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復刻版「贋作・ひとりごと」No.11

遠文連ニュース「はぴねす」No.258(1989.4.10発行)より
 ご縁がありまして、2月19日に西武シティ8で「桃山晴衣・三弦の世界」のプロデュースをしました。1時間のコンサートと30分の講演という内容だったのですが、この講演のテーマも私が独断と偏見で決めさせていただきました。「邦楽の美意識・アジアの中の邦楽・伝統芸能は博物館にしまっておくほうが良いのか」というよくばりなテーマたったのですが、うまくまとめていただけました。
 講演の概略としては、明治維新後・第二次世界大戦後の西欧芸能の流人によって、いかに日本的・アジア的な芸能が隅に圧し遣られてきたかということなのです。中国・アジアを旅したときに感じられる安堵感は単に顔つきが似ているからではなく、文化の源流が同じだということがあるのです。もう一つ、現在に伝えられている芸能・文化は、その時その時代の「いま」を生き抜いてきたからこそ残っているんだということです。「古い・遅れている」のではなく、知ろうとしていないだけだという事実がいつの時代にもあるのです。ここまで読まれて「桃山晴衣」がどういう芸能人なのか、おわかりにならない方が大半だと思います。学問的には、三味線古典というジャンルになるそうなんですが、三味線によるシンガーソングライターとでもご理解下さい。レコード(CD)も発売されてますから、ぜひお聞き下さい。西洋音階よりもっとフリーな邦楽の世界に気がつかれると思います。まだまだ、日本の芸能人は頑張っておりますよ。

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遠文連ニュース「はぴねす」No.259(1989.5.10発行)より
 ある町の広報紙に「新婚さんいらっしゃい」というコーナーがあって、いろいろおのろけを伝えているのですが、この町に何があったら都会と感じますか、という質問に「24時間営業のコンビニエンスストア」と答えていました。日本国中、こうしたチェーン店の拡大が続いているのですが、はたしてどうなんでしょうか。都会では(東京・大阪ですが)一連の地上げ業者の手によって、生活圏の中から魚屋さんとか八百屋さん、雑貨屋さんが次付と姿を消しております。デパートまで行って買わなくてもよいのに買わざるをえないという状況なのです。家族への食事が〇〇〇〇〇〇フライドチキンであり、〇〇〇〇〇〇ハンバーガーという笑うに笑えない現実があるのです。「ぼく食べる人、わたし作る人」という図式は悪いにしても、主婦がどれだけの意識で食生活をするかということは子供にとっても大変な影響を与えると思うのです。夏休みには様々なキャンプが企画されておりますが、お客様ですから、何もしない子がいてもそれなりという事も多いそうです。ですから、文部省では真剣に考えているんだそうです。そうした保護者の殻から抜け出る機会を設定して、なるべく早く狭い機械文明・都市文化以外の世界を見せてあげることを。子供の数が今後ますます少なくなってきますから、いわゆる大人社会に翻弄されてたいへんだと思いますが、がんばってもらいたいもです。

遠文連ニュース「はぴねす」No.260(1989.6.10発行)より
 ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたか。恒例の成田空港でのテレビインタビューがありましたが、4月27日からのヨーロッパ2週間旅行に出かける方、ハワイの税関で200万円の現金を持っていて、申告手続きをしているOLなど様々な風景がありました。海外旅行が自由に行えるようになったとか、国際化が進んできたとか言うてますが、はたしてどうなんでしょうか。ワイキキビーチでアルコールは飲んではいけないというルールを知らない日本人のレポート報告があったのですが、いつ、誰が教えてくれたのかと反論していたのですから、困ったものです。ニューヨークやサンフランシスコの情報が同時刻に入手できるという情報社会なのですが、国内ではどうなんでしょうか。
 いい年をして、といわれる年齢になってから知った事なので恥ずかしいのですが、国策としてのアメリカとの友好関係を持つためにありとあらゆる策が行われたという事なんです。テレビ、映画、音楽、食生活、海外旅行、学校教育としての米語普及‥思いあたる事が多いと思います。子供の頃ですから何の不思議にも思わなかったのですが、誰がそうした方向を向かせようとしたのかという疑問を最近になって持つようになってきました。国際化という言葉が頻繁に使われる今日ですが、本当に世界という視野の中で進めていただきたいと思うのです。

