快進撃が止まらない!二刀流芸人・かまいたちの人気の秘密3選

16本のレギュラー番組を抱えるお笑いコンビ、かまいたち。
コントと漫才どちらをとっても定評のある「二刀流芸人」であることは、広く知られていることと思います。

しかも彼らの漫才は、マイクの前で状況設定をしてから寸劇に入る「コント漫才」ではありません。ボケとツッコミの掛け合いのみで成り立つ「しゃべくり漫才」です。キングオブコント2017の王者になるほどの実力があるのなら、漫才スタイルにもコントが盛り込まれてきそうなもの。でも彼らは漫才の際にはコント色を封じ、話芸のみで仕上げています。その漫才も、M-1グランプリ2019で準優勝を果たすほどの実力。コント師としての側面と漫才師としての側面をここまで使い分ける芸人は、彼らの他にいないのではないでしょうか。

でも二刀流であれば誰でもここまで上り詰めることができるのかと問われれば、答えは“ NO”です。彼らをここまでのしあげてきた魅力・他には真似できない魅力が、たくさんあります。

二刀流に留まらないかまいたち。魅力の秘密を、ぎゅっと3点にまとめてお伝えしていきます!


1.筋金入りのギャンブラー


皆さんは、うまくいく“成功パターン”が掴めたら、その後どうしますか?
私ならその後だいぶ気を抜いて、そのパターンをくり返し続けると思います。そしてそのパターンが通じなくなってから焦り始めて、また成功パターンを掴んだら気を抜いての繰り返し・・・。(私も私も!という声が多数でありますように・・・求ム共感)

それをしないのが、かまいたち。
大阪時代、ウケるパターンが掴めたらそれは捨てて次を試してを繰り返すことで、武器を増やしていったそうです。

現状維持は衰退を意味するとはよく言ったもの。
でも頭ではわかっていてもそれを実践するって、簡単ではないですよね。

なぜかまいたちにはそれができたのか。

私は、2人ともがギャンブラーであることが一因にあると思っています。

濱家さんは家庭をもったことをきっかけに今でこそギャンブルをやっていないそう。でも元々は、底をつきそうな生活費をパチンコで増やそうとするも負けてしまい、全部スってすっからかんになってしまったことがあるような元ギャンブラー。

山内さんの方はというと今も現役でギャンブルを楽しんでいるそうで、感染症の影響による自宅待機期間中にギャンブルで負けた金額、なんと250万円!(しかも競馬のみ)

どっひゃー!!!!

超庶民の私はこの負け額を聞いただけで心臓が2秒くらい止まった気がしました。

でも山内さんは競馬での負けを「JRAにお金を預けている感覚」だと表現しておられます。

この感覚が、更に“どっひゃー”!

負けても、回収しようとしている・・・・!

ここなんだな、と。

失敗を回収しようとする覚悟があるから、未知なことにもチャレンジができる。チャレンジがあるから武器が増える。

やはり彼らの魅力を“二刀流”で済ましてしまうのは、物足りないですね。


2.ブレない芯と、柔軟さ


2020年は感染症が流行したことで、いろんなことが変化した1年でした。

その中のひとつに、LIVEが含まれます。

“三密”の条件が揃いやすいこともあり、開催予定であったLIVEは軒並み中止となっていった記憶は、まだ新しいですよね。

その替わりに普及してきたのが、オンラインLIVE。やはり生の臨場感には欠けるものの、かたちを変えたエンターテインメントに触れたことで元気をもらえた人はたくさんいたことと思います。

そんな変化が多かった2020年。濱家さんはトーク番組に出演し、オンラインLIVEについて、あまり積極的になれないという趣旨のお話をされていました。理由は、「舞台の値打ちが下がるから」。

自分たちが立つ舞台とそれを見るために劇場に足を運んでくれるお客さんを大切にしていることが伝わってきて、胸を打たれました。

しかし、2021年に2年ぶりに開かれたかまいたちの単独LIVEはオンライン上でも配信されています。

この切り替え力が、とても鋭い。

強いこだわりを持っているからこそ。向き合ってきた時間が長いからこそ。変えたくない気持ちや引っ込めない発言って、ありますよね。

かまいたちにだって葛藤はあったはずですが、それでも本来のこだわりに執着しすぎず対応を変えられたのは、彼らに柔軟性があったからこそ。

そして柔軟性とは、ブレない芯がなければ発揮されません。

かまいたちは、自分たちのネタを番組の制作側の意向に合わせて変更することもあるそうです。

番組に合わせたポジション取りも絶妙で、数え切れないほど構えている武器選びも、その使い方も、間違えない。

なぜこんなにやわらかく対応できるのか。

それは自分たちの“おもしろい”を、見失っていないからだと思います。

だから表面のかたちがどれだけ変わっても、かまいたちの“おもしろい”は、ちゃんと届く。必ずそれが、芯にあるから。


3.補い合える信頼関係


得意なものが違う者同士が揃うと、できることが増えますよね。

でも、相手を認め受け入れられる懐の大きさがないと、“違い”が“衝突”を生んでしまいます。この“違い”を否定せず受け入れ、活かす。相手を信頼していないとできませんよね。

それができているのが、かまいたちです。

かまいたちの漫才に、「自分の思考が周りとちょっとズレてることに気付かず堂々としている山内さんに、濱家さんがツッコむ」というスタイルがあります。

これ、最初はネタだと思いました。

でも彼らのファンになりYouTubeの全動画を観ていて気付いたんです。

このボケは漫才のためにわざわざ作り上げたネタなのではなくて、山内さん自身のことを漫才用に書き下ろしているんだということに。

なぜこのようなスタイルになったのか。それは山内さんが気付いていなかった独特な部分を濱家さんが伝えてくれたことで、人間性をボケとして強調するスタイルにつながったと、特集本には書かれていました。

「山内さんには人と比べて独特なところがあって、そこが面白い」という部分に気付いた濱家さんと、それをネタに化かした山内さん。おふたりの着眼点が違ったからこそ、そしてそれを受け入れ合える信頼感があるからこそ生み出されている、唯一無二の“笑い”がそこにはあります。

しかもお互いのことを「おもしろい」と思っているから、ネタから離れた場でもふたりで掛け合うこと自体を楽しんでいる無邪気さすら出ています。

緻密に計算され仕上がったネタの面白さと、まるで大学のサークルで楽しそうにはしゃぐ先輩たちを眺めているような自然なおもしろさ。対局にある二種の笑いを量産できるのは、ハリー・ポッターシリーズを全部まとめたくらい厚くなったおふたりの信頼関係があってこそだと私は思います。



17年かけて培ってきたおふたりの信頼関係とギャンブラーな心意気で集めた数え切れないほどの武器は、1本の“鎌”となり、場面に合わせてかたちを変える。彼らはこの鎌を、さらに強靭なものに仕上げるべく磨き続けていくことでしょう。

見る人を飽きさせないエネルギッシュなおふたりの活躍を、私はこれからもずっと追いかけ続けていきたいです。



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