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復刻版「贋作・ひとりごと」No.9

遠文連ニュース「はぴねす」No.245(1988.3.10)より

 今シーズンは何回スキーを楽しみましたか。12月から1月には雪が少なかったので、どこのスキー場でも困っていたようです。これからという方も多いと思いますので、楽しんできてください。
 ところで、山村の過疎地域では活性化と財源確保の手段として、その団体の年度予算総額と同じくらいの投資をして、ゲレンデ造りをしている所が増えています。スキー人口が増えていますから、結構な事だと思いますが、特色が無いんです。既設のゲレンデを見学に行って同じものを造ってみたり、斜面にスノーマシンで降らせる程度なんですね。以前、この欄でも書いたのですが、客層が厚く、楽しみ方も拡がっているんですから、特色を出したらいかがなもんでしょうか。又、雪が無い所はゴルフ場ですね。紳士のスポーツですから、全国各地に増え続けていくと、全国各地に紳士が増え続けていくわけでもないと思うのですが、とにかく増えています。こうした各地でのレジャー施設の開発は最終的には役所側で結論を出すのですが、言いだしっぺというのは、プランナーとかコンサルタントさんなんですね。役所側の人間というのは、だいたいが企画・立案部門が弱いですから、そうした方たちの言葉を鵜呑みしやすいんです。失敗しても、経費を弁償しなければならないということもありませんから、安易な面もあると思うんです。市民側の監視というのも、時には必要かもしれませんね。

遠文連ニュース「はびねす」 No.245  247  248

遠文連ニュース「はぴねす」No.247(1988.5.10)より

 新入社員のみなさん、4月号と共にお届けした遠文連のご案内はお目にとまりましたか。というわけで、あなたの会社も法人会員ですから、どんどん利用して下さい。
 すでに新聞等でご存じだと思いますが、浜松市がコンベンションシティとしての機能を持とうとしています。駅前の再開発も目に見えて進んでいます。こうしてハード面では大都市への仲間入りをしようとしています。ところが、ソフト面というのは、いくら行政側が中央から持ち込もうと、その場限りで終わってしまいます。やはり住民がその気にならなければ、続いていかないのです。貴方の感性が状況を変えていくのです。ご自分でいろいろな情報をつかんでください。
 さて、一ついい話があるので書いておきます。春風亭栄橋という噺家がおります。すでにテレビのドキュメント番組で二回取り上げられていますから、ご存じの方も多いと思いますが、パーキンソン病と17年間闘っている現役の噺家です。4月15日に立川談志師と杉良太郎氏の後援によって、明治座で8年ぶりという高座を努めました。専門医の立場からの発言では、これはもう奇跡としか言いようのない精神力と体力なのだそうです。その後、談志師のお弟子さんと、全国の患者さんたちの慰問を続けているのです。医薬の力で何もしないで80歳まで生きるより、一日でも芸人として生きたいという執念なのです。

遠文連ニュース「はぴねす」No.248(1988.6.10)より

 5月の連休はいつものとおり、残雪と水芭蕉を求めての戸隠キャンピングクラブの行動でした。貴方はどんな体験をされましたか。円高差益とか、国際化という流れの中で、海外旅行者が増えましたから、どこの空港も限界になってきているんだそうです。こんなに旅行でドルを使っている国民は他に無いと思うのですが、アメリカさんはなかなか評価してくれそうもありません。三ツ星レストランを借り切ったといってイヤミを言われ、ミュージカルを輸入したといってはケチをつけられている現状です。別に嫌がられようと思ってやってんのやないからえぇと思うんですけどね。一つには国際化ということを誤解して、海外旅行することだと思い込んでいる政治家や官公庁の責任があると思うんです。夏休みや冬休みになると親が金の算段して、子供だけの海外キャンプとか洋上学園とかに参加させることが増えてます。自分たちができなかった事をさせてあげたいという親心なんでしょうが、子供は親の心を知りませんな。俗に言われる”旅の恥はかき捨て”という大人の小型版なんやそうです。小さい子供から世界中で恥をバラ撒いていますから、日本人が世界へ進出するに従って悪口が多くなるのも道理だと思うんです。
 世界中どこへ行っても、どこに暮らしても通用するエチケットやマナーを身に着けていけることが国際化という事やと考えているのですが、間違っているでしょうか。

