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小さな小さな夢/オープンカーライフのはじまり

そんな素振りは一切だれにも見せなかったけれど、高校生の頃から車が好きで、こっそり親父の軽トラを駆り、免許を取ってからは中古のスプリンターを手に入れて、GSでバイトをしながら走り回るためのガソリン代を稼ぎ、整備を覚え、バブル期だったためお客の車も高級車ばかりで、ポルシェ、ベンツ、アウディ、コルベット、NSX、スープラ、ソアラ(何と超レアなアクティブサス仕様!)に乗る機会を得、夢のような時代を過ごしたけれど、ローバー社のMINIや(今はミニとは呼べないほど大きくなっちゃったけど)フィアット社のパンダのような小さな車が好きで、大学を卒業し、就職後はスズキのカプチーノを契約直前まで行って、でもやっぱり家族第一にとワゴンRに変更し、その後はチャイルドシート義務化でミニバンばかりを乗り継ぎ、子どもの巣立ちとともに、維持費の節約も兼ねて軽自動車に乗り替え、そしてやっと、本当にやっと、自分が乗りたい車に辿り着いた。こんな小さな夢、他人からすれば笑っちゃうぐらいのことだろうけど、僕には、もういつ死んでも思い残すことがないと思うぐらい心待ちにしていた30年越しの小さな小さな夢が叶い、小さな小さなオープンカーを手に入れた。あまりに小さすぎて笑っちゃうぐらいだけど、人生そんなもんでしょ。世の中の車が全てオートマチックの電動車になる前で良かった。この時代を生きることができて良かった。

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