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飛び込み営業はキッツイよね。

私は大学に進学した年の夏休みに某清掃業者でレンタルモップの営業アルバイトを始めました。
「学生で応募してきたのは君が初めてだよ~。できる?できそう?ホントにできる?」と言われ、何度も確認するものですから(辞退しろって意味か?)と思いましたが、できますよぉ大丈夫ですよぉと適当に答え、そのまま採用していただきました。

入社してからは毎日研修ビデオを延々と見せられるだけで、一向に外回りをさせて貰えませんでした。1日4~5時間、おそらく2週間ぐらい続いたと記憶しています。途中(やはり辞めさせたいのだな)と思いましたが、逆に燃えてしまい、店側も諦めたようで何とかデビューする事ができました。

高校では小僧寿司ぐらいしかバイト経験がなく、営業というものについては何も分からない状態でした。最初は(ニコニコスマイル&お手手すりすりで何とかなるでしょ)と、まぁそれはそれはナメたものでしたが、何とかなるはずもなく、かなり苦労しました。

商材のモップは無料レンタルなのです。無料なのに何故断るの? そもそも何故話を聞いてくれないの?と、今思えば、そんなの当たり前だろ!と思いますが、始めた頃の私にはそのあたりが全く分かっていませんでした。
小僧寿しは店で待っているだけでお客様の方から来店してくださる。今度はこっちから相手を探しに行く。その大きな違いを甘く考えていました。

そうこうしているうちに「話を聞かないのが普通」という事に気が付き、それを逆手に利用する事を考えました。「話を聞いてくださらない方が殆どなんですけれども」を最初に言うと、かなりの確率で聞いてくださる様になりました。一番ダメなのは、話を聞いてくださいと懇願する事です。懇願したら逃げます。懇願して優しく聞いてくださる方は、聞くだけ聞いて結果的に優しく断ります。それでは意味がありません。

また、なぜウチにやってきたのか、を不審に思う人が多い事にも気が付きました。なので、「昨日まで隣の3丁目を回ってまして、今日からこちらの4丁目で順番にお声掛けしています」と言うと、それはかなりグレートークなのですが、3丁目で1件でも回っていれば嘘ではないので、そのトークを駆使して話を進めていきました。このトークもかなり有効でした。僅かな違いですが、「順番に」が抜けると効果が感じられませんでした。

あとは、「他で頼んでるから」に対しては「ちょうど良かったですぅ。そんな方にこそ比べて頂いてご意見を.…」や、「ウチはカーペットだから」に対しては「ちょうど良かったですぅ。そんなお宅には天井や壁の埃取りで喜ばれて.…」や、「室内犬がいるから埃なんか気にしてないよ」に対しては「ちょうど良かったですぅ。ワンちゃんの遊び道具としても…」などと、意味不明な会話になりがちな「ちょうど良かった」作戦もしつこく言いすぎると怒られましたが、それなりに成功しました。

なんだかんだで2年間続けまして、その間に何本成約したのか、どの位稼げたのかは覚えていませんが、とても良い経験になりました。本当は同じような年齢の仲間がいればライバルとして良い意味での競争もできたのですが、それがいなかったのが残念でした。何人かに声をかけましたが「飛び込みなんかイヤだよ」と断られてばかりでしたね。そりゃそうだと思います。
真夏のクソ暑い中で、1件ずつ回って断られ続けるって… 嫌ですよね。

あれから30年以上経ちまして、時代は大きく変わりました。
飛び込みからテレアポに変わり、テレアポからDMやメールに変わり、座ったままで営業できる時代になりました。
それでも時々飛び込みで回っている社会人の若い子たちを見ると、つい「大変だけどがんばってね!」と応援したくなります。

もうすぐ4月!
 新社会人だ!
  みんな頑張れっ!!

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