遠文連ニュース「はぴねす」No.249(1988.7.10)より

 先月、浜松駅の某ビル内のホールで、女性プロデューサーによる女性のためのイベントが開催されましたね。マスコミも利用して派手に宣伝していましたが、何故、今頃「女性による女性のための‥‥」イベントだったんですか。これはたぶん背後に男性プロデューサーがいるからだと思うのですが、不自然だと思いませんか。競争率の高い職場に女性が進出してきたとか、大学での成績上位者が女性で占められてきたとか、マスコミに取り上げられて久しいのですが、こうしたことはニュース種にはなりえても、お互いが歩み寄るという影響は与えないと思うのです。確かに従来の男性中心社会に染まらないで、安易に永久就職しない女性が増えています。ところが、女であることを最大限に利用して、社会に対する義務を無視して、遊民と化している女性が多いのも事実です。
 少し硬くなりましたので、硬くなりついでに硬い本の紹介をします。岩波新書の「女たちが変えるアメリカ」です。ウィメンズリブの運動がアメリカ社会に落としたマイナスの現象を内側からとらえたレポートなんです。家族の崩壊、性の解放による社会的混乱、社会的弱者の増加など、ゆれるアメリカ社会を報告しているんですが、これは10年後の日本社会になるかもしれません。今まで、何でもアメリカに追随してきた国が、こうした貴重なモデルをどういうふうに参考にしていくのでしょうか。興味があります。

遠文連ニュース「はぴねす」No.250(1988.8.10)より

 先日、機会がありまして、我が家でインドネシアの女子中学生を二人、二週間お世話しました。ホームスティということです。お互いに日本語と英語とインドネシア語の単語を並べているだけでしたが、困ったことも無く、楽しく過ごせたと思います。浜松の某技術友好協会の関係ですから、新聞等でご存じの方もあると思います。この二週間で日本人の嫌な面をみることができましたので、ここに取り上げます。というのは、世話をしている家庭の多くが、彼らや彼女達に対して時間の観念が乏しいとか、知識欲が無いという気分が悪くなるような言い方をしていたのです。確かに日本人のせせこましい生活とか仕事環境と比較したら、そうかもしれないのですが、生活環境とか慣習が異なっているのですから、そういう面は理解してあげるべきだと思ったものです。
 異文化間の摩擦はあってあたりまえという、割り切った気持ちが無いと、「国際化」は官公庁側の掛け声でけに終わってしまうのではないでしょうか。製造業への労働力や風俗産業への出稼ぎが問題化していますが、これは又別の次元の問題です。普通の人々同士の行き来、ふれあい‥民間外交という言葉が生まれていますが、一握りの政治家や官僚・ビジネスマンたちの行き来だけが国際化ではないのだという考え方が大切だと思うのです。これから国外的にも国内的にも異文化に触れることによって、どんな異人種が出てくるのか楽しみです。

遠文連ニュース「はぴねす」No.251(1988.9.10)より

 異常気象の冬、そして異常気象の夏、ひょっとして異常気象の秋がやってくるのではないでしょうか。七月の下旬に幹事総会が開催され、あるテーブルのチェアマンを努めさせていただきました。なかなか有意義な意見をいただいたのですが、その一つに県立音楽堂と秋の浜松祭りに対する事がありました。私もこのコラムで四回取り上げたのですが、一般的に知らされていることが、あまりにも少なすぎるのではないかという批判でした。浜松市内にどんなレベルの自称文化人がいてんのか知りませんが、言うたもん勝ちやなアといった状況やないのんですか。
 一つオモロイ話があるんです。毎年、恒例となっている某繁華街の七夕祭りがありますね。そのイベントの一つにカラオケ大会がありました。今年は中止になったんだそうです。その理由というのが「バークレー・イン・ハママツ」なんだそうです。「楽器の街」から「音楽の街」へ発展しようと皆が努力をしているのに、カラオケ大会を浜松の中心部で開催するのは芸が無いという理由なんだそうです。ただし、本当の理由が別にありまして、有名なジャズプレーヤーと共にたくさんの外国の方が滞在している時期にこうしたイベントが行われるという事は恥ずかしいという理由なんだそうです。こんな考え方の人達がいて、どうして国際交流都市なんですか。コンベンション・ホールができたら、何が禁止されるんでしょうかね。オモロイ街ですな。

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