本条の2020(前半)
(2020年に本条恵が発表した短歌の一部です。)
シンデレラの継母気分で戸を閉める家にルンバは働き続ける
体には数限りなき洞がありまれに石など採れたりもする
「月を跨ぎそうだよ」LINEに銀河ほどの背丈になったあなたを思う
バス停に月の光を編むようなあなたの手話を見るだけだった
ポイントカードを三枚持ってるヨドバシでカメラを買ったことはまだない
ドア横の二対の▶に惑わされ笑顔で人を挟んでしまう
図書館のあまたの雑誌それぞれに目覚めることのない応募券
詩歌論を開いたままで舟をこぐ寝入りばなとはなにいろの花
ちくわだけやけにリアルな五十音ポスター見ながらもう一度吐く
ヘビもワニも鶏肉のような味と聞きふいにおそろしくなるにわとり
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