共感)
②問題を定義すること(定義)
③問題を解決するためのアイデアを出すこと(アイデア)
④アイデアをプロトタイプ(試作品)にすること(プロトタイプ)
⑤テストをすること(テスト)

の5つです。

デザイン思考は基本的にこの順番でものごとを考えていくのですが、決して一直線に進んで行くわけではありません。この5つのプロセスを行きつ戻りつしながら、デザイン思考はより深められていくのです。


デザイン思考のプロセスで大切な「共感」と「定義」

本書では実際にワークショップで行った課題を紹介しながらこのプロセスを解説しています。先にも言いましたが、デザイン思考とは「正しくニーズ、問題を見つけ、解決に導くためのクリエイティブな考え方」です。つまり、正しくニーズを把握する①共感と、②問題の定義 のプロセスがうまくいかなければ、極論、世の中の問題の解決に繋がるサービスは生まれません。

ですので、今回の動画では、デザイン思考の肝になる、①共感と ②定義について、本書から私が大切だと思ったポイントを紹介していきます。

 「共感」には3つのレベルがある

まずは①共感についてです。

何度も繰り返しになりますが、デザイン思考は人々が困っていること、不便だと感じていることを改善できないかと考えて、最終的にサービスやものを提供することです。つまり、すべての始まりは「人々を理解する」ことです。デザイン思考ではこの段階を「共感」と呼んでいます。つまり、できるだけ相手の気持ちに寄り添い、不便やニーズを深めて共感し、本当の問題を探していくのです。


共感には3つのレベルがあり、
①ユーザーを観察すること
②自分で体験してみること
③ユーザーに直接聞いてみること

という段階があります。

ここでは「外国から日本にやってきた観光客が電車の切符を買う体験をデザインする」という課題について、3つのレベルでの共感を考えてみましょう。

①切符を買っている外国人を観察して戸惑っているところ、迷っているところがないかを観察する
②初心者の視点を大事にしながら、自分で実際に切符を買ってみて、どんな気持ちになるかを理解する
③実際に切符を買った外国人だけでなく、駅員や案内担当に話を聞いてみる

ということになります。観察、体験、インタビューを通して当事者に共感することが、真の解決すべき問題を理解することに繋がるのです。

さらにこの共感のプロセスで最も大切なのがインタビューです。インタビューでいかに相手の本音に迫ることができるかで、問題の本質に近づけるかが決まります。本書ではインタビューの実践的な方法やテクニックが紹介されていて、日常のコミュニケーションにも役立つことばかりなので、ぜひ本書でチェックしてみてください。


 問題を「定義」するためのポイントは動詞で考えることとリフレーミング

次に「②定義」のポイントを紹介します。

「①共感」で集めた情報をもとに、解決すべき問題を定義していきます。

このプロセスでも大切なポイントを2つだけ紹介します。

1つ目は、ユーザーが一連の体験の中で何をしたかったのか、「名詞」ではなく「動詞」を使って答えるということです。これだけでは何を言っているのかわからないと思うので、例を挙げて解説しましょう。

「あなたはバッグのひったくりにあって、犯人は走っている。あなたが追いかけるとき、何が必要でしょう」という質問があったとします。まずはその答えを名詞で答えると「車」や「自転車」という答えが出ると思いますが、その場合、知っているものや、解決策しか出てこなく、アイデアの広がりがありません。

そこで動詞で答えてみます。例えば「早く走る必要がある」という答えが出てきます。すると、さらに「早く走るためにはどうしたらいいか」というように、どんどんとアイデアが展開していくのです。ユーザーが何をしたかったのかを動詞で考えることで、真のニーズに迫りやすくなるのです。

2つ目は「問題のリフレーミングをする」ということです。リフレーミングとはユーザーの悩みを別の視点から考えてみることで、真に解くべき問題をもう一度探してみることです。目に見えているのは氷山の一角で、本当の問題は氷の下にあるということはよくあることです。

例えば「東京オリンピックで海外から訪れる方の言葉の壁をどう取り除くか」という問題を設定した場合、「言葉が通じないのなら、アイコンで説明できるTシャツをつくろう」というアイデアが出たそうですが、これはうまくいかなかったそうです。

その後、真の問題が「言語が通じないことでの壁を取り除くこと」ではなく「海外から来る人との心の距離を縮めること」だったと気づいたそうです。一度定義した問題に対して、別の視点からもう再度眺めてみることによって、真の問題が見つかることがあります。

まとめ

今回の動画では『実践 スタンフォード式 デザイン思考 世界一クリエイティブな問題解決』から、デザイン思考の方法と、大切なポイントをピックアップしてお伝えしました。

まとめると、
・「デザイン思考とは人々が持つ問題を解決するための考え方」であること
・デザイン思考には①共感、②定義、③アイデア、④プロトタイプ、⑤テスト という5つのプロセスがあること。
・①共感では、観察、体験、インタビューを行って、課題の把握に迫ること
・②定義では、ユーザーが本当にしたかったこと、解決したいことは「名詞」ではなく「動詞」で探すこと、そして一度、定義した問題は、リフレーミングをして、別の視点から考えることが大事 ということでした。

最後にこの本はすべてのビジネスパーソンにおすすめしたいと思います。

なぜなら、世の中の仕事の本質というのは、お客さんであったり、サービスを受ける相手の課題を解決してあげることであり、そのためには自分の頭を使って考えることが必要です。これからの時代にあった問題解決の方法としてデザイン思考という方法を知っていることは、成果を出すためにとても有益です。

実践 スタンフォード式 デザイン思考 世界一クリエイティブな問題解決3

また繰り返し言われているのですが、デザイン思考はとにかく実践が大切です。逆に言うと、誰でも試しやすい思考方法なのです。本書には実際にデザイン思考を試すためのツールが付いているので、自分の仕事に直接的に落とし込みながら体験することもできます。

仕事に停滞感を感じている方、新しいアイデアで社内で巻き返しを図りたい方など、ぜひ、本書を読んでデザイン思考を試してみてください!


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