遠文連ニュース「はぴねす」No.261(1989.7.10発行)より
 鯨騒動の次は象騒動が起きるんだそうですね。ある種の象については絶滅が危惧されております。象といえば象牙がありますね。象牙といえば、印鑑の原材料です。日本人にとっては印鑑は絶対必要ですから全世界での使用量は四割を占めているということです。でも、全部印鑑になるわけではなくて、一頃話題になりました〇〇商法の象牙の塔とか、成金趣味の工芸品に使われているのですね。印鑑屋さんは、これからたいへんですね。自分たちの使用量以上の責任を取らされるわけですから。鯨にしても、今度の象にしても欧米の自然保護団体からの提言が発端です。ホンマの事を調べあげていけば、古くはスペイン、ポルトガル、大英帝国、フランス、ドイツ帝国など現在の発展途上国を植民地支配していた国の責任も大だと思うのです。それを声を大にして言えないのは国際政治家がいないため何も知らない、わからないという簡単な理由ではないでしょうか。
 未確認情報ですが、今、ヨーロッパでは肉食しないことがトレンディだという思想が広がりつつあるんだそうです。誰が発端なのかわかりませんが、薬害公害、放射能汚染の影響もあるんだそうです。最近、日本人を肉食人種にしようと安い牛肉輸入が増えていますが、案外、近い将来、日本人が肉を食べだしたから牛が絶滅するという反日本キャンペーンが展開されるかもしれません。くれぐれもお気をつけ下さい。

遠文連ニュース「はぴねす」No.262(1989.8.10発行)より
 いろいろな暴言騒動とかハプニングが続出した参議院選挙も結果が出た後なので、こんな事を書いてもいいのかなと勝手に考えての発言です。NHKでしたか、英国議会が汚職防止のために費やした期間が百年という特集を組んでましたね。人生百年時代ですから、ある価値観とか慣習を修正するということは長い年月を必要とするのだと思います。飲む・打つ・買うが男の価値感だという時代が長く続いておりますね。台湾・東南アジアでの売春ツアーの話題は無くなりませんし、日本での労働力としての来日者も増えております。新人類という言葉はもうお馴染みになっているんですが、これらの男の三条件に当てはまらないタイプをいうのではないでしょうか。それを変えられない方は変えられなくてかまわないのですが、世の常として少しずつ変わりつつあるのだという事実は理解していただきたいと思うのです。汚点を残される方が益々増えていくのではと勝手に心配しております。
 政治に係わる方にぜひ勉強していただきたいのは、歴史比較学という分野です。例えば、明治時代にアメリカ人は何を考え、どういう生活をしていたのか。当時の日本人との相違・共通点は何なのかといった内容なのです。同じ人類だけど異なった部分も多々あるという事が理解できて、今後の国際化に役立つと思います。

遠文連ニュース「はぴねす」No.263(1989.9.10発行)より
 いろいろなお楽しみを体験された夏休みも終わりまして、お仕事・お仕事の毎日だと思います。私事ですが、2月に亡くなった実母の盆供養ということで、お寺と実家の往復という毎日でした。日本人は宗教に無関心であるとのご批判もありますが、この習わしだけは大切にしていきたいものです。というわけで、何処にも出かけられなかったので、各旅行社の海外旅行パンフを頂いてきまして比較・検討の日々を送っておりました。シーズン・オフ、平日コースの低価格からお正月料金の高価格まで同じコースで、これほど違うのかと考えてしまうのがありました。でも、ファースト・クラスでの料金設定はすごいですね。7000万円の宝くじでも当たらない限りは夢のような世界なのですが、実際にはかなりの利用者がおられるとのことでした。日本人は確かに裕福になったのでしょうね。
 その国がリーダーになるという条件の一つとして、その国の言語がどれだけ影響力を持つかということがあるんだそうです。大英帝国時代の英語、植民地時代のスペイン・ポルトガル語などがその例です。日本人もこれだけ力をつけてきたのだから、日本語を国際語にという動きもあるようですが、侵略しようという気がありませんから、無理なんだそうです。世界平和のためには良いことかもしりません。でも、もっと自分の意思を伝えられるようになれば変わってくるかも‥。

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