クチャのおはなし
クチャが旅立って早くも28年が過ぎました。
現在は医学も発達しネコ人生も長くなりましたが、当時はまだ10年生きれば長生きと言われていた時代のお話です。
雄々しいですが女の子です。女王様全盛期。
どうしてもこのクチャのことを世に残しておきたくて模索していました。そして今がそういうタイミングなのだなと感じてこのような形で集約しました。ずっと頭の片隅にありここに至るまで決して短くはない道のりでした。マンガとはいうものの完璧なものだとは思いませんが、何かを伝えるには十分だと思いここに残します。
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下記はマンガのプロット。
クチャのおはなし・プロット
ねこがきた。
まだ子ねこで、顔がクチャっとしていた。
名前は決まりだ。
クチャ。
すぐに仲良くなった。
遊んで遊んで遊んで遊んだ。
いつもいっしょにいた。
高いところから降りられなくなったり、
走るときに犬のようにべろを出していたり。
名前を呼べば返事をしてくれた。少なくとも尻尾で返事をした。
何もなくても「クチャ~」「ニャー」と会話をした。
クチャは見た目によらず几帳面でご飯の時間に厳しかった。
こうして日常は流れ、数年が過ぎた。
小学生だった僕は高校生になっていた。
それでもいっしょにいた。
つらいことも楽しいこともクチャにはわからない。
ただいっしょにいた。いっしょにいてくれた。
そしてその春、クチャは物を食べられなくなった。
水も飲めなくなった。
鳴けなくなった。
「クチャ」と名前を呼んでも声を出さず口だけをあけた。
クチャはやせていった。
夏に入ると目に見えて弱っていくのがわかった。
どうしてこんなことになってしまったのだろう。わからなかった。
夏休み、僕は合宿で3日ほど家を空けなければならなかった。
もう会えないかもしれない。そう思った僕はクチャをぎゅっと抱きしめて合宿へ向かった。
合宿が終わり家に帰るとクチャが待っていた。
なんとなく少し元気になったように見えた。
すごくホッとした。
そしてその日の夜、クチャは元気だった頃と同じ時間に同じようにご飯をぺろりと平らげた。
水も飲んだ。
まるでいつものように。
そして、いつもの声でにゃーと鳴いた。
「クチャ」
「ニャー」
その夜、僕らが見守る中でクチャは旅立った。
ありがとう、クチャ。
出会えてよかった。
ありがとうございました。
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